クラダシ5年目に突入。CHROを退任して『カンパニーCEO』になった話
1年(とちょっと)ぶりにnote書きました
ここ数年、7/1にnote書くのがトレンドだったのですが、今年は書いてませんでした。忘れてたわけではないんですが、ちょっとここ数年の中では一番忙しい6月7月を過ごしていたのと、書くとしたら今回は私の役割変更について書くことになるので、その点についてまずは社内への説明や浸透を優先してました。理解してもらえたのかはさておき、体制変更から2か月たったのと、会社の公式noteでもインタビューが出たので、重い腰を上げて筆をとった次第です。
※なお、見出し画像と本文はあまり関係がありません。先日TOKYO FMに出演したときの記念写真です。
CHROを退任して『カンパニーCEO』になった話
一部の徳山ファン以外は全く興味ないと思いますが、「人事×事業」を掛け算していくことを信条とし、クラダシでもCHROに加えて新規事業、広報なんかを同時に管轄してきました。
これは、自分が進んできた経験がたまたまそうだったことに端を発し、でも特にスタートアップにおいては人事と事業を掛け合わせること(あるいはそういう人)の重要性を感じていたことから、ここ数年は意図的にそうさせてもらってきました。そして、世の中にそういう人が増えたら、もしかしてスタートアップエコシステムはさらに活性化して、あわよくば日本も盛り上がるんじゃないか、という想いを持っています。その信念は、ロールが変わってこれを書いてる2024年8月時点でも変わっていません。
今回、「CHRO 兼 新規事業」という役割から離れて、1つの事業に集中することになりました。これは、私の中ではかなりの意思決定でした。ですが、クラダシという会社のさらなる可能性を広げるために、それは事業としての可能性だけではなく所属するメンバーの可能性を広げるために、自身のネクストチャレンジとして腹落ちしたので、やってみることにしました。
ちなみに全社に対する責任範囲を持たなくなるので、しれっと次の株主総会で取締役も退任することにしました(執行に専念するので、執行役員の方が適切でしょう、と。会社辞めるつもりはないので皆さんご安心ください笑)
ブランドソリューションってなんだ
ということで、ブランドソリューションカンパニーのCEOという役を授かっています。ブランドソリューションってなんだ、というところからお話ししていきます。
クラダシが祖業として展開しているEC「Kuradashi」では、メーカーさんたちとご一緒してECを形づくり、事業としては消費者の方々のお買い物が売上となります。
一方で、このブランドソリューションは企業の皆様がクライアントとなります。クライアントのカテゴリーは問いませんが、今のところは食品メーカー様が多いです。
何をソリューションしてるかというと、ブランディングやPR、プロモーションなどのカテゴリーです。ただ、あまりフォーマット化はしてなくて、後述しますが実際にやってることの範囲はとても広いです。これは私の性格上、クライアントのために最も有効かつおもしろいものは何か、を優先してしまうことに大きく起因していますが笑、まぁせっかく新カンパニーとして漕ぎ出したからにはあまり思考やクライアントを制限せず可能性を広げてみようということにしています。
そもそもなんでクラダシが、徳山が、ブランディングとか語ってんねんと思われる方も多いと思います。おっしゃる通りです。独学で、本はたくさん読んだりしていますが、特にマーケティングやブランディングのスペシャリストとして生きてきたわけではありません。ただ、自社の事業開発~人事(採用戦略/採用広報/~インナーブランディングもろもろ)~広報/パブリックアフェアーズまでを、一貫して歯を食いしばって取り組んできたので、苦労をしたり失敗をしたりした経験なら山ほどあります。
また、その際に多くの方々を良くも悪くも散々巻き込ませていただいてきました。そういった経験を、点と点を線につなげる仕事を、クライアントとともに展開してみたいという気持ちを、なんとなくかっこつけて表現してみています。
といってもよく伝わらないと思うので、いくつか具体例を示してみるのと同時に、なぜこういうことをやることになったのか、も整理していきたいと思います。
で、実際どんなことをしているのかを語るための、ここまでの道のり
初期のクライアントとの思い出話
ことの発端は遡ること2021年。大手キッチン用品メーカーであるツヴィリングさんからいただいた問い合わせからでした。当時、『Fresh & Save』という新商品を全世界で同時発売されたタイミングでした。この商品は、食べものを真空保存できる保存容器で、鮮度が最大で5倍長持ちするという機能が売りでした。要は、家でフードロスを出しにくくする商品だったのです。その商品を、日本での展開にあたってはKuradashiのユーザーに知ってもらいたい、というリクエストでした。
