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え、焼きそばに納豆ですか・・・、え、アントニオがだぶつき、ですか(穂村弘さん著『蛸足ノート』を読んで

おひさしぶりです。

ゴールデンウィーク最終日のきょう5月6日。
仙台はきのうまでのおひさまさんさん、雲一つない快晴の日よりから打って変わって、薄曇りで肌寒く風がひゅーひゅー吹いています。
あったかいんだか寒いんだか。

さて、NHKラジオで子ども科学電話相談を聴きながら書いています。
なかなかに思いがけない質問が子どもたちから繰り出され、回答者の科学者のみなさんもワクワクドキドキして答えておられるご様子。
鳥、鉱物、宇宙、心・・・謎と情報の振り幅が広い。

「お友達からこちょこちょされるとこそばゆいのに、自分でくすぐると、こそばくないのはどうしてですか?」(小1の女子、大阪在住)
ほう! そういえばそうね! こんな質問よく考えたね!

さてさて、穂村弘さんという歌人をご存じの方も多いと思いますが、彼の『蛸足ノート』(中央公論新社刊)を読んでいて、ふと思い出したことを今日は綴りたいと思います。
ちなみに、穂村さんの短歌も好きですが、エッセイというか短文もかなり好きです。思わず笑ってしまうので、電車内で読まないようにしています。天才ですね、穂村さん。

『蛸足ノート』のなかに「客引きのネクタイ」という短文があります。
詳細はネタバレになりますので割愛しますが、
「社会には無数の細部があって」「自分とは関わりのない場所で懸命に生きている人間がいる」あたりまえのことに心を動かされるという内容でした。


装幀は大倉真一郎さん。
透明プラスチックカバー、かなり気合いが入っています。

「客引きのネクタイ」を読んでいて私に何が起こったかというと、記憶の底に沈んでいたささやかな記憶と人がぷかぷかと浮かんできました。
〝深海の言葉たち〟と本の帯にあったなと思いながら、まさに深い海の底から浮かんできたのはほんとにささやかな日常会話です。

Aさん:納豆って、焼きそばに入れますよね
私  :えっ! 焼きそばに納豆ですか?
Aさん:うん。カップ焼きそばに入れると美味しいんですよー
私   :?? ペヤングソース焼きそばとか?
Aさん:そうそう。それ。ないですか?
私  :入れたことないなぁ・・・。 どうやって入れるの?
Aさん:どうって・・・。ふつうに。

上記は、美容院で髪を切ってもらっていたとき、なぜか美容師のAさんと納豆の話になったときの会話。多分、健康にいいこと何かしているか?という話でタンパク質とらないとねー、からの流れだったと記憶しています。Aさんはおしゃれでかっこよくて、納豆、ペヤングソース焼きそばというワードが似合うわけではない妙齢の女子でした。

また別の話。
Bさん:アントニオ、だぶつき?!
私  :??
Bさん:かゆピー(私の呼称)、なにそれ!! 
    アントニオがだぶついてるってどうゆう?
私  :?? なんのこと?
Bさん:そのメモに「アントニオダブツキ」って書いてあるんだけど、
    なんかあった? なになに? これ?
私  :えっと、これは・・・。

上記はもう10年も前、職場でもっとも業務に通じている先輩的存在のBさんとの会話。私は新しい部署に異動してばかりの頃で、教えてもらったことをその場でメモできるよう手の平サイズのメモ帳をいつも持ち歩いており、そのメモをちら見したBさんが「アントニオ・ダブツキ」のワードを発見し、驚喜の表情で私に問い詰めてきたのでした。

結論としては、「アントニオ・ダブッキ」というイタリアの作家の名前をお客さんに教えてもらって、その名前を殴り書きしたものでした。Bさんは、太っている人が好きという方で、ご自身はカールした長い髪、高いヒールがお似合いの細身の妙齢女子。ダブッキが、「ダブツキ」に見えたようで、嬉しくなってしまったのでしょうか。謎です。

とまあ、さもない話なのですが、なぜか忘れられない日常のささやかな会話。AさんもBさんもお元気かなぁ。それにしても人間って面白いなぁ。

「僕の話は少し長くなりますが、ビックバンが・・・」とラジオ子ども科学電話相談で話し始めた男の子の声にハタと我に帰り、今日のnoteを終えることとします。

長文、失礼しました。グッデイ!





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