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子どもの権利について考えるとき コミュニケーション#3
まず思い出すのは
高見のっぽさん
1934年京都生まれ(2022年9月10日に逝去されました)
タップダンサー シナリオライター 絵本作家 役者 歌手など
多彩な才能を発揮された方です
幼児向けのNHK教育テレビ「できるかな」という
絵画・工作など造形教育番組に
1970(昭和45)年4月8日から1990(平成2)年3月6日までの20年間
出演し続けた
通称 ”ノッポさん” です
わたし自身も子どものころ
テレビ画面に毎回登場する独特の人 ノッポさんに興味津々でした
釣り鐘型の独特の帽子をかぶり
吊りズボン?サスペンダーパンツ?を着ていて
ひと言も発することなく
でも一瞬たりとも止まることのない手先がくるくると
するすると滑らかに動くようすに目を奪われました
そしてあれよあれよという間に
ただの紙やら段ボールやら紙箱が
あらまあなんとも不思議
素敵な作品に早変わり~♪
見慣れた紙切れや紙コップがどうしてこんな素敵なものに
変身できるのか
ノッポさんは魔法使いなんじゃないかと
本気で思ったりしていました
いつもノッポさんのそばにいて
んご んご (👈表現がむずかしい)
と何かを訴えている大きなゴン太くんが
なにかとトラブルを巻き起こしていたような
おぼろげな記憶があります
このノッポさんですが
子どもの人権をめぐって
2006年にインタビューを受けた時の記事があります
東京都人権啓発センター TOKYO人権 第30号(平成18年6月6日発行)
https://www.tokyo-jinken.or.jp/site/tokyojinken/tj-30-feature1.html
”ノッポさんは、敬意を込めて、子どもたちを「小さい人」と呼びます”
”ぼくが敬意を込こめて使う「小さい人」という言葉は単に外見的・
物理的な問題というだけで、内面の基本的なところは5歳も70歳もたい
して変わりません。いまでもそのつもりで小さい人を見ていますから、
ぼくはなんの苦労もなく彼らに敬意を払えるんです。”
”大きい人は「子どもの目線で物事を考えなさい」とよく言いますが、
ヘタをすれば小さい人のほうが目線は高いかもしれない。そういう思い
上がりにまったく気づかない人を、ぼくは認める気になれません。”
インタビューで語られた高見のっぽさんの言葉は
「できるかな」のなかにいたのんびりしたやさしいノッポさんのイメージとはちがっていて
鋭く研ぎ澄まされた感性に裏打ちされたような
世の中の矛盾や理不尽を一刀両断しそうな
ドキッとさせられる言葉ではないでしょうか
”それなりのつき合い方をすれば、彼らは十分に応えてくれます。”
”信用してもらえるから、すぐに友達になれちゃう”
”自分の小さい頃をよく思い出してごらんなさい。自分がどれほど賢か
ったか。大きい人に辱めを受けたような時、どれほど悲しかったか、あ
るいは怒りを感じたか。”
”誰でも小さい人と接する時は、こうしてご自分の過去のことを振り返
ってみる必要があると思うんです。覚えていないわけじゃなくて、みん
な忘れてしまっているだけなんですから。”
子どものころの自分が大人から言われて嫌な思いをしたこと
それをちゃんと覚えてさえいれば
目の前の子どもにまっとうな接し方ができるはずだとノッポさんはいいます
自分のかつて味わった痛みを
だれかほかの人に味あわせるようなことは
けしてするまいと自制がはたらくはずだということですね
たしかに虐待を受けて育った人は
親になったときに今度は虐待する側になってしまうとよくいわれます
そのような方々は 虐待という事実の記憶はあっても
それがどれだけ痛かったか
それがどれだけ辛かったか
その感情はどこかに置き忘れてきてしまったかごとく
淡々とその幼少時の悲惨な出来事を語る
ということが少なくありません
まだ幼く弱い子どものこころにとって
あまりにも辛すぎて
あまりにも負担が大きすぎるがために
心の安全装置がはたらいて
感覚を麻痺させ
記憶を消してしまったりすることがあります
過去の痛みに蓋をしてしまった状態
塩漬けにした悲しみ
そんな表現もあります
だから
大人になって親になって
子どもに相対したときに
自分の親にされたことと同じようなことを
子どもにしてしまう
なかば無意識のうちに
ノッポさんのいうように
子どものころに受けた痛みを
大人になってから
こころの蓋を開けて
凍りついた部分を解凍したり
塩漬けになった部分を水で洗い流したり
そんな風にこころの中を整理する必要があるのかもしれません
それはとてもとても
デリケートで細やかな作業になりますから
心理や医療の専門家の助けを借りるほうが
望ましいのかもしれません
ノッポさんはさらにいいます
”いずれにしても、人間ってどこにどんな素質や才能が隠れているのか
わからない。水泳や歌への挑戦は、その証明になったと思うんです。そ
れが自分の好きなことにマッチしていたら、こんな幸せなことはありま
せん。だから小さい人も大きい人も、まずはなんにでもチャレンジして
みること。その姿勢が大事なんですよ。”
ノッポさん素敵な思い出と贈り物をありがとう
ノッポさんの思いを未来につないでいこうと思います
さてさて
子どもの権利について考え始めたら
ノッポさんがこころにふわっと浮かんできたのですが
ここであらためて
子どもの権利条約の4つの原則について
まとめておくことにします
☆差別の禁止
👉差別のないことを保障する原則
☆子どもの最善の利益
👉子どもにとって最も良いことを保障する原則
☆生命・生存及び発達に対する権利
👉命を守られ、成長できることを保障する原則
子どもの意見の尊重
👉子どもが意味のある参加ができることを保障する原則
1989年11月20日 第44回国連総会で採択され
1994年4月22日 日本が158番目に批准しました
この4つの原則は 日本の子どもに関する基本的な法律である
こども基本法 (令和5(2023)年4月1日に施行されました)
に取り入れられています
こども基本法にはあわせて
子どもの養育を行う大人や社会環境についても規定されています
第5番目の理念として 以下のように定められています
「子どもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識のもと、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること」
そして第6番目の理念として
「家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること」
とされています
日本は少子化まっしぐらのなか
世の中の お父さん お母さん パパ ママ
おじいちゃん おばあちゃん
そして日本社会もまだまだもっとがんばれ!
ってことですね
東京ソラーレもささやかながら精一杯の応援を
していきたいと思います!
みなさま引き続き
どうぞよろしくお願いいたします
東京ソラーレ 心理士
風来(ふく) 拝
※参照記事
エコノミストonline
俳優・作家 高見のっぽ「ノッポさんは、私であって私ではなかった」(2018年9月11日)
https://weekly-conomist.mainichi.jp/articles/20230510/se1/00m/020/001000d