ランドセルの箱もお気に入りだから
息子のランドセルを受け取りに行った。
来年、小学生になるのだ。
わたしのスマホに着信があり、折り返すとランドセルを注文していたショッピングモールからだった。
来年の1月末までには届きます、とのことだったが、もう来たらしい。
めちゃ早かった。
さっそく、夫と息子と三人で受け取りに行った。
夜行ったので、ランドセル売り場に店員さんはおらず、レジには「かばん売り場のカウンターに声をかけてください」と書かれたプレート?が置いてあった。
かばん売り場のレジへ向かっていると、わたしが息子と手をつないでいる反対側の手にもっている紙に気づいて、店員さんが声をかけてくれた。
伝票を渡し、ランドセルの受け取りだと伝えると、その店員のおばちゃんは自分の孫かのように息子の頭を自然になでて、ちょっとまってね~とランドセル売り場へ案内した。
このおばちゃんは、ランドセルを大人でなく、息子に渡そうとしてくれているんだと思った。
そのあと、ランドセルを保管している部屋の鍵を持ってくるのを忘れるというおっちょこちょいなところもみせたおばちゃんは、あっはっは~と鍵をとってきて、息子のランドセルの入った箱を出してきてくれた。
息子の選んだランドセルには人気のゲームのキャラクターの絵がついている。
箱にもついていた。
6年保証の説明を受けている間、息子は箱にくいついていた。
どんな絵がついているのか、小さい手で大きな箱をまわしながら、全部の面を見ていく。
おばちゃんはそんな息子に気づいていた。
お店の包み紙のちっちゃいやつを、買いましたよ、と分かるように貼るのを、「テープで貼るのはやめとこうね、はがすとき箱が破れたらいかんから」と言って、ふたの隙間に挟み込むだけにしてくれた。
息子にとっては箱も特別なのだと分かってくれて、一緒に大事にしてくれた。
わたしと夫はめっちゃいい店員さんだったね、と言って帰ってきた。
自分で選んで、無事お気に入りをみつけることができた。
こうして、就学準備がひとつ進みホッとしている。
箱から出してみたランドセルは一見黒だけど、よく見るとグリーン。
「いい色だね」とわたしが言うと、息子は「うん!」と頷いた。
そして、少し首を傾けてニーッと笑って見せた。
わたしも真似してニーッと笑った。
おわり。