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時価総額でヤフー等擁するZや楽天より大きい医療エムスリー。同サイズの米国ピアVeevaと比較すると成長率・収益率の改善・横展開可能性の面で見劣りするかも~【分析:日米高成長企業の評価・統治・給料】

皆様こんにちは、本日は医療セクターSaaSの高成長企業Veeva(以下VEEV)を見ていきたいと思います。適宜、同セクター且つ実はヤフー等擁するZホールディングスや楽天より時価総額が大きく、売上高成長率が401/3401位(日本の不動産・金融を除く直近本決算数値)のエムスリー(以下M3)で比較したいと思います。

概要

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VEEVのIPO以降の価格リターンは↓です。両社ともに素晴らしいパフォーマンスとなっています。(VEEVは青、M3はピンク)

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出典:Yahoo Finance
注:VEEVは無配でM3は有配なのでTSRではもう少し差が広がります

現在の時価総額は、両社とも約3-4兆円と拮抗しています。

両者とも非効率な医療セクターの革新をはかる企業なので、今後世界でガチンコの競争が繰り広げられるかも知れません。

現在の市場評価

VEEVの財務推移は↓です。

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SaaS銘柄では珍しく創業の早い頃から純利益率・FCF率がプラスで、かと言って成長率が阻害されているわけではない所が特徴的です。粗利率・FCF率が継続的に改善している所が好印象です。

VEEVのビジネスは主に、

①CRM(顧客関係管理。世界で約1600万以上の医療プロフェッショナル等)

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②TMF(Trial Master File 治験管理)

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③RIM(申請情報管理/規制当局対応)

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VEEVの商品開発はエンジニアCEOらしく機能性・効率性追求の姿勢が伺えます。また③は現在の世界トレンドである無駄の塊の政府セクターの効率化・GovTechの流れもあり、医療セクターのみならず食品・化粧品・その他規制セクターへの横展開も望めそうです。

一方のM3はざっくりと言うとVEEVと同様に上記①②をやるとともに、

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④採用、⑤経営サポート、も行う展開となっています。

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↓M3の社名の由来通り、エンジニアリング能力というよりは、メディアによるマッチング・コンサルCEOを反映して経営支援に力点があるように感じます。

社名のエムスリーは医療(Medicine)、メディア(Media)、変容
(Metamorphosis)の3つのMを表しています。インターネットというメディアの力を活かして、医療の世界を変えていくことが、当社の設立の志です。

M3の財務推移は↓です。

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VEEV同様に創業の早い頃から純利益率・FCF率がプラスで、かと言って成長率が阻害されているわけではない所が特徴的です。但しVEEVとは異なり、粗利率・FCF率が若干低下傾向なのは気がかりな所です。

以上を踏まえてバリュエーションを見てみると、

(当マガジンは安定性ではなく成長率に焦点を当てて、日本メディアでは珍しく黒字赤字で一喜一憂せず、成長企業を応援するスタンスにしています。使用するマルチプルがEV/売上高(TTM)と売上高成長率(TTM YoY)の関係であることの理由は↓ご参照)

2020/7/8現在の高成長企業の成長率とバリュエーションの関係は、

EV/売上高=1.4+49.9x売上高成長率

です。

VEEVの売上高成長率は約31%(0.31)なので上記式に当てはめると、理論EV/売上高は16.9倍になりますが、実際のEV/売上高は29.8倍で、その残差は+12.9、標準化残差は+1.28です。SaaS企業の回帰ラインよりは評価されている状況です。

M3の売上高成長率は約16%(0.16)なので上記式に当てはめると、理論EV/売上高は9.4倍になりますが、実際のEV/売上高は24.3倍で、その残差は+14.9、標準化残差は+1.47です。こちらもSaaS企業の回帰ラインよりは評価されている状況です。残差から言うと、M3の方がVEEVより①割高、②もしくは高成長がより長期に渡って継続、③あるいは収益性がさらに上がる、と予測/評価されていることになります。

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ここで一点注意が必要なのは、VEEV・M3のEV/売上高は大きく変動しており(↓ご参照)、また現在はかなり加熱を示していることです。

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出典:Seeking Alpha


年間売上高サイズごとの売上高成長率

売上高が大きくなってくると当然売上高成長率は下がってきます。

↓は米国SaaS120銘柄の過去5年程度の売上高区分に応じた平均売上高成長率です。

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VEEVは売上高が$1,000-100,000Mの場合のカテゴリーの平均・中央値よりは高い実績(31%)をあげています。

M3も同カテゴリーではありますが、カテゴリーの平均・中央値以下、少しさみしい実績(16%)となっています。


統治・給料

VEEVの取締役はCEO及び共同創業者のMatthew J. Wallach以外は全て社外取締役です。取締役の報酬はざっくり3000万円程度です。

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ベンチマークとしているのは↓の企業です。

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VEEV重役の出来上がりの報酬は↓です。ベースの給与は全て同じ金額なのが特色です。

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何度でも噛み締めたいバフェット箴言

「永遠に続かないものには、必ず終わりが訪れる」 “Anything that can't go on forever will end”


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