山下泰司 Yasushi Yamashita

会社では映画専門チャンネルの番組や古いヨーロッパ映画のBlu-rayを作ったり。雑誌では映画の話や音楽のことを書いたり。障害のある二人の子どもの父親であったり。妻との共著に「格安世界一周お二人様ご一行」(講談社)、著書に「雨のち晴子 水頭症の子と父のものがたり」(晶文社)。

山下泰司 Yasushi Yamashita

会社では映画専門チャンネルの番組や古いヨーロッパ映画のBlu-rayを作ったり。雑誌では映画の話や音楽のことを書いたり。障害のある二人の子どもの父親であったり。妻との共著に「格安世界一周お二人様ご一行」(講談社)、著書に「雨のち晴子 水頭症の子と父のものがたり」(晶文社)。

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  • ボローニャ復元映画祭2020 レポートまとめ

    オンライン参加で観た映画や講義の記録です。

最近の記事

『きりひと讃歌』讃歌

 『きりひと讃歌』を初めて読んだのは、1977年の6月に刊行が始まった手塚治虫全集の配本でだった。この全集は月に4冊ずつ届いたが(その頃、町の行きつけの本屋は配達をしてくれていたし、僕は小学生の時からその本屋ではツケが利いた。本に関しては、それが漫画であってもアニメ雑誌であっても鷹揚な両親だった)、最初の月だけは発刊記念ということだったのだろう、一気に8冊が出た。そしてその中に『きりひと』の第一巻が入っていた。自分は中学一年生だったはずだ。  最初に読んだ手塚治虫が何かはも

    • ボローニャ来ても心は錦! 2024

      イントロ  2018年、2022年と来て、今回で3回目の参加となるボローニャ復元映画祭=IL CINEMA RITOROVATO、第38回の開催でございます。  最初の時はスカンジナビア航空、2回目はオーストリア航空とルフトハンザの組み合わせ、今回は下の方からイスタンブール乗り換えでトルコ航空です。さすがに東京からボローニャじゃ直行便がないので、必ずどこかで乗り換えとなります。その都度、空港の中だけとは言え、ちょっと別の国にいられるのは少し楽しい。イスタンブール、31年

      • ボローニャ復元映画祭、1週間前

        来週末から出かけるボローニャ復元映画祭(到着するのは23日、日曜)、予約した作品を自分用にまとめる。なにしろ会期中に400本以上の映画が上映されるので、並べてみると「たったこれだけか……」となってしまうのだが、毎日映画を観るか、トークセッションで映画関係者の話を聞くかのどちらかを繰り返すわけで、後半になってくると持久戦の様相を呈してくることは間違いない。 アベル・ガンスの『ナポレオン』パート1(3時間40分……長ぇよ!)から始まるのはどうなのか。しかし、その晩は『パリ、テキ

        • ジョーイ・バロンとの会話

           思いっきり目ぇつぶってますけども笑、ジョーイ・バロンさんとの2ショット。好きなドラマー、もちろんたくさんいますけれど、多分、世界で一番好きなドラマーのジョーイ・バロンがゲーテ・インスティトゥート(ドイツ文化会館)でライヴをやると知ったのが実施の一週間前の話。パーカッション奏者のロビン・シュルコフスキー(失礼ながらこの人を存じ上げなかった)と一緒に、3日間、日本のミュージシャンが日替わりでゲストで入って共演するという。しかも、入場料が、ちょっと名前の知れた人ならすぐに1万越え

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        • ボローニャ復元映画祭2020 レポートまとめ
          7本

        記事

          『ノスタルジア』撮影監督インタビュー

          ジュゼッペ・ランチ:光のかたち ロベルト・アイタによるパレルモでのインタビュー(2001年) ジュゼッペ・ランチ(1942年ローマ生まれ)はカメラ・アシスタントやカメラ・オペレーターとしての修行を積んだ後(その中にはベルナルド・ベルトルッチの1970年作『暗殺のオペラ』がある)、撮影監督としてのキャリアを1977年にスタートさせた。以来、ランチはイタリア映画界で最も尊敬されている監督たちと、時に緊密な関係を築きながら撮影監督として働いてきた。たとえばマルコ・ヴェロッキオとは

          『ノスタルジア』撮影監督インタビュー

          3/31発売『暗殺の森』UHD+Blu-rayについて②

          年末からこちら、制作の作業を進めておりました『暗殺の森【4K修復版】』UHD+Blu-ray、いよいよ発売が迫ってまいりました。権利取得前の準備段階から含めると、およそ1年間にわたって取り組んでいましたので(いつもいつもこのことを考えていたわけではないにしろ)、「ようやく!」という感じで感慨もひとしおです。加えて、新年度の「午前十時の映画祭」でも、10〜11月にかけて全国の映画館で上映されることが決まりました。こちらの配給については自分の勤める会社のテリトリーではないのですが

          3/31発売『暗殺の森』UHD+Blu-rayについて②

          3/31発売『暗殺の森』UHD+Blu-rayについて①

           2023年3月31日に、ベルナルド・ベルトルッチ監督、ヴィットリオ・ストラーロ撮影監督、ジョルジュ・ドルリュー音楽、ジャン=ルイ・トラティニャン、ステファニア・サンドレッリ、ドミニク・サンダほか出演の大名作『暗殺の森』が、4K UHDとBlu-rayの同梱という形で発売となります。発売元はWOWOWプラス、販売元はTCエンタテインメント、お値段は高くて申し訳ありませんが7,800円+税でございます。7,800円というのは、なにか出始めのレーザーディスクの一枚ものの値段だった

