ボローニャ復元映画祭2020 DAY 1
毎年6月の末に行われるボローニャ復元映画祭=Il Cinema Ritrovato、一昨年の2018年に初めて参加して、すっかりその楽しさに魅せられた僕は、1年置いて、フェリーニ生誕100年を迎える今年、再度訪れようとして飛行機の切符まで買っていたのですが……(妻の分も一緒に)。
ご存じの通りのコロナ騒ぎで開催は延期され、2か月遅れの8月末の開催とあいなりました(8/25~31)。当然のことながらコロナ対策最優先で、席数を減らしたり、数々の施策を投入しての開催。いつもなら訪れる外国からのゲストも極めて限定され、また各国からのオーディエンスも国を出るに出られない、ボローニャに入るに入れない状況です。しかし、今年はそんなファンたちのために、オンラインでも一部プログラムを見せてくれることになりました。もちろん現地で見られる400本近くの作品プラス数々の講座の数に比べれば1/10にも満たない数ですが、それでも自宅にいながらにしてボローニャの気分を味わえるのはうれしいことで、とっとと参加を決めた次第。単純に観るだけなら50ユーロ、上映作品の詳しい図録やトートバッグ、写真集などのグッズも郵送してほしいなら100ユーロというお値段ですが、決して高くはないと思います。ただ、英語かイタリア語かが出来ないと存分には楽しめないのは致し方ないところ(映画作品の音声は基本的に原語のままで、イタリア語と英語の字幕が選べる仕組み。英語作品の場合は英語字幕は出ません)。また映画に関しては、オンラインで見られるのは現地で上映する時間から24時間の間だけ(講座関係は開催期間中ずっと)。それもなかなかの縛りではありますが、逆にその制約が実際に「参加」している感覚を演出もしてくれて、まあ、見られるだけ見てやろうじゃないかと思ってます。
視聴のためのパスはまだ買えますのでこちらから。
オンライン参加1日目のメモです。
BABYRON IN HOLLYWOOD
第一作目は出来立てほやほやのドキュメンタリー。1916年の1~4月にハリウッドで撮影された(サンセット大通り沿いの12エーカーの土地だったらしい)グリフィスの『イントレランス』のバビロンのオープンセットは一体どうなっていたのか?どれくらいの大きさだったのかということを発掘された写真や証言を元にCGを使ったりして考える30分弱のもの。さらに製作者のコメントも冒頭に15分ほど。作品はこの先、もっと長くなるようなことを言ってました。特定のカメラアングルから見るとものすごい量感だけど、実はいろんなものがレイヤーになっていて、意外と空間がある。それでも壁の高さは36メートル、奥のアーチの高さは41メートル、セットの奥行きは120メートルあったようです。気球のゴンドラにカメラが乗ってる写真が残っていることから、フルショットは気球から撮られたという説があるけど、気球はあったことはあったけど、撮影には使ってない、実際には日本の撮影現場で今もそう呼ばれている撮影用の櫓「イントレ」で撮られたものだと。このイントレ、すべて木製で総重量は何トンにもなっていたと。『イントレランス』の映像を見ればわかるように可動式かつ、カメラが上下にも動くようになっていて、つまりは今日のクレーンの役割を巨大な櫓に負わせていたわけです。セット・デザインの中心人物はインドからの移民であることも今は分かったと、そんな話。CGの部分がちょっと長すぎでした。
FURIO SALA 1
サイレントの短編を見せるこのシリーズのしょっぱな2本。1本目TONTOLINI È TRISTEは、ずっと悲しかった男が映画を見に行って(その映画の中に同じ男が出てる)笑顔を取り戻す話。2本目LA NUOVA CAMERIERA È TROPPO BELLAは新しく来たメイドに男という男がぞっこんになっちゃって、最後は全員を集めて放水でお仕置きするという話。ピアノの伴奏付。たわいないけど面白い。1911年と1912年の作品。どっちも8分くらい。
哀しみの恋(Daisy Kenyon)1947
ヘンリー・フォンダ特集の1本。オットー・プレミンジャー監督による、ジョーン・クロフォードを中心にした三角関係メロドラマ。ダナ・アンドリュース演じる家族持ちの辣腕弁護士の愛人だったクロフォード演じるデイジー・ケニオン(彼女の名前が原題)が、奥さんをなくした元軍人のフォンダにごり押しされて結婚するんだけど、弁護士との関係も切れなくて……やがて法廷劇に。字幕もないので(英語作品だと英語字幕は出ない……これは現地での上映でもそうで、聞き取り能力の弱い僕などは英語字幕の出る非英語圏の映画より苦労することになります)なんか3人の心の動きがどうもよく分からんかったですね。劇中で辣腕弁護士が初めて負ける案件が二次大戦中の日系人キャンプについて、ということで、ハリウッドがその話を映画に持ち出したのはこれが最初だったそうです。
初日なので今日は頑張ったけど、さあ、明日は何本観れるかな?
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