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クリムト『接吻』クリムトが描いた多様な文化と芸術の融合の結晶

グスタフ・クリムトの代表作『接吻』は、1908年にウィーンのクンストシャウ美術展で初めて公開されました。この作品は、ウィーンのユーゲントシュティール(アール・ヌーヴォー)を象徴する傑作として知られ、クリムトの「黄金時代」の集大成とされています。愛や親密さ、セクシュアリティといったテーマを軸に、金箔を使った装飾的なスタイルや象徴主義的なアプローチを駆使して描かれたこの絵は、当時の芸術界に強い衝撃を与えました。

グスタフ・クリムト『接吻』1907 - 1908年 オーストリア絵画館

1908年、ウィーンで注目を集めた『接吻』のデビュー

『接吻』は、未完成のまま初公開されましたが、その独創性と美しさが高く評価され、当時の記録的な価格でベルヴェデーレ美術館に購入されました。この金額はオーストリアで絵画に支払われた最高額であり、クリムトの芸術的評価の高さを物語っています。

現在も『接吻』はオーストリアの国宝とされ、ベルヴェデーレ美術館の重要なコレクションとなっています。その売却は考えられませんが、仮に市場に出た場合、再び世界的な記録を更新する可能性が高いとされています。クリムトの別作品『アデーレ・ブロッホ=バウアー I』が2006年に1億3500万ドルで売却されたことが、その価値をさらに際立たせています。

当時の批評家や観客は、特に金箔を用いた大胆な装飾性や、愛と親密さを象徴的に描いた構図に注目しました。一方で、クリムトのスタイルを「過剰」と評する声もありましたが、作品の美的完成度や感情を呼び起こす力は、多くの人々を魅了しました。発表後、『接吻』はすぐにクリムトの代表作とされ、彼の人気をさらに高める結果となりました。

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