これはやらない理由はないということで、受注させていただき、特設LPを作成したり、会員向けメルマガでも展開したりということを実施しました。
一定のご評価をいただけたと認識しておりますが、当時はまだ積極的にクライアントを広げていく動きは特にしておりませんでした。
可能性を広げることになったバレンタイン企画
同じく2021年、Kuradashiはブランドリニューアルを検討していました(実際にブランドリニューアルしたのは2022年)。ブランドリニューアルに一緒に取り組んでくれたのが、いまもパートナーとして伴走してもらってるDE社でした。
DE代表の牧野さんとクラダシの事業展開について盛り上がる中で、『敢えてクリスマスの翌日から始まるクリスマスケーキ屋をやるのはどうか』という話が出ました。めちゃおもしろいじゃんとなって、早速実行に動きます(その時点でたしか、もう既に11月くらい笑)
協力してもらえそうな各社に相談しまくり、なんと協力いただける方々も見つかりましたが、『クリスマスケーキの取り扱いにくさ』という絶望的な壁に断念します。「生もの」って大変ですね、、と飲食・リテールの方々へのリスペクトが高まりました。
そこで次のターゲットとして考えたのが、『2/15から始まるバレンタインチョコレート屋さん』でした。すでに1月に入っていました汗
短時間で判断して乗ってもらえる、話の早い方を見つけないと、ということで新卒時代の先輩である真明さんに相談したところ2つ返事でなにかしら協力する、とのこと。すぐに東急プラザ渋谷と東急プラザ表参道原宿(現オモカド)の両支配人をご紹介いただきました。
そして、そこからはいま振り返っても異常な(無謀な?)垂直立ち上げを敢行し、無事に2/15-2/17の3日間のPOP UPを開催しました。
裏側は全然無事ではなかったんですが、長くなってしまうのでここでは割愛します。
ちなみにその一端として、大事な最終日(2/17)に私は出張に出て不在にするという暴挙に出ていたのですが、その出張が起点となって「100本のスプーン」との取り組みに発展したので、人生は何があるかわからないものです。
バレンタインに話を戻すと、ありがたくも各メディアさんの目にもとまり複数の報道に至ったのと、その年のPR TIMESアワードも受賞することとなりました。また、2023年、2024年と場所を変えながら継続して開催し、おかげさまでさらに輪を広げていくことができています。来年はどんなことをしようかな。うずうず。
アイスクリームとの出会い
消費者庁共催の日経SDGsフォーラムで、森永乳業さんとクラダシが同じタイミングで登壇の機会をいただいたことから、私もコミュニケーションをさせていただくようになりました。
最初はサプリメントの商品ラインナップ(頻繁なパッケージ変更やサイズ変更)に伴う在庫管理の難しさをベースに話していましたが、ある日アイスクリームの課題の話を伺います。
季節による需要の変動が大きいこと、そしてそれにあわせて生産ラインを設計していくことの難しさ。ゆえに、夏のアイス需要に向けて、アイス事業者各社は半年以上前から夏に向けた商品を製造し、冷凍保存して夏を待ち構えているということ。当然、予測を的中させることはとても難易度が高くなります。想定より余ることも、逆に不足することもある。
不足すると、もちろん売上機会の損失につながります。それはメーカーさんはもちろんですが、スーパーやコンビニなどの小売企業でも起きます。そのため『欠品ペナルティ』という、欠品させてしまうとメーカーから小売に支払う金銭補償ルールなんかもあります。これはこれで小売企業にとっても死活問題なので、それ自体が悪いわけでもない。そんな感じでしがらみがたくさんあるので、アイスに限らずどんな商品も多めに作らざるを得ないという状況があったりします。
こうした企業の努力をもっと消費者に知ってもらい、これからも美味しいアイスを食べ続けるために、夏じゃなくてもアイスを食べよう、ということで始めたのが『Save Ice Project』です。
少し在庫として行き場を失いかけていた限定フレーバーのアイスを詰め合わせにして、Kuradashiで販売しました。これが想像を超えるスピードで売れていきます。そして、法人・団体向けに1組限定で1,000個入りセットというのを作りました。ちょうどコロナ禍が明けてきて、企業のイベントや大学の学園祭などがリアルで開催される空気があったので、そういった場面で楽しんでもらおうと試みたのです。
結果的には、児童養護施設に購入いただくこととなり、トラック入りのアイスをお届けする様子も含めて、プロジェクトのことをテレビ等のメディアでも報道いただくことができ、企業としての取り組みや姿勢を世に知っていただく機会にすることができました。
ビエネッタ40周年
