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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上

「読書感想文って普通、上下読み終わってから投稿しない?」
そんな野暮なことは言わないでくださいな。記憶力が持ちません。

初版発行: 1985年6月15日
著者: 村上春樹

読書期間:2024年9月25日~2024年10月24日

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

新潮社

読むに至ったきっかけ

幼馴染が一番好き?と言っていたからだ。(私のバイブルは塩狩り峠である)
正直なところ、村上春樹の作品はあまり得意ではない。
中学二年生のころ初めて騎士団長殺しを読んで、慣れない性描写に戸惑ったり、独特の言い回しに、咀嚼するのに時間がかかったりした記憶がある。

それ以来、彼の作品には触れていないわけであるから、村上春樹作品2作目。(少しかっこつけたが、高校入学と同時に読書の世界からは離れていた。)

そんなこんなで、今、自分からは決して読まないであろう作品に触れたわけである。

感想

まず第一に、世界の終りパートねっむ!!

電車に揺られながら読むこのパート、眠すぎて気づいたら最寄り駅通過…
私の人生の中で電車で寝過ごした経験は指を数えるほどしかありません。
しかし、車窓から「iias」の文字が見えたとき、私は思ったのです。

「この作品、何かスゴいぞ」

いくつかの物語が同時進行していく小説は珍しいものではない。
おそらく、読者に混乱を与えないようになるべくそのパートそれぞれの関連性をわかりやすく表現していると思う。
しかし、この作品はちがう。少なくとも私にとっては容赦なかった。
始めの方はとくに、何度も夢の中へ引きずりこまれそうになる。
頑張れ私。一カ月という返却期限が迫っているよ。
厚い雲がかかった壁の中の街一角獣時計塔、極めつけは「夢読み

私の夢もぜひ読んでください。

現実世界と世界の終りのはざまにいるのはこの私なのではないだろうか?

現実世界もハードボイルド・ワンダーランドだからなぁ。

しかし、いつまでも眠いわけではございません。

印象に残った部分

341頁 世界の終りパート

「いや違うね。親切さと心とはまたべつのものだ。親切さというのは独立した機能だ。もっと正確に言えば表層的な機能だ。それはただの習慣であって、心とは違う。心というのはもっと深く、もっと強いものだ。そしてもっと矛盾したものだ」

これに関しての解説はいらないだろう。

今の私にぐさっと来た言葉だった。ちょうど自分にも、そんな表層的な機能が上手く働いていて深くにあるものを包み込んで見えなくしている。
「優しいね~」なんて言葉、決して誉め言葉じゃないよな、と最近よく言われるので思います。

下に向けての意気込み

上の八割を読み終えたとき、この作品、下もあるんだよな、と疑問に思った。

しかしこの冒険は一筋縄じゃ終わらないみたいだ。

なぜか私の大学に文庫版の上が置いてなく、出庫依頼とかいうものを覚えたわけであるが、下は違う表紙のものが本棚にあった。バイトを途中で抜けて(さぼり)借りてきた一冊。まだ一文字も読んでいない。

旅のお供に持っていきます。

【追記】
下も読み終わったので感想文↓

その他

ちょうど半分くらいまで差し掛かったころ、Twitterで村上春樹批判をよく目にした。
ノーベル文学賞があるといつも話題になる村上春樹。本人はそんなものにとらわれていないだろうと思うが、周りばかりがこうも騒いでいるとげんなりするだろうな。

それは置いといて、この作品は良い評価が多かったので一安心。

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