ジェネ本から発想してジェネレーターを体感する合宿
1 天皇はじまりの地、橿原神宮前駅にて
1月28日13時。時折、雪がちらつく寒空の下。6人のジェネたちが群馬から、神奈川から、大阪から、兵庫から、橿原神宮前駅の中央口に集った。お久しぶりの人も、初めましての人も。今回は、このメンバーで、ジェネ本を使って発想をたのしむ読書会を開く。読書会といっても、いわゆる「理解」の読書ではなく「発想」の読書。それを、24時間の合宿を通してあーだこーだ言いながら寝食をともにしつつやるのだ。集合場所は、天皇はじまりの地、奈良県橿原市は橿原神宮前駅中央口。
2 ジェネ本合宿のきっかけ
そうそう。今回の企画は、1ヶ月前、We are generators SideBで「KJ法」ならぬ、「YJ法」の研究開発合宿をしたのがきっかけ。Y(わいわい)J(ジョイフルに)、Y(予定調和)J(じゃない)、そんな24時間を経て生まれちゃった「YJ法」。後日のミーティングで、これをジェネ本を使ってやってみるのもいいねというヒラメキにトキメキ、すぐさま開催に至った。なので、今回の企画は、いわゆる「イベント」「セミナー」の類ではなく、今まさに開発中のプロトタイプをみんなで試して遊ぶ「開発研究合宿」なのだ。
https://scrapbox.io/wearegeneratorssideb/We_are_Generators!_Side_B_2022年12月逗子合宿ミニレポート
3 まずは歩くことからはじめる
まずは、お決まりのFeel度Walkから。とはいえ、「それではまずFeel度Walkをしましょう。」「何となく気になることを・・・」「その目的は・・・」「今日の予定は・・・」と事前に説明や案内をするわけでもなく、ただただ橿原神宮を目指して歩きはじめる。この時誰も意識していなかったけど、実は、このはじまり方が大事なポイントだということに後々気づいていくことになる。それは、アイスブレイキング的なこととか、チェックイン的なこととか、そういうありきたりなことではなく、この歩いて見つけた「体感」を伴う発見が、のちの読書会での発想の重要な材料になっていったのである。ジェネレーターは「体感」を大事にするので、脳内のメモリーだけでなく、全身で「体感」したことから無限に発想をすることができる。「そう言えばあの時のあれ・・・」といった感じで、「体感」したことをいくらでも後付けする。だから、まずは歩くことからはじめるのである。
4 カードづくり
橿原神宮参拝後、15時ごろに今回の宿『あるがまま』に到着。たくらみ実験するにはこれまたいいサイズ、雰囲気の場所だ。落ち着いたところで、さっそく各々がジェネ本を取り出し、ゆるゆるとはじめていく。まずは「カードづくり」。流れはこんな感じ。
30分くらい?このあたりから時間を全く意識していないので、時間感覚がわからない(笑)。このカードづくりは下準備の部分なので、じっくり吟味するというよりは、あまり頭を使わず作業的にやるといい。だから、この作業は事前にやってくるよりその場でパパッとやってしまう、でよし。そのほうが偶発性も高まるはず。
そして、この人数でひとり12枚というのは結論としてはちょうどいいと感じた。ちなみに、りきさんは悩んだ末、カードづくりは参加しないことにしたよう。
5 かるた大会
みんなが書き終えたところで場所を屋根裏に移動。明かりの調節部分がキャップになっているという遊び心に影響されつつ、かるた大会のはじまりはじまり〜。ここもじっくり考えるというよりは、直感でどんどん進めていくことが大事そう。そもそも「かるた」風にしたのも、熟考よりも瞬発的な閃きの方にマインドセットするためなのだろう。いかに「思いつきレベル」のことも含めてアウトプットできるかが可能性のカギ。この後の流れにもいきてくるウォーミングアップの意味合いもあったんじゃないだろうか。流れはこんな感じ。
