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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会
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#中国

民主主義の未来~ポピュリズム&ロビー政治vsエリート政治

民主主義の未来~ポピュリズム&ロビー政治vsエリート政治

大阪弁護士会の憲法委員会において僕が座長となって標題「民主主義の未来」の検討会をはじめることは、このMLでもご報告していたところです。いくつかの補助線を用意していますが、まずは、民主主義の統治における現在の問題は「ポピュリズム」とその評価にあり、その彼岸に「エリート統治」が対峙していることはご承知のとおりです。 

そのための教材として、アメリカの政治哲学者(右派に分類されています。)であるマイケ

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(4)

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(4)

中国は、昔から「科挙」で選抜された受験エリートが皇帝直属の官僚となり、広大な領土を直轄統治してきたのです。「科挙」に受かったエリートたちは、自らの知力と正当性に圧倒的な自信をもっていました。日本の世襲の役人による地方自治的な封建主義とはそこが違うのです。日本ではそのことによって多様な地方文化が花開きましたが、中央集権の直轄統治を可能にしてきた「科挙」(その実態は腐敗していたかどうかは、余り重要では

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(3)

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(3)

中国共産党の共産党員が受験エリートで固められるようになったのは、鄧小平時代以後のことです。
加えて受験エリートなら、虐殺、凌辱、陰謀、裏切りがないというご主張であればそれは違います。そのことについては科挙で選ばれた官僚が支配していた時代と同じく、受験エリートも山賊も同じことなのです。その事は中国の歴史が証明して
いるのです。 
そのことは科挙のあった(とはいえ、形骸化していたという評価がありますが

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(2)

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(2)

●前記事 「共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会」
ことの出発点は、法政大学という大衆大学卒業の学歴しかない菅さんが国家のトップになったのをみて中国共産党員が驚き、日本では農民工でも首相になれるのかと揶揄したということにあります。 

そうです。たかが受験戦争に勝ち切ることができず、二流大学を卒業したような知能に問題のある人物は、苛烈な中国の受験戦争を勝ち抜いてきた受験エリートである共産

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会

中国のエリートは、共産党員です。共産党員になることがエリートコースであり、出世コースです。そして党員になる資格は、事実上、精華大学か北京大学に入学しなければ与えられません。物凄い学歴社会です。背景には中国に伝統的な儒教的価値観、士大夫(読書階級)こそが社会のリーダーだという孔子様以来3000年(数字が合わないのはご勘弁)の伝統があるのです。官僚主義の出発点は中華エリートの言語マンダリンにありました

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(5)

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(5)

「敵を知れ」は戦いの定石です。中国共産党と共産党員の考え方を知ることは、そのために必要となります。

共産党の根本的な思想は、「理性的合理主義」です。徹底して社会を理性に基づいて合理的に設計することです。それが圧倒的多数のプロレタリアート(無産階級)を含めた人民全体を幸福にするための正しい方法だということを信じています。 

すなわち「理性による統治」です。天下を取った後、これを実施するのに必用な

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