就職でのカミングアウトの反応ってどうなの?【トランスジェンダー(女→男)の就活実体験】
こんにちは、あずとです!
今回は就職活動の体験談(2015年秋〜2016年夏)やカミングアウトした会社の入社後などを書いていこうと思います。
※この記事はカミングアウトを推奨するものではありません。
この記事はこんな人にオススメ!
・就活時にカミングアウトするか悩んでいる方
・入社後にカミングアウトしようか悩んでいる方
・カミングアウトのメリット/デメリットを知りたい方
・カミングアウト後の反応について知りたい方
カミングアウトしないで就職活動をした時(2015年秋〜冬頃)
大学3年生の時、私はまだ性別適合手術を受けておらず、胸を取る手術とホルモン注射のみしていました。
そのため、見た目は男性でしたが、戸籍は女性のままで生活をしていました。(後に性別適合手術を行い、就職活動終了後に戸籍変更を行いました。)
「戸籍を就活で求められるわけではないし、周りからも男性として見られてるからわざわざ女性の戸籍であることをカミングアウトして就活しなくてもいいだろう・・・。」
そう思い、就職活動では履歴書の性別欄の【男性】に丸をつけて臨みました。(※性別適合手術をする予定がない方は履歴書の記載に迷うかと思いますが、コクヨさんが「性別欄のない履歴書」を発売しましたのでそちらを使用しても良いかと思います。)
すると、1次・2次面接は通過することが多かったのですが、3次4次面接になると不合格になることが出てきました。
なぜだろう、、と考えた時に、私自身本音で企業と話すことができていなかったのです。(もちろん、不合格はそれだけが原因ではないかと思いますが)
新卒採用は特に就業経験がないため、「どんな学生生活を送ってきたのか」「どんな困難がありどう乗り越えてきたのか」「企業に入ってどんなことをしたいのか」などを深掘りされます。
こういった質問をされた時に、一時的に答えることは出来るのですが、深掘りをされると私としては幼少期から性別違和に悩んできた過去が深層心理に紐付いているので、本音を話す事ができず、ごまかしながら話すことしかできませんでした。
実際に最終面接でのお見送り理由で印象的に残っている言葉があります。
「多分君、内定出してもうちにこないよね?本当にうちに行きたい気持ちが見えてこない。」と言われた事がありました。
その企業のこともいいなと思っていたのは本当なのですが、なぜその会社で○○をやりたいのか?と話す背景が、強烈な当事者意識(トランスジェンダーとして悩んでいた過去)に紐づいていたので結局最後まで「なぜやりたいのか?」の部分を話す事ができなかったのです。
カミングアウトして就職活動をした時(2016年春〜夏頃)
前述の通り、中々就職活動がうまくいかない日々が続き、焦りを感じていました。
そして、このまま本音や過去を隠して就活をしても、どこかで内定は出るかもしれないが、本当に行きたい会社や満足できる就職活動は出来ない・・・と思いまずは1社にカミングアウトしてみようと思い立ちました。
ものすごく緊張しながら、「実はわたしは元々女性で生まれており、今は男性として生きています。そのため・・・」と人事にカミングアウトをしてみました。
すると人事は「大切な事を話してくれてありがとう。すごく勇気のいる事だと思うし、本当の自分でこの面接に挑もうとしてくれた事が嬉しいよ。」といってくれました。
自分でも驚くくらい、すんなりその会社の人たちは受け入れてくれました。
結局その会社ではリクルーターもついて最終面接に行く事ができました。(後にいまの会社に出会ったため、人事の方にも相談した上で、最終面接前に予め辞退しました。)
もちろんこんなに理解のある会社だけではなく、上記の会社以外にもいくつかカミングアウトしてみた時の反応が以下です。
・A社「う〜ん、、、。うちは男性社会で営業成績も毎月張り出されるから、多分(女性の環境で過ごしてきた君には)難しいと思うよ。」
・B社「(ある会社で他社と迷っていると伝えた時)自分の彼氏が別の人にもプロポーズしてたらどう思う?会社も一緒だよ。」
→トランスジェンダー だと前回話した人事に伝えたのですが、その時は特段反応はありませんでした。その後別の人事と話した時に、私のセクシャリティが申し送りがされていたようでした。
でもなぜか私のことをゲイだと思い込んでおり結婚と就活のことを例えてきました。そもそもセクシャリティも間違えているし、日本は同性婚できないしとツッコミどころ満載でした。セクシャリティに対する差別はなかったのですが、他にもオワハラが満載だったのでそういった会社は辞退しました。
いくつかの会社にカミングアウトをしましたが、正直いい反応もあれば、カミングアウトがきっかけでお見送りの理由に影響している会社もあり、半々くらいでした。
結局今の会社を選んだのは、会社の理念に共感したからですが、その時の人事や他の面接官がみんな私のセクシャリティを知っても特段反応が変わる事がなく私自身の考え方やこれまでの経験に耳を傾けてくれた事はとても好印象でした。
カミングアウトして入社した、その後はどうなの?
