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"お客さんとお店さん"、その関係が好き/谷中店副店長 佐伯

私たちトーキョーバイクは、街を楽しむための自転車をつくっている会社です。(詳しくは自己紹介をごらんください)
この連載「トーキョーバイクのひと」では、私たちの自転車が皆様のお手元に届くまで関わっている全スタッフを一人ずつご紹介します。

連載第2回目は谷中店の副店長佐伯さん。店舗異動で感じたお店や街の違い、お客さまとのやりとりが好きという話を語ってくれました。

佐伯 莉乃(さえき りの)
入社後、レンタルサイクルサービスを行うTokyobike Rentalsに配属。谷中を訪れる国内外のお客さまに美味しいコーヒーを淹れるバリスタ兼、街の楽しさを伝えるスタッフとなる。2019年中目黒店へ異動し自転車セールスを担当、その後2020年春より谷中店副店長。
※現在谷中店のレンタルサイクルサービスは休止中

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谷中店と中目黒店を経験して

ーー佐伯さんは入社からしばらく谷中勤務で、その後中目黒店に異動して、また谷中に戻ってきたんですよね。

トーキョーバイクに入社してからずっと谷中にいましたし、この辺は私にとって落ち着く場所です。なので最初に中目黒店への異動を告げられた時は、ちょっと想像できなくて、私で大丈夫かな?できるのかな?と思っていました。実際に行ってみると、違うからこそ刺激的で、いろんなことを教えてもらったと思います。

ーーどちらも都内の直営店ですが、違いを感じましたか?

お客さまは少し異なりますね。年齢層も自転車の乗り方もちょっと違います。

中目黒店のお客さまは私と同世代、20〜30代の方が多かったです。職場も家も都内にあって、通勤で自転車を使いたいという方ですね。一人暮らしで、職場の近くに家を借りている方の割合が高い気がしました。

谷中店のお客さまは都内だけでなく千葉県や埼玉県、茨城県の方もいらっしゃいます。年齢層も10代〜60代くらいまで幅広いですね。乗り方も通勤、通学、買い物、週末だけなど万遍なくいらっしゃいます。

街の雰囲気やお客さまは少し違いますが、両方経験してどちらも好きな街になりました。

”お客さんとお店さん”、その関係が好き

ーー直営店ではスタッフがお店の様子を日報に書いていますよね。佐伯さんが書いたものを読んでいると、お店にいなくてもその日の様子やお客さまの顔が浮かぶような気がします。

お客さまがもともと好きなんです。”お客さんとお店さん”という関係が好きで。お店に立っている時に日報を書くことを意識しているわけじゃないんですけど、よく見てはいるのかもしれないです。

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ーー”お客さんとお店さん”の関係が好き・・・それはどういうことですか?

私がお客さん側になるのも好きだし、お店側になるのも好きです。
一線を越えない関係というか・・・。余計な気を使わずに、好きなことの話をするだけの関係というか。

自分がお客さんのときは、これ欲しいけど性能ってどうなんだろう?どこが魅力なんだろう?という話を、プロの方から聞くのが好きなんです。

逆に自分がお店の立場の時は、私とこの人はこの場所でしか会わないけど、普段はどんな人なんだろうって想像するのも楽しいし、なんでトーキョーバイクに来てくれたんだろうって考えるのも楽しいんです。

ーーその人がどんなことを大事にして、どんな生活をしているんだろうって考えることが楽しいんですね。

はい、私が楽しいんだと思います。

お店に行くのがすごく好きなんです。
ちょっと話が飛んじゃうんですけど、この前新しくカメラを買ったんですね。買う前に悩んでいて職場で相談したら、同僚で社内のカメラマンでもあるスタッフが色々教えてくれたんです。そのカメラがどういう意図で作られていて、それがどうスペックにつながっているのか。そのうえで「佐伯さんにはこういう意図で作られたカメラがきっといいよ!」と提案してくれて。その話をしていた時に私もテンションがあがってしまい、すぐネットで買っちゃったんですね。

ただ買った後に冷静になって、やっぱりお店に行って店員さんのお話を聞いてみようと思い直しました。それで行ってみたら、相談したい私の熱量とはちょっと違ってしまって・・・カメラの話というより「今買うとポイント何倍つきますよ!」という話が中心で。その時にすごく悲しくなっちゃったんです。

一緒に楽しみながら相談にのってくれる、そんな店員さんから買いたいってその時に思ったんですよ。そういうのはあるかもしれないですね。

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ーーたしかにトーキョーバイクには買い物が好き、買う体験を含めて好きというスタッフは多いですよね。

そうですね。自分がいいと思ったもの、人が喜んでくれるんじゃないかと思うものを伝えたいスタッフが多いですよね。映画好きのスタッフも多くて、今年の春の自粛期間中は外にお出かけできないからと、みんなでお客さまへ向けてお勧め映画をピックアップして発信したり。私も他のスタッフが勧めてくれた映画を休みの日に見ていました。

仕事での失敗と嬉しい瞬間

ーー仕事での失敗はありますか?

結構いつも思ってます。アルバイトスタッフに対する言葉の選び方とか伝え方とか。ちょっと強すぎたかなとか。メカニックが修理をたくさん抱えている時に仕事をお願いしちゃったなとか・・・そういうことはいつもありますね。

ーー仕事をしていて嬉しい瞬間はありますか?