もちろん瞬発力には個人差があるので「はい!」とカードを手に取る数の差が生まれてくる。本来のかるたはその瞬発力を競うわけだが、ここではそれは重要ではない。むしろ、その差によって何が生まれるのかということを考えたい。個人的に面白かったのは、枚数を重ねていくうちに「あ〜!それ取ろうと思ってた〜」と徐々にメンバーの注目するカードやタイミングが重なっていったこと。また、選んだカードは本当に繋がりがあるのかということはいちいち検討しないことも重要。むしろ意外性に目を向けると偶発性が高まり可能性も広がる。ただ、「おてつき」の下りは遊び心としては必要(笑)。あと、12月の合宿では1枚につき4枚選んで5枚1セットにしていたが、今回はそれを3枚1セットにした。これもちょうど良かったんじゃないだろうか。あとの表札作りのところが少し書きやすくなったと思う。はじめての人にとってはこれくらいがいいんじゃないかな。
6 表札づくり
かるた大会で盛り上がった後、ここが一番頭を使うところ。そう、「表札づくり」だ。やることこれ。
これは、KJ法でいうところの「表札づくり」。この3枚を踏まえて、つまりどういうことなのかということを一文で表す。単語ではなく文章にする。ここが文章力を通した発想力の鍛えどころ。僕は前回ここで苦戦してしまったので、今回は一発で一文にするというよりは、思いついた一文をとにかく書き出してみて、そこからさらに文章を修正していくことにした。他のメンバーは、「これ面白い!」「うーん、難しい」と反応は様々。単語で出したメンバーには、後の活動で出したときにその場で文章にしてもらった。このルールはちゃんとルールとして置いておくことは重要そう。どっちでもいいよ、ではなく。これやりがち。梅棹先生的に言うと、ちゃんと「規格化」するということの重要性でもあるかな。もちろん、間違って出すこと自体は全然OK!むしろ、「ごめんなさい!みんなアイデアちょうだい!」と場に出せることが大事だ。
7 連歌
確か17時半ごろ。表札づくりを終えてから近くのお好み焼き屋さんにて夕飯をいただく。もうすっかりあたりは暗くなり、寒さも厳しさを増す中での鉄板を囲みながらの夕食はなんとまあ幸せなことか。温まって冷やされて、また温まっての繰り返し。その中で身も心も血行が良くなり、自ずとみんないきいきしていく。しかもそれがまた、決められた拍子に合わせるのではなく、一人ひとりが生み出す場のリズムに合わせていくので、この時間の流れ方自体が実に心地よい。そんな心地よさから生まれるものはきっと良いものに違いない。そんな意識も働いていただろうか。アルコールの力も借りつつ、このあたりからおふざけが増していったように思う(笑)。
19時ごろかな?温まって緩まった一同は、再び模造紙を囲みはじめ、連歌をはじめていく。やり方はこんな感じ。
はじめに切り出したのは僕。はじめに出すべきものっぽい感じがしたので。
“語源をたどることによって、これがどの地から湧いてきて、どんな水脈をつくり、どのような使われ方をしてきたのかということに思いを馳せるのである”
2回読み上げて、3枚のカードも並べる。そこから他の人たちが呟く。
「どうして水脈という表現が出てきたんだろうね〜。」
「見えない地下の水脈を感じるっていうのをジェネレーターはやっているよね。」
「ファシリテートって「誰が」「何を」見えやすいけど、ジェネレートってそれが見えにくい水脈みたいな感じがある。」
僕は内心、(そうそう!)(いや、それはね・・・)と言いたくなりつつもそれを堪えて、ただメモをし、でも内側ではあれこれ考えを巡らせていっている。言いたい放題言ってくれるので、自分を超えた意味さえ発見されていく。
そして、これくらいかな?というタイミングで次の人が、出された表札との繋がりのなかで次の表札を出す。出したのは、にょんさん。
“場とは、おさめるのではなく、おさまるのを信じてふるまうことだ。”
おおー、と一同感嘆の声を漏らす。
「おさまるって言う表現がまさにその通りだよねー。」
「待つのではなく、あくまでふるまっているんだよね。」
