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「英語習得に大金を払うのは本当に必要か?――無料リソースと自己学習で十分という現実」


英語を学ぶために大金を払う必要があると信じている人が多い。大手の英会話スクールやTOEFL対策コースは高額で、授業料を払えば英語が身につくと思い込まれている。しかし、私はこれに強く反対する立場だ。実際に自分が試した結果、英語習得にお金をかけることは必ずしも必要ではなく、むしろそれは一種の「詐欺」に近いとさえ感じる。なぜなら、英会話スクールの多くは顧客に「やっている感」を与えるだけで、実際の成長に対してさほど関心を持っていないように思えるからだ。

彼らのビジネスモデルは、顧客に通い続けてもらうことが前提であり、一度スキルが向上して来なくなってしまうと利益が減少する。だからこそ、成長を意図的に遅らせるような指導法が選ばれているのではないか、という疑念がある。特に、私が受けたTOEFL対策コースでは、シャドーイングをひたすら繰り返させられたが、これこそ自分でできることだ。そして作文の添削は、今や無料のChatGPTの方がはるかに効率的で、的確だ。つまり、英語を学ぶために大金を払うのは必要なく、YouTubeやオンライン英会話などの無料もしくは低コストのリソースで十分に英語力を伸ばすことができる。

今回は、私自身の体験を元に、英語習得における効果的な学習法と、なぜ高額な英語教室が不要であるかについて掘り下げてみたい。

  1. 英会話教室の「やっている感」の罠

英会話教室の大手スクールは、顧客に「やっている感」を与えるのが非常に上手だ。毎回のレッスンでTOEFLの問題文を繰り返しシャドーイングさせたり、リスニングの反復練習を強調する。しかし、これらのタスクは自分でもできるものであり、特別な授業料を払って行う価値はほとんどない。

実際、英語教室での学習には、いわゆる「アクティビティ偏重」の問題がある。例えば、TOEFLやIELTSのような試験対策では、形式に沿った問題を繰り返し解かせることが主流だが、これが本当に実力を高めるかは疑問だ。シャドーイングやリスニング練習も重要ではあるが、それを大金を払って学ぶ必要はない。むしろ、こうした反復作業こそ、無料のリソースや安価な教材を活用して独学で行うべきだ。YouTubeには多くのネイティブスピーカーが提供する質の高いコンテンツが無料で溢れており、これを活用すれば十分な基礎力をつけることができる。

  1. 自己学習の効果的な方法:リスニングとシャドーイング

私自身が試した中で、最も効果的だったと感じる学習法は、本屋に売られている高校生向けのリスニング教材とシャドーイングを組み合わせた学習法だ。これらの教材は、非常に安価でありながら、リスニング力を飛躍的に向上させる。具体的には、音源付きの教材を使って、聞きながら発音を真似する「シャドーイング」を行う。この練習を繰り返すことで、耳がネイティブの英語に慣れていき、実際に話すスピードやイントネーションに対応できるようになる。

また、オンライン英会話も効果的な次のステップとなる。私は「ネイティブキャンプ」という比較的安価なサービスを利用し、外国人と無制限に英語を話す機会を持つことで、実際のコミュニケーション力を向上させた。最初はスムーズに会話ができなかったが、回数を重ねることで徐々に慣れていった。

  1. 医学的視点:脳が言語を習得する仕組み

では、これらの学習法がなぜ効果的なのかを、医学的な視点から見てみましょう。脳が新しい言語を習得する過程では、「脳の可塑性(neuroplasticity)」が重要な役割を果たします。特にリスニングとシャドーイングを繰り返すことにより、脳内の聴覚領域と運動領域が活性化され、発音の正確さやリスニング力が向上します。シャドーイングは、単なるリスニングに比べて、音を聞いてすぐに自分の口で発音するというアクションが加わるため、脳に対する刺激が強く、効率的に学習が進むのです【Dupoux, 2015】。

さらに、異なるアクセントやイントネーションに慣れることも重要です。実際に海外に来てみると、英語にも様々なイントネーションや方言が存在し、日本で学んだ「標準的な英語」が必ずしも通用しない場面も多々あります。これは、日本語でも地域によって方言があるのと同様です。異なるアクセントに対応するためには、様々な音源を聞き、多様な英語に慣れることが必要です。こうした訓練を通じて、脳が異なる発音を識別し、適応する能力が向上します【Best, 1995】。

  1. 無料リソースの活用で効率的な英語学習を実現

結論として、英語を学ぶために高額な費用をかける必要はありません。特に、YouTubeには質の高いコンテンツが数多く存在しており、リスニングやスピーキングの訓練に最適です。また、高校生向けの教材やオンライン英会話のような安価なリソースを組み合わせれば、十分な成果を得ることができます。

私自身の体験から言えるのは、英語学習においては「やっている感」を得ることよりも、自分で計画的に取り組むことが重要だということです。シャドーイングやリスニング練習を通じて、自分のペースでスキルを向上させ、オンライン英会話で実践することで、確実に英語力を伸ばすことができます。医学的にも、こうしたアプローチは脳の言語習得メカニズムに合致しており、効率的に学習が進むことが証明されています。

参考文献

  1. Dupoux, E. (2015).
    Dupoux, E., “Cognitive science in the era of artificial intelligence: A roadmap for reverse-engineering the infant language-learner,” Cognitive Science, 39(8), 2034-2044.
    • 言語学習と脳の可塑性に関する研究。
    2. Best, C. T. (1995).
    Best, C. T., “A direct realist view of cross-language speech perception,” Speech perception and linguistic experience: Issues in cross-language research, 171-206.
    • 異なるアクセントや方言に対する音声認識の研究。
    3. OECD (2020).
    Organisation for Economic Co-operation and Development, “Education at a Glance 2020: OECD Indicators,” OECD Publishing.
    • 教育への経済的投資と成果に関する国際的な報告書。
    4. Native Camp (2022).
    Native Camp, “Why unlimited English lessons make a difference,” Native Camp Official Website.
    • オンライン英会話の効果についての情報。

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