私は今の会社に選考時にカミングアウトをして入社しました。もちろん私のセクシャリティについては人事の人や面接官のみが知っていて、選考時に関わっていない会社の人たちや同期は知りませんでした。
仕事をする上でカミングアウトをする必要はなかったのですが、私は会社の人たちや同期と一緒に過ごす時間が増えるにつれて、本当の自分について話したいと思うようになりました。
なので入社して数ヶ月後に同期や仲の良い会社の人などには、個別に話していき、最終的にはほぼ全社に自分のことをカミングアウトしていきました。
やはり驚く人も多かったし、中には「え、これからお前のことをどうみたらいいの?もう家とか泊められないわ〜」と言われてしまったこともありました。。
その時に、すでに私からカミングアウトを受けていた同期が「○○さん、それ違いますよ。別に今まで通りでいいんすよ。」と窘めてくれました。
こんな風に他者にちゃんと言ってくれる人はまだまだ稀かもしれないですが、社内に味方がいるのはすごく心強いと思いました。
全社にカミングアウトしてみて、差別されたりひどい言葉を投げかけられる事はほとんどなく、現職はかなり理解があるほうだと思います。
ほかの会社でも同じようになるかといえば、そんなことは無いかもしれませんが、やはりまずは自分の信頼できる人に話して行き、味方を作っていくのがよいかと思います。
会社へのカミングアウトのメリット・デメリット
私がいくつかの会社へカミングアウトをしてみてメリットに感じた事、デメリットに感じた事は以下です。
◾️メリット
・嘘を付かなくていいのでありのままの自分の話ができる
・入社後もバレるかどうか気にしなくていい
・カミングアウトの反応で、本当の会社のスタンスや社風が見えてくる
・印象付け、他者との差別化ができる(良い意味でも悪い意味でも)
◾️デメリット
・毎回カミングアウトするストレスはある
・人によっては差別や偏見がうかがえる態度をしてくる
・古くて理解がない会社だと選考結果に影響してくる
・情報管理の点で不安が残る
※基本的に面接官や人事の中ではセクシャリティに関して情報共有されていますが、できるだけ関係者のみ、最小人数で情報を管理して欲しいなどあれば予め人事の方に伝えたほうがいいです。
就活時にカミングアウトする人はここに気をつけて!
あくまでカミングアウトは個人の自由なので、推奨するものではありません。
ただ、もしカミングアウトしてみよう!と思っている方がいたら以下のことに注意して話すと良いかと思います。
①カミングアウトをして何を伝えたいのか、相手には意図を一緒に伝えましょう
→本来、選考にはセクシャリティは関係ありませんので話す義務はありません。
それでもカミングアウトをしてきたのは、どういった理由なのか?何を伝えたくてカミングアウトしたのか?
相手にわかるよう伝えてあげると自分の意図と違う方向に解釈されることにはならないかと思います。
②相手はセクシャリティについて知識がないかもしれないと思って丁寧に話しましょう
相手の年齢によっては、トランスジェンダーやXジェンダーと言ってもわからない方や勘違いする人もいますので、できるだけわかりやすく説明しましょう。
補足:LGBT向けの就活サイト
最後にJobRainbowさんというLGBT向けの就活サイトがあります。
ここでは福利厚生が同性パートナーにも適用される会社や、性別適合手術用の休暇制度がある会社、服装や髪型の自由、先輩社員なども載っています。
ただ、ALLY企業が載っていますが、どんなに制度や研修が整っている会社でも実際に働く職場や人は都度変化していきますので、面接の中できちんと自分の目で見て社風をよく確認することをお勧めします。
また、個人的にはこのサイトで企業を探してもいいと思いますし、まだ比較的新しいサイトなので求人数が少ない、条件面が良くないなと感じる方もいるかもしれません。(もちろん、いい条件の会社もあります。)
なので一般のサイトでも同時並行で会社を探しながら、自分の中で何を一番優先して働きたいのか、どこまでなら自分でもカミングアウトできそうか、カミングアウトしない方向で行きたいかなど自分の就職・転職軸を整理して就職活動をされることをお勧めします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
内容に関しての質問やこういったテーマが知りたい、感想などあればぜひコメントいただけますと幸いです^^