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Laura day romanceの歌詞 

連作のEPが好きすぎて、どうしても書きたくなった。
例えば歌詞と構成、例えばsweet.ep 

『書きたい』

神様もいないような 朝迎えて また
ただただ歳をとって 電車に揺られている
甘えたい誰かに ひとりぼっちの君に
肩を寄せるような曲を 
(ここでサビに行く)書きたい 

このシンプルかつ美しいステイトメントにまずやられる。シンプルが故に詩になりづらいような気もするが、「書きたい」でサビに行くことで非日常感が急に増す。とんでもない書きたさが伝わる。シンプルだけど構成の魔法、楽しいアイデアだなと思う。

『春はバス』

春はバス それにかぎる
朝方 その調べをなぞると
ああ正しさは居てもなくても変わらない
車窓についた花びらがさ(ここでサビ)
振り落とされて舞う後
踏み潰されるとわかっても
今は綺麗と歌うのよ
涙が乾くまで

春はあけぼのでしょとまず言いたくなるけど、春はバス。
調べはあなたの言葉のこと。調べをなぞるとはつまり、かつてあなたと行った会話の言葉の感覚を思い起こしている。そうすると正しさがどうでもよくなる。そして車窓についた花びらが、未来に起こる絶望ではなく今の美しさを讃えている。しかも車窓についた花びらが歌うという比喩で。あなたの言葉の調べと、花びらの歌は同じなのかもしれない。文学的で少し複雑な構成の文章。散文と詩がせめぎ合い火花を散らしている。

『アイデア』

例えばワンツーとアイデアが降りてきて
僕らの日々を少し変えた
柄にもなく口笛を吹いて
あの日の猫とか見かけないが
世界の全てを見つめている
あの子の瞳に思い馳せて考えるうちに夜も明けて
あなたが起きる頃眠るのだ

アイデアが降ってきたら楽しくなり、口笛も吹いてしまう。
でもその楽しさに全てが肯定されるのではなく、世界の全てを見つめている
あの子の瞳に思いを馳せて、結果あなたが起きるタイミングまで眠れない。
アイデアの業みたいなものがすごくよく表現されている。世界の深淵にいるあの子にこのアイデアはどう映るのかがどうしても気になってしまう。

ルーラの歌詞は他者へのコミュニケーションにとても開かれている。気持ちいい余白があると言ってもいい。それはテクニカルとも言えるんだけど、そもそもすごく真っ直ぐな気持ちがあるから、それがとても味わい深く伝わる。意見表明でも、日常描写でもなく、文学的な趣を持った歌詞だなと思う。その歌詞世界を完全に活かし切る曲の構造もすごい。邦楽ロックの歴史の中で歌詞は様々に探求されてきたと思うのだけど、少し先に進んだ気がするくらいルーラの歌詞は推せる。

シンプルで美しいメッセージは花束を編むという曲も最高。


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