顔料のおはなし
こんにちは!
清澄白河にある製版会社、特殊阿部製版所です。
前回は「環境にやさしいインキ」についてお話ししました。
そのなかで、インキは
● 着色剤(顔料)
● ビヒクル(合成樹脂、油脂類、溶剤等)
● 添加剤(潤滑剤、硬化剤等)
の3つで構成されている、とお話ししましたが、
今回はこの中の着色剤に含まれている
〔 顔料 〕についてお話ししたいと思います。
顔料とは?
まず顔料とは何かというと、
着色に用いる粉末(粉なんです!)のことで、
水や油に溶けないものの総称です
(水や油に溶けるものは『 染料 』と呼ばれます)。
絵の具、化粧品はもちろん、印刷用インキ、塗料、
ありとあらゆる「色を表現」するものに使われています。
そもそも色とは?
しかしみなさんそもそも色ってなんだと思いますか?
たとえば、多くの品種のりんごは赤いですが、
どうして赤色に見えると思いますか?
わたしたちヒトの目が見ることのできる波長のことを
「可視光線」と呼びます。
可視光線の波長はおよそ360nm~780nmとなっており、
波長が短い順から
紫、藍、青、緑、黄、橙、赤
となっています。
モノの色を認識するには
①「物体」
②「光源」
③「観察者(錐体細胞)」
の3つが必要です。
①「りんご」が赤く見えるのは
②「太陽光」の下で
③「あなた」が見ているからです。
「りんご」が〔 赤色 〕に見える、というのは
りんご自身が「太陽光」の短い波長の光を吸収し、
吸収せずに残った長い波長の光(赤色)が反射され、
その反射光が「あなた」の眼の細胞に働きかけ、
脳が〔 赤色 〕だと認識しているからなんです。
決して「りんご」に〔 赤色 〕がついているわけではありません。
ですので、光源や観察者の状態によって「りんご」の色は変化します。
お店で買ったお洋服を、家のクローゼットにしまうときに
「あれ…?こんな色だったっけ…?」と思ったことはないですか?
この現象は照明(光源)が変わり、
反射される波長が変化したから起こっていたんですね。
もしかしたら宇宙のどこかには、
わたしたちがまだ知らない、
科学では説明できない光源が存在していて、
その光源の下でりんごを見ると、
想像を絶するりんごが見られるかもしれません🍎👀笑
ちなみに、
すべての波長を反射するモノは白く見え、
すべての波長を吸収するモノは黒く見えます。
顔料の種類
さまざまなものの「色の表現」に使われている顔料ですが、
その組成より、無機顔料と有機顔料の2つに大きく分けられます。
無機顔料
無機化合物からなる顔料の総称です。
天然鉱物顔料と合成無機顔料に分かれます。
共通する特徴としては、一般的に耐候性に優れますが、
色のバリエーションが限られているため発色が微妙です。
また、透明性(透け感)がありません。
● 天然無機顔料
天然の鉱物からつくられたものです(赤土や黄土、孔雀石など)。
古くから壁画や絵画などの芸術作品に用いられてきました。
● 合成無機顔料
金属を化学反応させることで化学的に合成された顔料のことです
(二酸化チタンや酸化亜鉛など)。
有機顔料
有機化合物を主体する顔料の総称です。
色のバリエーションが豊富で、発色にも優れていますが、
耐候性はあまり強くないです。
有機顔料はたくさんの種類があるのですが、
note担当おすすめ(※)は多環顔料です。
(※構造式が規則的で綺麗で見てて飽きない、という意です!)
その名のとおり、多環顔料とはたくさんの環でできている顔料のことです。
有毒な顔料
顔料は有史以前から使われていました。
きっと昔の人も「 好きな色 」で気分を上げたりしてたんでしょうね!
しかし古くは、お化粧のおしろいに「鉛」が使われており、
鉛中毒で亡くなったりする方もいました。
また、19世紀には「シェーレグリーン(ヒ素を含みます)」という美しい緑色の顔料が流行し、壁紙やドレス、子どものおもちゃなど、あらゆるものに使われ、病気になったり、亡くなったりする方が多くいました。
このような有毒な顔料に関するお話しは、
小説や漫画の中で使われたりすることもあるので、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。
実は現在でも、絵の具(※)などに有害な顔料が使われてたりします。
※プロや専門の方が使う用の絵の具です。
正しく使用すれば問題はありませんが、
ペットや小さいお子さんがおうちにいる方で、
購入する予定がある方は、保管場所などに気を付けてくださいね。
顔料の選定(グラス印刷)
ここまで顔料のお話しをしてきたのは、
このグラス印刷への布石でした…!!
グラス(ガラス素材)への印刷を行う際は、
無機顔料と有機顔料、どちらを使うか選べます
(素材や使用シーンによっては、選べない場合もあります…!)。
飲食店などで使用するロゴ入りグラスですと、
無機顔料での印刷が一般的ではありますが、
やはり発色が良いのは、有機顔料になります。
弊社では、素材の材質をはじめ
お客さまの使用シーンや求める品質をヒアリングした上で、
最適な印刷方法、インキ等をご提案させていただきます。
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