「発明を実施するための形態」は何を書くか?
(Q)特許の出願書類の「明細書」の中で、「発明を実施するための形態」という項目があります。
ここには、どのような内容を記載すればよいのでしょうか?
(A)特許庁による「明細書」のひな形によれば、「発明をどのように実施するかを具体的に記載します。」
<解説>
特許庁による「明細書」のひな形を参考にすると、「発明を実施するための形態」には、
発明をどのように実施するかを具体的に記載します。
ここで、「実施」とは、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡、貸渡し、輸入などを言います。
しかし、これらをすべて記載する必要はありません。
例えば、物の譲渡、貸渡し、輸入などを、どのようにするかを、いちいち説明しても意味がありません。
一般には、その物をどうやって作るか(生産)、どうやって使うか(使用)を中心に説明します。
以上は、原則的な考え方ですが、単に法律的・形式的な考え方とも言えます。
以下では、もう少し実務的な考え方を説明します。
特許の出願書類には、「明細書」のほかに、「特許請求の範囲」があります。
この書類は、一言で言えば、発明の内容(特許を請求する範囲)を、文書で記載するものです。
このため、ある程度、抽象的な内容を記載することになります。
そこで、「発明を実施するための形態」は、特許請求の範囲に記載された抽象的な内容を、
具体的に説明するもの、と考えることができます。
そこで、発明のいくつかの具体例を挙げます。
その具体例の、「構成」「作用」「効果」を意識して記載していくと、よろしいかと思います。
むしろ、上述した、その物をどうやって作るか(生産)、どうやって使うか(使用)については、
いわゆる当業者にとって自明であれば、必ずしも詳細に説明する必要はありません。
その具体例の「構成」「作用」「効果」の説明の方が重要な場合が多いです。
その理由の一つは、「特許請求の範囲」の内容は、将来的に変更(補正)されることがあるからです。
審査の段階で、類似する先行特許が提示された場合に、先行特許との違いを主張する必要があります。
その違いを主張する「ネタ」を、「発明を実施するための形態」の中に、「埋め込んで」おくのです。
いかがでしたでしょうか。大枠についてはご理解いただけたと思います。
では、上述した「具体例」とは、どのようなものを、どの程度の数だけ挙げればよいでしょうか?
この点については、また別の記事でご説明したいと思います。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営