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《本は3冊同時に読みなさい 著:佐藤 優》読書レビュー
著者、佐藤 優(まさる)さん。
元外務省の官僚。クリスチャン。北方領土問題など対ロシア外交で活躍。言ってみれば、日本のスパイですね。
スパイは圧倒的な知識が必要です。現代の更新される情勢もあっという間に読まなければなりません。下手な推測は命取りなので、月300冊は読むでしょう。多読は、彼にとって必要性が高いと推測出来ます。
しかし、外交官佐藤よりも、作家佐藤を表現してくれていたので、親しみを持ちました。
佐藤さんの世界観を一緒に見てみましょう。
驚いた
彼にとって生命線である情報をどうやって集めるのしょう。なんと、そんな大事なノウハウが前書きに書いてありました。
流石に驚いた。
え??この本はノウハウ本じゃないの??
この本は、彼にとっても、日本にとっても重要な本を紹介しています。
お勧めしたい部分をいくつかピックアップしたのでご紹介します。
ピックアップ
日本の教育は「後進国時代のエリート育成」から脱却出来ていない
佐藤さんは、この本を紹介しながら持論を展開しています。
日本のエリート教育は、教科書に書いてあることを正確に記憶し(理解しなくてもいい)、1時間半とか2時間の制限時間内に筆記試験で再現する能力を向上させることに主眼が置かれている。これは明治の頃、欧米列強のノウハウをいち早く吸収させるために必要だった「後進国型」のエリート促成栽培術だ。
佐藤さんは「後進国型エリート育成」を負の遺産として「入学歴社会」と名前をつけました。日本は学歴社会にすらなっていないとまで述べています。
大人になってから、まるで社会の変化についていけなくなった人も多いと思います。それは負の遺産を背負っているからかもしれません。
突破口となるのは、読んで書くこと。
津田さんの本では「読んで書いて初めて論理的思考が身につく。自分から仮説を立て、情報収集が出来るようになる」と書かれています。
佐藤さんは「重く受け止めるべき」と締めくくっています。
現代の学校教育問題の突破口になりそうです。
大使の対応
国家を代表する特命全権大使は、慎重でなければならない。だから事案が重大で、なおかつ不可測であるときは、「別件で外出」する。
これはニュースの見方が変わりますね。
重大で国際的な事案は即対応するのが大事だと思っていたからです。
擦り合わせ、根回し。これらを欠かして政治は成り立たないとエリート官僚は思っているようです。
依存症
著者はこの本を紹介して、持論を展開しています。
インターネット、スマホ、ゲームなどの依存と「勤勉性」の関係が興味を引きます。
インターネット・ゲーム依存症の著者、岡田氏は、小さい報酬で努力できることが勤勉性と定義しています。
岡田氏が紹介している臨床例でも、小学生、中学生のときは成績が良かったが、難しい入学試験に合格して、進学校に入った途端、以前のような優等生でいることができなくなり、インターネット・ゲーム依存症に陥っていくケースがいくつもある。
確かに、今のゲームはよく出来ています。ちょっと難しいくらいの難易度を用意し、繰り返し報酬が得られるように作られています。
脳は報酬が大好きです。手軽に手に取れる報酬に飛びつくのは仕方ないと思います。
自分のより良い人生の為に、中々成果が出ないのに、努力出来る人はより良い報酬が手に入ると、僕も思います。
官僚のリアル
外務省のエリート官僚には、「褒められるのが好きで、叱られるのが大嫌い」というタイプが多い。
子供か😂
僕だって叱られるのは嫌ですよ!!
ただ、まるで「ジャイアントベビー」の様だなあと思っていました。
佐藤さんは、官僚時代の思い出を語ってくれます。尊敬している先輩や上司、そういうエリート官僚達の中々聞けない話が随所に散りばめられています。
こういう内情って面白いですよね。
最後の一編
この章は、あなたのレビューが聞きたいと思うほどです。
この本の終わりとして選んだ佐藤さんの気持ちを察すると、本を手にとって読んであげて欲しいと心からそう思います。
おわりに
官僚に対してのイメージが柔らかくなりました。
流石に外交官なだけあって文章は緻密ですが、彼の優しい雰囲気が気持ちを軽くしてくれて、最後まで読ませてくれました。
レビューはここまでです。
お付き合いありがとうございました😊