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短歌の感想を伝える ツマモヨコさん

ツマモヨコさん 
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そこそこに働いて産め 親戚は芋焼酎のフォントで喋る

(Twitter2022年10月1日/連作「蜜芋」より)
この一首と連作の引用元はこちら

連作内のどの短歌が「甘い蜜」か
作者が問うていること
作中の「焼酎」「そこそこに働いて産め」
から酔った親戚が年頃の女性に対して
相手を思って台詞を発している
情景を思い浮かべました。
そしてそれは
心配の体を成しているだけなのだろうと。

理由として芋焼酎のフォントは
どれも穏やかではありません。
(黒○島とか魔○とか)
「産め」と「親戚」間にある空白が
作中の主体と親戚の精神的な距離を感じます。
傍目には甘言であっても
主体には諫言なんだと感じました。

昨秋に作品を拝読してからずっと
持ち続けているイメージなのですが
歌人ツマモヨコさんを
何かに例えるなら「書店の文芸書売り場」であり
一首を拝読する時に抱くイメージは
強烈に「本」です。

人が1冊の本を手に取る理由はそれぞれで
紙質・装丁・フォントといった
直感に好意を覚える方もいれば
帯分やあらすじ(もしかすると結末)を読んで
手に取ってみる方もいるでしょう。

本を読み進め作中の出来事から
作者のパーソナリティを想像する。
途中で栞やスピンを挟んで読み直す
すると今まで見えなかった情景が浮かんでくる。
様々なシーンに喜怒哀楽を覚え
読了後に自身を省みる。
自身とは異なる点を愛おしく感じる。

こういった読書で得られる
思考の流れや感情の起伏を
ツマモヨコさんの短歌を拝読した時にも
私は強く感じます。

もちろん作品の全てを理解したとは思いません。
安易に「よく分かります」と言えない
(上記連作の六首目とか)
言葉では言い表せられない
何かを感じる一首も沢山あります。
しかしそれすら
「著者は知っているが
 自分には足りない経験や感情の存在知る」
読書体験に似た気づきがあるのです。
(母国語で書かれている本なら誰でも
 読めると思っている方って案外いませんか。)

とても好きなのに
何故好きなのかを今の自分では説明ができない
そんなツマさんの短歌を自分の言葉で
しっかりとお伝えができるように
なりたいと思っています。

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