「子育て経験ないのに、子どもを預かる仕事なんて務まるのか」と悩んでいた時の話。
初めて軽度発達障害の子ども向けの療育教室を担当したとき、私は25歳でした。
新卒で入社して4年目。
新しい教室の立ち上げです。
子ども向けのサービスの担当は初めてで、教員免許はあるものの現役で教壇に立った経験はありません。
子育て経験どころか、結婚もこれから。
「子どもの成長に携わる仕事がしたい!」学生の頃からの夢だったはずなのに。
いざその機会を手にしたら、
「子育て経験もない、教員・保育士経験もない私は、子どもを成長に導くのに相応しいのかな。
懸命に相談してくれるお母さん達の気持ちに、ちゃんと寄り添えているのかな。」
と悩みました。
そんな時、あるお母さんにかけてもらった言葉が、今でも心に残っています。
思い悩んでいた私がつい、面談の時の雑談でお母さんに聞いたこと。
「この教室は私も含めて若いスタッフが多いんですけど、こうして話をした時に、子育て経験ないのに何がわかるのかなとか、"わかります、わかります"って言われるとイラッとしたりとか、ありますか?」
そのお母さんは、こう言いました。
「そんなこと思わないですよ。子どもだって人間だから、色んな顔を使い分けて過ごしてると思う。親だからって、子どものことを全部わかるわけじゃないし。だからこそ、親のいないところでどんな風に過ごしてるのかな、どこが成長していて、どこを頑張らなきゃいけないのかなって、親じゃない人の視点が知りたいから通ってるんです。先生がうちの子の色んなことを教えてくれて、すごく助かってます!!」
なんか、ジーンとしました。
「もう、こんなこと言ってちゃいけない。プロとして、責任もってやってるんだから、胸張ってやろう!」と、心に決めた瞬間でした。
この業界に興味があるけど、これまで福祉や教育の勉強してきてないしとか、資格もってないしとか。
採用活動をしていると、
「こんな私でも務まりますか?働き始めてから学んでも間に合いますか?」という質問をよく受けます。
そりゃぁ、知識も資格も経験も、あるに越したことはないです。
でも、それ以上に大切なのは、
「プロとして、"お子さんと一緒に成長する"」という覚悟をもつこと。
働き始めてから出会う出来事から逃げずに、自分の経験として学び続けること。
目の前のご本人やご家族の選択を尊重し、誠実に向き合い寄り添うこと。
この言葉は、この時の教室から離れた今でも私の心にずっと刻まれ続けています。
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