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陸路と海路で新宿→【神戸】→ソウルへ【旅記録5】

翌日、神戸の朝が静かに始まり、街は穏やかな空気に包まれていた。

散歩をしながら、これからの旅の計画を思い描く。
明日はソウルへ向かうもう一歩として、三ノ宮から博多を目指すことにした。博多からはJR高速船で韓国の釜山へ渡る予定だ。

当初は三ノ宮から高速バスで博多へ向かおうと考えていたが、調べてみるとその方面へのバスは運行していないことが判明。そこで急遽、鈍行列車を乗り継ぎ、のんびりと博多へ向かうことに決めた。

旅は計画通りに進まないこともあるが、だからこそ面白い。その予想外の出来事に、自分がどんな反応をするのかを楽しむのもまた、旅の醍醐味だ。思いがけないハプニングや新しい選択肢が、自分の中の新しい一面を引き出してくれるからだ。

早速、三ノ宮駅のみどりの窓口に立ち寄ると、駅員さんが親切に対応してくれた。端末を操作しながら、三ノ宮から博多までの鈍行列車の乗り継ぎを丁寧に調べてくれ、切符と一緒に詳細な時刻表を印刷して渡してくれた。その細やかな気遣いと温かな対応に感謝しつつ、次は博多から出航するJR高速船のチケットの予約に取りかかることにした。

いざ、JR高速船のチケットをスマホで予約しようとすると、画面に「K-ETA」の事前登録が必要とポップアップ画面が出てくる。パスを取らないと最悪乗船できないとも書いてあった。

慌てて駅でパス用の証明写真を撮影し、スマホに写真を取り込んで、「K-ETA」のHPに写真画像とともに、必要事項を入力して申請。
しかし、英語での入力や宿泊先未定の状態が災いし、申請を2度も弾かれてしまう。焦りながらも、どうにかこうにか3回目の申請で「K-ETA」の審査を無事に通過することができた。正直焦った。。。でも、これも旅の醍醐味だw

ただ、私の申請した時期は、「K-ETA」は必要なかったと後で知るのだった。

パス必要なし。コンチキショー!!💦
三ノ宮を歩いていたら見つけた光景。

ひとまず一息つこうと、三ノ宮駅から少し歩いたところにある、異人館のスターバックスを訪れた。

趣のある洋館を改装したその店舗は、どこか異国情緒を感じさせる特別な空間だった。窓際の席に腰を下ろし、ほっと息をつきながら、明日の旅程について考えを巡らせていた。


長い二つ折りのレシートのような紙が、
明日の鈍行列車の乗り継ぎを記した時刻表。

ふと視線を感じて顔を上げると、高齢の外国人の紳士がじっとこちらを見つめていた。驚きと戸惑いが入り混じる中、席を譲ったほうがいいのかと声をかけると、彼はにこやかな笑顔を浮かべ、静かに私の席に腰を下ろした。そして雑談を交えながら、穏やかなトーンで話し始めた。

彼の話は人生についてのものだった。「人生は一度きりだ。とにかく、自分を大切にしなさい。心の赴くままに生きることが大切なんだ」と。語り口は穏やかだったが、その言葉には深い重みがあった。一つひとつが胸に響くような、大切に刻みたい言葉ばかりだった。

そのおじいさんの言葉に耳を傾けながら、心の中で静かに共鳴する自分がいた。まさしく、自分もそう思っていた(旅する理由)。そしてその絶妙なタイミングに、自分の背中をそっと押されたような、不思議な感覚を覚えた。

そのとき、店内にブルーのコートをまとった、とても美しい女性が現れた。その優雅な佇まいに思わず目を奪われたが、話を聞くと彼女は既婚者だという。残念…と心の中で少し苦笑いしながらも、彼女がこのスタバに時折訪れては、おじいさんに身の上話をする仲だと知った。

やがて、自分も旅の目的について語る流れになり、三人で穏やかに雑談を交わす時間が流れた。何の予定もなく、ただ立ち寄っただけのカフェで、こんなふうに思いがけない出会いがあるとは。人と人との繋がりが持つ不思議な力に、しみじみと感謝したくなるひとときだった。

おじいさんとの貴重な話を胸に刻み、次は神戸の街を散策することにした。スタバがある山側から、今度は海側へ向かって歩き出す。特に計画を立てず、ただ心の赴くままに足を進めるノープランの旅。

スタバを出ると静かな風が心地よく、神戸の街並みが新たな発見を期待させる。どこにたどり着くかは、風任せ。

つづく

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