「ギラギラいろんなところを見て、あくせくする感じ。」
さっきの「水脈」もそうだけど、この「おさまる」という言葉も大事なキーワードだなということが何となく共有され、その言葉を起点にして、考えを深めたり、そこから次を発想したり、この後も何度も使われていく言葉になる。
こうして、19枚の表札が出された。気づけば、時刻は0時をとっくに過ぎていた。マイケルは「ジョーカー」と宣言したカードを最後に残して眠りについていたので、最後の1枚は翌朝にお預け。一旦、1日目はここまででお開きにして、ここからは言葉も寝かせ、僕たちも寝る。睡眠学習の時間(笑)。
8 フリートーク・オープンエンド
朝8時。朝食をいただきながら、オーナーの宇宙人話を聴かされる(笑)。これもまたひとつインパクトのある体験で、当然のことながらこの後の流れにも影響してくる。朝食後、模造紙に表札を縦に並べていったものの両側に、聴きながらメモをしていた付箋を、何となくその表札に関連して書いたものを近くに置いて並べ直した。すると、これまでキーワードで何度も出てきていた「水脈」にも、「背骨」にも見えてくる。そう、これ自体が新たな「知図」のかたちになって自ずから浮かび上がってきたのだ。そしてここで最後の「ジョーカー」をマイケルが投入!
“「生成」say!say say say(生成と言え!)ポールマッカートニー”
えー!!!!!そうきたかー!ジョーカー感あるぞー!ルールは思いっきり破ってるけどー!てな感じで衝撃なラストを飾ったわけだが、これがまた何かの意味を生み出しはじめる。ここからは、フリートーク。よくある「まとめ」やキレイに「分類」することはしない。チェックアウトで一人ひとり感想を述べる時間も持たない。とことん思いつきを発散してそれを付箋に書いて空いているスペース(空白・宇宙)に貼っていく。直接模造紙にも書いていく。そうすると、さらに「知図」としても豊かなものになっていき、全体を俯瞰して見ることで、書かれているもの同士が相対化されて、そこからも新たな発想が生まれていく。無限発想装置になるのだ。これをそれぞれが持ち帰って、それぞれで生かしていけばいい。それでいいじゃないか。そうして気がつけば11時。終わりの時間ギリギリまでフリートークを続け、時間が来たら終わる。究極のオープンエンドだ。
9 終わりははじまり
最後に集合写真をパシャり。この写真の反対側には、窓から畝傍山が見え、ちょうど橿原神宮がある方向。そうだ、僕たちは橿神フォースの力も借りながら、これほどの知を生成できたのだ。ステキなオーナーとも別れを告げ、一同は集合場所の橿原神宮前駅に帰っていく。合宿自体は24時間で終わった。しかし、ジェネレーターの道は常に「はじまり」しかない。「終わりははじまり」というのは、毎日が「はじまり」の連続だとも言える。「はじめることではじまる」ということもキーワードのひとつだった。
というわけで、僕のこのレポートも「終わるためのまとめ」ではなく、「はじまりのきっかけ」になるはずだ。そういう思いでここまで書いてきた。具体的には、まずは「YJ法」をともに開発したsideBのメンバーにも報告してこの先の実験に役立てたい。さらには、僕とにょんさんが活動している「UMIDAS」というグループでもこの読書会の方法を実験していくことになったのでそのための参考資料にもなるだろう。次はこんな風にもやってみたいなーとか、こういうことが大事そうだなーとか、そういうことを仲間たちとあーだこーだ言いながら、また、新たなたくらみをはじめていきたい。
そして、僕だけでなく、他のメンバーも合宿後にいろいろとやってみはじめているのが面白い。さてさて、今後がますます楽しみだ。
1)りさの作詞
2)にょんさんのnote
▼vol.1
▼vol.2
▼vol.3
3)りきさんのfacebook投稿
3)とっくんの「作曲」
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