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ダニー・ピアリー『カルトムービー・クラシックス』

 「五〇年代にはさまざまなSFが作られたが、そんな中でも最初に傑作として認められた映画こそが『遊星よりの物体X』だった。本物のSFファンはこの作品をくり返し見ている」(ダニー・ピアリー)。
 1951年の『遊星よりの物体X』は「本物のSFファン」が心から愛を感じ、傑作と考えるSF映画と信じられてきた。ダニーはこの映画には三つのテーマがあるという。一番目のテーマは「人類が侵略を受けたら、国のことが優先され、愛も報道の自由も科学の追求も二の次になる」。
 国のことを優先する登場人物は、アメリカを信じて行動している。『物体X』の二番目のテーマは「軍事政略と科学が結びつくと強力なチームワークが生まれる」、三番目のテーマは「アメリカの軍隊はどんな侵入者でも追い返すことができる」というものだった。
 「戦争映画」の観点から楽しむ人もいた『物体X』。本作がアメリカで封切られたのは朝鮮戦争のさなか。地球にやってきた物体は共産主義者を連想させるものとなっている。

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