固有感覚ってなんだろう?
今回は3つ目の基礎感覚である「固有感覚」について紹介します。
基礎感覚のひとつである固有感覚は、筋肉を使ったり関節が動いたりしているときに自分の体の部位の位置や姿勢の情報を脳に伝える感覚です。触覚や前庭感覚の情報とともに、身体地図や運動行為の発達に重要な役割を果たします。
主な働き
固有感覚には主に以下の働きがあります。
①力加減の調節
脳の今までの経験に基づく指令で筋肉を収縮させて、その結果を脳に伝えます。
②姿勢のコントロール
自分のからだがどのような位置にあるかの情報を伝え、各部位の位置を調整します。
③感覚の連携
視覚や前庭感覚などの他の感覚と連携して、複雑な動作をサポートします。
④身体地図の形成
それぞれの関節の位置や、筋肉の張り具合など体全体の様子を脳に伝えます。
⑤覚醒の調整
固有感覚は覚醒をほどよい水準に維持する働きが強いと言われています。
⑥情動の安定
豊富な固有感覚を得られる筋肉の活動は、ストレスを上手に消費します。
感じる感覚の種類
固有感覚では、筋肉や関節を通して、からだの部位の位置や動き、力加減などを感じます。
姿勢を保つときやからだを動かすとき、筋肉の収縮や体重のかけ方の情報を無意識のうちに使っているのです。
固有感覚が基礎となる発達
運動の学習に固有感覚は重要な役割を果たします。こどもは先生の動きのまねを通して新しい動きを習得していきます。自分の体がどのように動いているかを知るには固有感覚からの情報が大切です。
自分の動きがわかるようになると、ことばの指示と結びつけて動くことができるようになります。もし自分自身の動きがわからなければ、ことばの指示をうけて動いたり、ことばを使って相手を動かすことも難しくなるでしょう。
このように、固有感覚からの情報は他の感覚と連携しながら、こどもの発達の様々な面で重要な役割を果たしているのです。
参考:
土田玲子(2013)『感覚統合 Q&A 改訂第2版-子どもの理解と援助のために』協同医書出版社.
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