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応援したくなる無人の八百屋さん

新しい職場に通勤し始めて2週間がたち、だんだんと景色に目が慣れてきて、ようやくその存在に気がついた。

無人の八百屋さんだ。

都内のこんな駅近くにあるなんて、珍しいなあ、と帰りに立ち寄った。

すべてビニール袋にきちんと梱包され、無農薬の、見るからに新鮮そうな野菜たちが、
並べられていた。値段は100円。お金は鍵付きのポストの中へ入れる仕組み。

見た瞬間、こんな東京のど真ん中だし、お金を入れずに野菜だけ持っていく人や、このポストを盗む輩はいないだろうか?と心配になりながら、
大根、りんご、みかん(3つ)で300円の買い物をした。

安いし、美味しそう ♪  家計にやさしくて、本当に助かる・・・

ポストに300円を入れた後、ふと、壁面に目がいった。

ダンボールに店主のメッセージがかかれていた。

「若い人へ」とある。

  店主の若い頃、金銭的にとても苦労した時期の話があり、そんな大変な時期にある人でも、ここがあるから大丈夫と思ってもらえる、そんな存在であるために、今日も野菜を頑張って作り、ここで販売します。

無人八百屋さんの心意気が伝わるメッセージだった。

そして、その横の壁には、同じくダンボールでかかれた利用者からの感謝のメッセージがあった。

 辛い出来事、金銭的にも厳しい状況にあったその人が、神社に参拝し助けを願った帰り道にこの店を発見し、救われました

                ***

 「三方よし」という言葉が頭に浮かんできた。

今でも多くの経営者の指針となっている、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考え。
「売り手の都合だけではない、買い手のことを第一に考えた商売と商いを通じた地域社会への貢献

どの農家さんも同じなのだと思うが、美味しい野菜を作ること、それを良心的な価格で販売し続けることは、並大抵の努力では出来ない。
ダンボールに書かれた想いが、この店を維持する力の源そのものなんだろうなというのが伝わってくる。


顔は見えないけれど、心が見える、無人の八百屋さん。


また、帰りに、ここで野菜を買って帰ろう。
その時は、ちょっと多めにお金を入れたい。
そんな風に、応援したいと思わせる無人の八百屋さんのお話でした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また。

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