” 謙虚な輝き ” は、物静かに美しい
アサガオや月下美人など、1つの花が咲いてからしぼむまでの寿命が、おおよそ1日しかない花のことを、
「一日花(いちにちばな)」と呼びます。
アサガオが朝の一日花ならば、月下美人は夜の一日花。
一日花の命は短く儚い印象を持ちますが、
一つの花ビラが咲き儚く散ってしまったあと、続けて別の花ビラが咲き、舞い散る。
そしてまた別の花ビラが咲いてくれる。
咲いては散り、咲いては散りを止めどなく、次から次へと花を咲かせ、しばらくの期間、美しく彩ってくれる一日花もあります。
木枯らしが吹き始める冬場の草木は、お花が少なくなる時期。
にもかかわらず、この冬、たくさんの花を咲かせてくれたお花がわが家の玄関先で「華」をふるまってくれました。
人目を引く鮮やかな紫色の花がたくさん開花するのが魅力の熱帯花木。
シコンノボタン(紫紺野牡丹)でございます。
次から次へと咲かせていく花ビラは、
光沢を帯びたビロードのような、目を引く深みのある濃紫色は、インパクトがありながらも鮮やかに映る。
そして、大きく開いた花びらの中央から、くねくねと長く伸びた雄しべが印象的。
よく見ると、まるでクモの足に見えることで、別名「スパイダー・フラワー」とも呼ばれているそうです。
濃紺に近い濃い紫色は、物事に動じない「平静」で「謙虚」な「徳」のある振る舞いをする人の印象があり、
ゆえに、花言葉は " 謙虚な輝き "
ひときわ目を引く美しい花なのに、野に咲く物静かな平静さがある、とでもいいましょうか。
日本人の好む雰囲気・佇まいが投影されているようです。
一つの花びらの寿命は短くとも、別の花ビラが連続的に咲き続けることで美しく輝きづつけることができる。
私は、謙虚さは周囲の人の助けを得るのに重要な役割を果たす、その心を大切にするべきだと教わりました。
私たちは、一人では生きていけない。
自分が支えていると思っているものに所詮は支えられている。
誰かに助けられなければ生きられないことを認めなくちゃいけない。
とかく人は、逆境の時に謙虚になりがちですが、幸福を感じている時にこそ、謙虚でいられる勇気が必要。
私が出かけるとき、玄関先のシコンノボタン(紫紺野牡丹)はこう言います。
「みんなが心地よく生きるためには、年上の方に対しては謙虚さを、同僚に対しては礼儀正しさを、年下は優しく振舞うことを忘れないでね。」
そうだね。他人から安心感を得ようとするのではなくて、私が他人に安心してもらえる人にならなければいけない。
そういえば、安心感のある人ってなんだか、物静かな平静さをありながらも、ひときわ目立つ美しさがあるよね。