          3/31発売『暗殺の森』UHD+Blu-rayについて①

          「『幾多の北』と三つの短編」にいたるまで②

           どうもこんにちは。今回、「『幾多の北』と三つの短編」を、山村浩二さんのAu Praxinoscope(オープラクシノスコープ)と共同配給するもう一社、WOWOWプラスの担当の山下と申します。今、クリスマスの夜ですが、1/27〜29の新文芸坐での劇場公開に向けて準備に奔走しております。ようやくポスターとチラシ(下の方に画像あります)の印刷に取りかかれます。新文芸坐さんでは新年になればそれらを見たり、お手に取ったりしていただけると思います。予告編も作ってます。これも年明け早々に

          「『幾多の北』と三つの短編」にいたるまで②

          「『幾多の北』と三つの短編」にいたるまで①

          来る2023年1月27日(金)から3日間、東京・池袋の映画館、新文芸坐で「『幾多の北』と三つの短編」と題した、アニメーションの作品集を上映します。全4作品とも、アニメーション作家・山村浩二が監督したか、プロデュースした作品で、初長編となる『幾多の北』と短編『ホッキョクグマすっごくひま』が山村さんの監督作、東京藝術大学大学院の教え子である幸(ゆき)洋子監督の『ミニミニポッケの大きな庭で』、矢野ほなみ監督の『骨嚙み』が山村さんのプロデュース作、ということになります。いずれも202

          「『幾多の北』と三つの短編」にいたるまで①

          辛抱強い恍惚者たちの祭り 第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

           気がつけばもう1週間が過ぎていて。先週の今頃は、ホテルの自分の部屋で、山村浩二さんご夫妻や、そのお弟子さんたちと、新千歳空港のエアターミナルホテルの自分の部屋に集まって、ビールやらワインやらをしこたま飲んでたのである。もう1週間? 昨日のことのようだけど。 講演をするために呼んでいただいて初めて行った、もう第8回になる、新千歳空港国際アニメーション映画祭。無観客の講演をオンライン配信するために千歳まで行くというのもなんだか倒錯した行為だが、一向にかまわない。そして、きっと

          辛抱強い恍惚者たちの祭り 第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

          第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

          11/9(木)から19日(金)まで、この映画祭にかかった100本以上の短編と現地開催時に行われた講演のアーカイブ(トータルで30時間44分)が2500円で見放題になっています。一度お金を払ってログインされた方が、ここで紹介する作品群のタイトルをクリックすると、その視聴ページにダイレクトに飛べるようにリンクを貼りましたのでご利用ください。もともとアニメーションがお好きな方はもちろん、映画が好きな方、映像が好きな方、絵が好きな方、なにか自分の表現をしている方、これからしようとして

          第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

          骨の歴史 ジョン・ルーリー 回想録

           まるでトリュフォーのデビュー作『大人は判ってくれない』のアントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオー)を見ている時のような気持ちにさせられる本だった。「アントワーヌ、それをやっちゃ絶対に良くないことが起こる」とハラハラしていると、案の定、最悪の事態になってしまうのだ。しかし、アントワーヌはまだ10代の子どもである。ここに描かれているのは、10代の時もあるが(まあ悪さばっかりしている)20代、30代、40代……と十分に大人であるはずのジョン・ルーリーなのだ。それなのに……

          骨の歴史 ジョン・ルーリー 回想録

          ボローニャ復元映画祭2021覚書き

          はい、今年もオンラインでいくつかの作品を観ております。自分用のメモですね。 まずはガストン・ラベルGaston Ravelという監督の1928年作『フィガロ』FIGARO。タイトルからわかるとおり『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『罪ある母』っていうボーマルシェの三部作。オペラにもなってますね。映画はこの三部作を2時間にぎゅっとまとめたサイレントです。僕は全然オペラ知らないんで、改めてそれぞれのストーリーをちょっと読んだんですけど、結構込み入った話でね、これ普通に歌

          ボローニャ復元映画祭2021覚書き

          児童公園のヤシ

          「型抜き」が危機に瀕しているというニュースが出ている。型抜きというのは、縁日の屋台で供される射幸心を煽る遊びである。3センチ×4センチくらいのきわめて薄い板(その記事で知ったが、砂糖にでんぷんやゼラチンで作るもののようだ。僕が子どもの頃に見たものはあんなピンク色ではなくてもっと白っぽくて、食べるとちょっとハッカの香りがした)に様々な形のラインがレリーフのように刻んであり、子どもたちはそのラインに沿って釘で擦り、まわりをどんどん外していって(まわりは破片になって構わない)形がキ

          アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

          年の瀬に驚きのドキュメンタリーを見ちゃいました。タイトルは"DAWSON CITY : FROZEN TIME"。2016年の米国映画ですが、実は2017年のイメージフォーラム・フェスティヴァルで日本でも公開されてたようです(まったくアンテナに引っかかってませんでした)。その時のタイトルは『ドーソン・シティ:凍結された時間』。ちなみにキャッチコピー的な副題が付いていて、”Film was born of an explosive."。「フィルムは爆発物として誕生した」です。

          アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

          展覧会「川本喜八郎+岡本忠成パペットアニメーショウ2020」

          12月19日から、東京・京橋にある国立映画アーカイブ7階の展示室で上記、展覧会が始まります(来年3月28日まで)。チラシをよく見ていただくと、<企画協力>というところに株式会社WOWOWプラスと入っています。実はこの展覧会、ずいぶん前に国立映画アーカイブの方たちに「こういう展覧会をやりませんか?」と僕が持ちかけて、それがまさかまさかの本当に実現してしまったもので、展覧会のタイトルも僕が最初に企画書に書いていたままのものになりました。  そもそも川本喜八郎って、岡本忠成っ

          展覧会「川本喜八郎+岡本忠成パペットアニメーショウ2020」