そこから第2段として展開したのが『Remember Viennetta』。かつてテレビCMなんかも大々的に放映し、主力商品の一つだった「ビエネッタ」ですが、今ではあまりプロモーションしなくなり、若年層に知られない存在に。そんな商品の40周年のプロモーションを仰せつかることになりました。
また、当時のプロモーションが冬に寄っていたので、現在も冬の売上が中心となっている商品です。一年を通じて、幅広い年齢層の方々に食べてもらえる商品にしたい、というのがいただいたご依頼でした。それによって、供給も安定化し、行き場に困ることも減るはず、という壮大な裏テーマを掲げていました。
個人的には、幼いころにCMでたくさん見ていた、けれどなかなか食べることのない憧れの商品。なんとか若い方々にも知ってもらい、需要を伸ばしたい、と気持ちを空回りさせながら臨みました。
紆余曲折を本当はすべて書きたい気持ちもありますが、最終的には40周年=「40歳のビエネッタさん」という自虐的なキャラ設定をし、おじさん構文も多用したLP展開をしてみることにしました。また、一般の方々にもアンケートを実施し、それらもコンテンツに組み込み、かつX(Twitter)でもさらに思い出を投稿してもらうという建付けにしました。
結果的には、Xで1か月の間に2度トレンド入りし、ビエネッタ自体の売上が爆増する結果に。直近でもマツコの知らない世界で、取り組みの内容に一部触れていただいて、再度トレンド入りするなど、なかなか面白い仕掛けにできたと考えています。
ZIMAを配ってみる
クラダシにとって新しい展開となったのが『ZIMA再発見』です。
2021年に日本から撤退していたZIMAの日本での販売ライセンスを2023年に取得されたのが白鶴酒造さん。そのためには日本での流通量を担保しなければならないという本国との約束の中、一方でコロナ前後でマーケットは劇的に変わってしまった状況。ビエネッタと同じく、若い人たちは意外と知らないらしい。昔はクラブに行けば必ずあったのに。そもそもあんまりクラブ活動とかしないのか最近は。なんてことだ。
それはさておき、EC「Kuradashi」でも販売のお手伝いはするとして(実際にかなり多く取り組ませていただいた)、もっと劇的な数量を展開する必要があるとのこと。また、知らない人も増えてしまったので、まずは飲んでもらうことも優先したいとのこと。
ということで、展開したのがサンプリングとしての配布でした。サンプリング自体は特に目新しい手法ではないと思いますが、Kuradashiのサイトと足並みをそろえつつ、「逆に意外な場所で配って、見つけたときの発見感を楽しんでもらう」という考え方にしてみました。
全国のクリーニング店をはじめ、シティホテル、ビジネスホテルなど、様々な場所で展開をし、白鶴酒造さんのX(Twitter)でも発見してもらうことを促すようなコミュニケーションを設計させてもらいました。これも非常に反響が大きくて、のちに他社さんからもご依頼いただくきっかけとなる案件となりました。
とまぁこんな感じで、目いっぱい、やれることをやり切っています。喜んでくださるクライアントがいる限り、あるいは喜んでいただけるまで、可能性を模索していこうと思います。道はないので、つくっていきます。
結局なにやってんだ?フードロス削減はどうしたんだ?という方に
結論からいえば、「直接的にフードロス削減にかかわらない案件」も、積極的に広げていきたいと考えています。
クラダシを通じて、クライアントの取り組みが世に浸透し、世の中の人たちが結果的にクラダシの存在も知る。それはクラダシ社全体の事業の発展に寄与すると考えていますし、なにより僕らが掲げつづけてきたミッションは「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」です。
とはいえ、なんでもありかというとそうではないです。「こだわり」という話と、「強み」という話。僕らなりに「クラダシらしいコミュニケーション」ということをクライアントとお仕事するときも大事にしています。
それは繰り返しですが「フードロス削減」ということではなく、「ソーシャルグッドであること(循環型社会や環境への配慮を大事にすること)」、「それを押し付けるのではなく、受け手にとって行動しやすいように表現すること」だと思っています。
また、Kuradashiの特長は55万人のECの会員さんの存在や、たまプラーザ テラス店の存在です。普段、消費者の方とどうしても距離があるメーカーさんにとって、消費者の方とコンタクトが取れることに価値を感じていただいているようです。
さらに、消費者の方にもメリットのある取り組みを続けていけばWin-Winになる。僕らに関わってくださってきたステークホルダーの方々にもなんらか還元していくような仕組みづくりを続けていきたいと思っています。
ということで、ロールは大きく変えましたが、めちゃめちゃアクセル全開に頑張っていますので、ぜひ引き続きみなさん遊んでください!あと仕事もください!笑