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『雇用は維持されるのか?』「そごう・西武」がストライキに至るまでの経緯から考察まで

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さてさて、今回の記事は本日ストライキが行われる予定の「そごう・西武」について書きたいと思います。

セブン&アイ・ホールディングスの百貨店子会社、そごう・西武の労働組合は30日、31日にストライキをする方針を決めた。そごう・西武は31日に西武池袋本店(東京・豊島)を全館休業とすると発表した。そごう・西武の売却を決めているセブン&アイに対し労組は、9月1日付での売却を先送りするよう求めていた。セブン&アイが同日付での売却を決めたことで、ストライキに踏み切る。

そごう・西武は何故売却されるのか?

そもそも、何故、そごう・西武は売却される事になってしまったのか。

これは残念ながら経営不振が続き、セブン&アイHDとしては再建できないと判断した為です。

2021年2月期の純損益は172億円の赤字で、前期の75億円の赤字よりも悪化
2022年2月期の純損益は88億2600万円の赤字で、前期の172億円の赤字よりも縮小したが、依然として赤字続き

百貨店は苦境が続いていると言われていますが、同業他社は黒字ですので何かしらの問題があったと思われます。

しかしながら、売却すると言ってもこれは簡単ではありません。

何せ赤字部門を書いとる訳ですから、「いったい誰が買うのか?」といった記事もありました。


購入先は現れたが、2度延期

いくつかのファンドが名乗りを上げていましたが、2022年11月に米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループにそごう・西武を売却することで基本合意しました。

しかし、当初は売却完了の実行日を23年2月1日としていましたが、売却期間を2度にわたり延期しています。

その理由として大きく取り上げられているのが西武池袋本店などでの「ヨドバシカメラ」を出店する計画のようです。


西武池袋本店にヨドバシカメラが出店すると?

西武池袋本店の低階層にヨドバシカメラが入居すると何が問題なのでしょうか?

1つは、都市計画に影響を及ぼします。

池袋の玄関が「ルイ・ヴィトン」など多数の海外の高級ブランド店から家電量販店になってしまうと、豊島区が目指すイメージとは異なってしまうようで、関係者との調整が難航したようです。

もう1つが今回のストと直接関係のある理由ですが、百貨店の売り場の一部がヨドバシカメラになると売り場面積が縮小します。必要人数も減るでしょう。

「我々の雇用は維持されるのか?」

そこを担保したくて、交渉を続けてきた訳ですが、交渉が不調に終わり、今回のストライキへ繋がりました。

今回のストライキの規模は?

労働組合は、旗艦店の西武池袋本店で31日、ストライキを実施することを決定しました。

西武池袋本店に勤務する組合員約900人が、終日勤務しない予定で、「そごう・西武」はスト実施決定を受け、全館での臨時休業を決めたそうです。

大手デパートでのストは約60年ぶりとなります。

ストライキの結果、どうなるのか?
注目が集まっています。

何故ストライキをするのか?

さて、ここで一旦、そごう・西武から離れてストライキそのものの目的について焦点を当ててみます。

ストライキは労働者の賃金や労働条件の改善を求める際に行われます。

戦後の高度経済成長期やバブル期などが特に活発で、1974年には年5000件以上もストが実施されました。

しかし、2020年には35件と、一気に減ってしまいました。

理由としてはいくつかありますが、おそらく効果が薄かったというのが大きいかと思います。

1社でストライキをしても効果が薄い

海外は産業ごとに労働組合があるケースが多いですが、日本は企業ごと、もしくは企業内の組織ごとに労働組合があるケースが多いです。

例えば、今回はそごう・西武の池袋本店でストライキを実施しますが、ストライキが起きた時、物を買いたいと思っていたお客はどこへ行くでしょうか?

ネットで買うか、別のお店で買うか。ストライキ後に買うか。

大体そんなところかと思いますが、要するに購買客が他所へ行ってしまいます。

そうすると例えストライキが成功したとしても、より一層の業績不振に陥る訳です。

より効果を上げるなら、同業他社を巻き込まなければいけません。

今回のストライキは「そごう・西武」どころか池袋本店のみでストライキが発生するだけなので、規模が大きいように見えて実は小さいのです。

大義名分が必要

もうひとつは、ストライキを実施した際の社会的批判です。

ストライキは周囲に迷惑をかけます。

「そごう・西武」ならまだしも交通機関がストライキに入ったら大変で、影響範囲は計り知れません。

だからこそ

「正直、迷惑なんだけど、ストライキやる気持ちも分かるよね」

という大義名分が必要です。

この大義名分が得られず暴動に発展した例が実際にあります。

1973年3月13日、国鉄高崎線上尾駅で、動労組合員による「順法闘争」によって列車の遅延が続いたことに怒った乗客が暴動を起こしました。乗客は運転士や駅員を襲撃し、列車や駅の設備を破壊しました。この事件は「上尾事件」と呼ばれています。

今回の「そごう・西武」のストライキは大義名分の面でも弱いと思っています。

同業他社が黒字の中、唯一の赤字続き。
その結果の売却劇です。

これが売却ではなく倒産だったらどうでしょうか。
雇用不安どころの話ではありません。

実際、コメントを見る限りでは、「60年ぶりのストライキにワクワクしている」とか「ストライキは権利だから」とか程度の感想しか見受けられません。

「これは酷い、これならストライキも納得だわ」のレベルに至っていないのです。

さらに交渉の際、セブン側は、余剰人員は、一義的には新たな株主のもとで、そごう・西武による新規事業や他店舗への配置転換等で維持されるよう新たな株主に働きかけるとしていて、さらにもしそれでも余ってしまう場合には、セブン&アイグループが人員を受け入れるとしています。

おそらく最大限の譲歩かと思いますが、これでも決裂してしまったようです。

働いている皆様の心情を思うと心苦しいのですが

やるべきはストライキではなく、いかにして黒字企業へ復活させるか。

いかにしてヨドバシカメラが入らなくても良い状況作りができるかだったのではないかと思います。

有意義な時間になりました。
ありがとうございます。


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