お見積りで検討になったお客さまが再度ご来店して購入してくれた時です。もちろん見るだけのつもりだったのに、その日に買ってくれるというのもすごく嬉しいんですけど。

お見積りで検討になる方は、初めてご来店されたお客さまが購入するより、一回会う機会が多いじゃないですか。だから再度ご来店された時に、こちらはもう勝手にお知り合いみたいな、片思いだったのが両思いになったみたいな、そういう感じがするんです。

実ったなぁ・・・という感じです。

ーー本当にお客さまが好きなんですね。言葉の端々から、伝わります。

そうですね。自転車をご購入いただけること自体も嬉しいんですが、一度家に持ち帰って検討するということは、トーキョーバイクの良さや、どうして自分が欲しいのかをゆっくりじっくり考える時間を改めてとっていますよね。それを経てやっぱり!と戻って来てくれるのは、嬉しいですね。

本当は聞いてみたいです。どうして戻って来てくれたんですかって。直接聞かれたら自分でも恥ずかしくて、あんまり言えないよなぁって思うんですけど。

メカニックではないセールススタッフとして

ーー佐伯さんはメカニックスタッフとは違い、お店での接客がメインの役割ですよね。その中で意識していることはありますか?

自分がメカニックではないことにちょっと引け目を感じていたこともありました。でも今は私がどう動いたらメカニックがスムーズに動けるのか、ストレスなく彼らが作業に集中できるのかを常に考えています。

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自転車パーツや取扱雑貨の在庫状況を把握して発注をしたり、お店のインスタグラムなどの発信もなるべく自分がやったり。修理の受付も一度自分で受けてから、メカニックに回すようにしたり。私ができることは私が全部やるというようにしています。

でもちょうど明日から組み立ても学ぶことになったんです!とても楽しみです。

ーー組み立ても学ぶんですね。それは自分から希望したんですか?

はい。やってみたいと思っていて、他のメカニックに相談をしていました。そしたら先日正式にやってみる?と聞かれたので、「やってみたいです!」と伝えました。

また新たに学んで、できることが増えたらいいなと思っています。

好きなものと好きな時間

ーートーキョーバイクのラインアップの中で、好きなモデルはどれですか?

好きなモデルの話とはちょっと違ってもいいですか?
私は通勤にTOKYOBIKE SSを使っています。ギアがないモデルなので、長距離はちょっと大変だなとは思っていたんですけど、私はこのシンプルさが好きだからいいんだもん!と頑なに思っていたんです。

(注)TOKYOBIKE SSはシングルスピード(変速機がついていない)でシンプルなモデル。そのコンセプトは同じくシングルスピードの「シンプルでちょうどよい」TOKYOBIKE MONOに現在は引き継がれている。

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ただもう廃盤になってしまいましたし、他のモデルで長距離を走ったことがなかったので、最近ギア付きのTOKYOBIKE 26TOKYOBIKE SPORT 9sを借りて、それで通勤してみたんですね。

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そしたらめちゃめちゃ楽で、そんなに頑なにならなくてよかったのかも・・・と思いました。乗っていて楽しいですし、しかもギア付きの2車種で、それぞれ自分の気持ちも変わってくるんです。

ーー自分の気持ちも変わるというのは?

TOKYOBIKE SPORT 9sは走っているのが気持ちよくて、自転車に乗っていることそのものが楽しかった。TOKYOBIKE 26は心に余裕が生まれるというか、ちょっとこっちの道に入っちゃおうという、寄り道する余裕が生まれました。入社前の私は、この2車種は見た目しか違わないじゃないと思っていたんですけど、乗るモデルでこんな風に自分の感情みたいなところまで変わるんだって思ったら面白くて。

この体験で接客の会話も変わったと思います。私はまだまだ知らなかったんだなって思いました。すごくびっくりしましたね、こんなに違うんだって。

それに私たちはこうやって会社の自転車でいろいろ試せるから楽しめるけど、お客さまにとっては一生の恋人を決めるくらいの感じだと思うので、一生懸命選ぶお手伝いをしないとなって思いました。

ーーお気に入りのオプションパーツはありますか?

弓ハンドルですかね。見た目が好きです。ステム(ハンドルとフレーム本体をつなぐ棒状のパーツ)をがっとあげて乗っています。乗り心地も気持ち前傾くらいな感じで好きですね。

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ーーここからは少しプライベートな質問です。1日の中で好きな時間はどんなことをしている時ですか?

お笑い番組を見ている時間です。例えば千鳥の相席食堂はずっと見ています。テレビは一日が全て終わった時間帯に見るので、1時間だとちょっと長いけど30-40分ならぱっとみれるんです。千鳥はすごいな・・・って思いながら見ています。

ーー自転車で行くのが好きな場所や道、時間などはありますか?

職場から家に帰る時に国道をずっと走るんですけど、光がいっぱいあって、東京にいるなーって感じながら走っている時です。その後に橋を渡るんですが、その時にコンビニでコーヒーを買って土手で一回休憩してから帰るんです。その時間も好きですね。

今年も春過ぎくらいには土手で花火をしている人もいて、そういうのを見ながら休憩して、よし!あと残り2kmも走ろう!!って帰っています。

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取材・文/小西
写真/橋原