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《旅する薬膳ごはん vol.2》ベトナムの元祖おもてなしデザートは、薬膳の要素がたっぷり。

昭和の時代。90年代の前半に起こったエスニックブームに影響を受けて以来、タイやインド、ベトナムなどの雑貨やお香、エスニックフードが大好きになりました(いまではアジアンフードと呼びますね)。それぞれの文化の違いも魅力なので、どれが一番!とは選べませんが、ベトナム料理は辛い食べ物だけではなく、素材を活かした優しい味わいのメニューも多いので、子どもと一緒に食べられるのもよいですね。

好きなお店に食べにもいくし、ベトナム料理のレシピ本を参考にしながら自分でもつくるし、以前は日本在住のベトナム人の先生からベトナム料理を習ったこともありました。なのに、まだ訪れたことのない国のひとつなんです。

ここ数年、タピオカのネクストブレイクのひとつにベトナムの国民的なスイーツ「チェー」が名をつらねていますが、なかなかグッと抜きに出てこないですね~。私はチェーが大好きなので街中で気軽に食べられたらうれしいのになぁと思いつつ、まだ限られたお店でしか食べることができない状態。なので、ベトナムに思いをはせながら、自分でつくることもあります。

わたしはクラッシュアイスなしのレシピで。トッピングは限りなく甘さを控えめにします。全部をよく混ぜて食べると、それぞれの食感が楽しくて、おいしいのです!

まずここで。チェーといっても温かくして食べる、日本のぜんざい風なものと、フルーツやゼリー、甘く煮た豆や芋などをトッピングして、クラッシュアイスと混ぜながら食べる冷たいチェーの二種類があります(ざっくり分けると)。栄養価の高いおやつだな~というのが最初の印象。なんでも現地ベトナムでは、老若男女に愛されるストリートフードとして、屋台で気軽に食べられていますが、そもそものはじまりは「年中行事のために、遠方からやってくる親戚やお客さまに、地元の食材をつかってふるまったおもてなしのデザート」だったとか。薬膳では、芋や豆は気を補う働きがあるので、旅路で疲れた体を労うためにぴったりな食材ですね。

手軽なおやつとして、愛すべきストリートフードになったチェーですが、ベトナム人の料理の先生いわく、屋台に併設されたテーブルには、だれでも自由に飲める温かいお茶のポットが置いてあるのだとか。つまり、クラッシュアイス入りの冷たいチェーを食べた後には温かいお茶を飲み、お腹を冷やさない食養生の知恵が根付いているそうです◎ 素敵!

チェーを薬膳風にアレンジする場合、お腹を冷やさないというのは結構大事なポイントなので、クラッシュアイスはなし、季節ごと・体質的なものを考慮して食材のトッピングを選んでいます。このアレンジができる懐の深さは、本当にすごいこと。今の時期はあたたかいぜんざい風もいいですよね。個人的にはおやつとは無縁のような食材、里芋を使ったチェーも大好きで、里芋がおいしい季節になるとよくつくります。

▼里芋のチェーのレシピはNadiaに投稿しています。

ベトナム好きは、トラン・アン・ユン監督の映画から
(たしかこれも、90年代に公開されていたかしら?)ベトナムのサイゴンを舞台にした『青いパパイヤの香り』という映画がきっかけで、ベトナムの美しさに魅了されました。汗で肌にはりつく艶のある黒髪や、風通しのよさそうな様式の家で、静かにお茶を飲むすがた。自然の緑が濃くて、官能的にみえるみずみずしい果物たち。たしか、針灸で治療するシーンもあったような。ベトナムは “東洋のパリ” と呼ばれているように、西と東の文化がミックスされた、ちょっとエキゾチックな空気感。同監督の作品『夏至』もよかったなぁ。三姉妹の秘め事と、むせかえるような蒸し暑さのベトナムの風景。ああ、いまこの文章を書きながら、ただただ、ベトナムに思いはつのるばかりです。

**Thank You**
Photo & Styling:みやはらさなえ
https://www.instagram.com/sanae_miyahara/
私の思いを素敵に表現してくれる、さなえちゃんの旅写真も気持ちがいいから、ぜひ見てくださいね。


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