28歳、ボルトと過ごす日々。3
コルセット療法から手術に踏み切ったのは大学2年生の時。
ずっと背骨の経過観察をしていたが、コルセットをしてもなお、指標となる角度の45°まで曲がっていた。主治医の先生から、「手術」という言葉を聞いたとき、診察に同伴していた私の母は冷静に受け止めていたのを思い出す。
内心は不安だったに違いない。ただ、先生から症例や術後について説明を聴いている間は、淡々と受け答えしていた。
家に戻り、仕事から帰宅した父に報告。
普段はフニャッとした父だが、この時ばかりは口を真一文字にむすび、そうか、と一言呟いた。まぁ、先生なら大丈夫だろう、と自身に言い聞かせるように頷いていた。
不安でも子供の将来の幸せをひたすら願う親の姿に、術後しばらく経った今日この頃、無償の愛の尊さというものをひしひしと感じる。
当の私はというと、もちろん不安はあったが、手術という未知の体験に少し興味を隠せないでいた。