TownTech教育 -情報発信授業編-
はじめに
TownTech教育では、文化財や寺社など地域にあるものを見学、調べてまとめることでまちのことを誇りに思う気持ちを育てます。前回の記事ではその準備としての Code for Fukuoka による情報モラル教育授業、リファレンスサービス授業について触れましたが、今回は小学校主体の見学授業、紙にまとめる授業、そして Code for Fukuoka 主体のWebサイトにまとめる授業についてです。
見学授業
まずは今回調べる4つの対象について、6月に2つを見学。11月に残り2つの見学に行きました。こちらは小学校主体での取り組みとなり、Code for Fukuokaは11月の見学に同行させてもらいました。
お寺見学
2つの見学のうち一つはお寺で午前中の2時間を使って行きました。お寺のご住職のお話を聞き、座禅を組んだり、お寺にある道具について話を聞きました。ご住職とは地域の付き合いで顔なじみの子どももいて、またお寺にはいつでも来ていいよと言っているのが印象的でした。
地域見学
次は午前中の4時間を使って、神社、お寺、海岸、文化財など複数のものを見学しました。地域の公民館の方が丁寧に案内、説明くださっていました。この地域の方も普段から子どもたちと接していることが多いようで、子どもたちもよく知ってるという感じでした。古くからこの地域が日本各地やアジアとの交流がある様も文化財を通して伝わってきました。
まとめ・調べもの授業
次は見学した内容を紙にまとめる小学校が主体となった授業です。Code for Fukuokaはリファレンスサービス授業で調べてきていたものやサポートという形で入りました。子どもたちは4つの班に分かれて各班に一つの調べものを割り当てられていました。他の班の子どもが見学の際にまとめたものを利用したり、いろいろな情報を改めてまとめる、ということに苦戦していました。
一通りまとめた後、より深く子どもたちが調べる観点として、先生より地域の歴史と日本の歴史との関わりという視点の授業が追加されました。地域を調べる中で出てくる日本の歴史上のものに着目することで、当時の地域が世の中にとって重大な働きをしていたことを認識することができました。
Webサイトまとめ授業
次に Code for Fukuoka 主体によるWebサイトへのまとめ授業です。一度紙にまとめているのでその内容を主にはWebサイトへ記載していく、と言った授業となります。各班(テーマ)ごとに概要ページ、テーマに関するページ、日本との関わりのページの合計3ページ準備し、担当分けして作っていってもらいました。時間が余った場合は地図への情報追記も挑戦してもらいました。
子どもたちが紙にまとめる際に描いた絵をそれぞれの班のページへ遷移する際に表示し、子どもたちらしいWebページが出来上がりました。
紙にまとめる際には場所を埋めることや一枚に仕上げることがメインとなっていましたが、Webページへのまとめは写真をいっぱい入れたり、文字の色や大きさを変えたり、ページ全体を見てどうしたら伝わるか、どうしたら見やすいかなど意識して仕上げてくれました。紙にまとめたときとはまた違う点で再度調べ直したり、より深みを持って仕上げることができているように感じました。
最終発表授業
最後に小学校が主体となって出来上がったWebページを使って、家族の方が来る授業参観にて各班から発表を行いました。ギリギリまで発表の練習やWebページの作成をして、発表自体もどう伝えるかなど工夫しながら仕上げていました。
この発表があることで「伝える」ということを特に意識して仕上げてくれたように感じました。
全体を通して
今回の実証授業を通して、 Code for Fukuoka で今まで考えてきたものを対象である小学生、地域に対して形あるものとして確認することができました。何より一番の目的であった地域に対して誇りを持つという点では、最後の子どもたちへのアンケート結果から「◯◯(地域名)には日本から人が集まっていたからすごい」や「◯◯(お寺名)を建てたのは◯◯さんだからすごい」などと言った地域に対する誇りを感じる言葉が出てきました。Code for Fukuokaが主体となって実施したものは全て子どもたちにアンケートを実施してきましたが、最初の方のアンケートでは模範解答的なものが多かったのですが、最後の地域の魅力はどこですかという質問には子どもたち一人一人の言葉になっていたように感じました。
TownTech教育の目的
自分たちの住んでいるまちのことを知り、まちを誇りに思う気持ちを育てること
調べた結果をWebサイトにまとめる過程で、相手に伝わるようにまとめることやWeb上に記載する際の注意点、正しい情報の判断などを身につけること
今回の実証授業を通して、ある程度目的としていたものは達成できたのではと感じています。ただ、これには実証授業させていただいた小学校の先生方とのやり取り、思いの一致が必須だったように思います。今回特に最後に追加された日本との関わりから地域を知るという授業も大きかったと感じており、お互い初めての挑戦ではありましたが、小学校と共創して実施できたと思います。