2024年4月の短歌
※特定のどなたかに差し上げた一首
いちごつみ等の共作は記載しません
多国籍宇宙船内誰一人普通を決める議論もせずに
借りてきた普遍を開く虹色のスペクトラム光線銃を撃て
全部嘘今更何を玻璃の中記憶の中に埋めて四月
君はきみ、僕にはぼくのしがあって軽やかに舞う桜散華は
少しずつただ穏やかに確実にわからなく(わかった気に)なる他人も自分も
五線譜を泳ぐ昨日を追い越して拍手のように雨音の鳴る
諸手上げ春風みたく振る人の足に隠した危険カミソリ
生きたがる身体をいつも疑って言葉を吐いた哀れな四つ足
消えたがる心を今日も誑かし人のふりする言葉の獣
はりぼての大人社会を指差して笑う七時の子供キャラバン
ただ同じ年に生まれた人たちと一緒に入る同じゴミ箱
正しさになぶられ続けなお虚無を探し続ける肉体の王
かけ違うボタンをいつも直さずにダラダラ流すサビのない歌
港町七丁目の書架五列目の隅に埋もれた『雨月』をすくう
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