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8/1260 祈り(2)始まり

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【8日目】週明けの朝。8って縁起の良い数ですよね。末広がりと無限大。

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実は、上の子の出産は、妊娠前からごたごたが続いた。

晩婚だったので、できるだけ早く子どもが欲しいと早くから不妊治療も考えていた。多くの病院を所有する大手の医療保険に加入し、数ヶ月待ちの不妊外来を予約。やっと受診できる!というときになって、病院から電話があった。

なんと、私たちは、その病院で不妊治療を受けることができない というのだ。

不妊治療を受けるために動き出してすでに半年経っていた。その病院に予約を入れて、病院主催の不妊治療に向けてのクラスを一通り受けた。そのあげく「できない」だなんて。自費で払うといっても、ダメとのこと。(アメリカ人のオットも、あの時なぜ断られたのかいまだに良く分かっていない)

仕方ないので別の病院に申し込んで、一からプロセスを踏み、そこで体外受精からの妊娠だった。

つわりがひどく、ほぼ寝たきりで、1ヶ月で5キロ以上痩せた。嗅覚が異常に鋭くなり一番奥のベッドルームに横たわりながら、オットがアパートのドアを開ける前から臭いで分かるようになった。体調は優れず、シャワー後数メートルの距離を、半裸のまま30分以上かけて這って進んだこともあった。

妊娠中期。お腹を蹴るのを良く感じるようになった頃のこと。

帰りの遅いオットを待ちながら1人で寝ていると、突然お腹に激しい衝動があった。例えて言うなら、ちょうど水揚げされた魚が、苦しみからバタバタッとのたうち跳ねるような感覚だった。

「雷が落ちた」突如そんなイメージが現れて、雷と共に龍がお腹に入った気がした。

そんなこと今まで一度も体験したことなかった私は、怯えた。赤ちゃんに何かあったのかもしれない。

そんな心配をよそに、妊婦健診は特に問題なく過ぎて、

出産予定日が近づいた。

母が日本から到着したのを空港まで迎えに行き、その足で

娘が生まれた。母とともに病院に着いたあと、出産前の逆子矯正する際に心音が低下し、緊急帝王切開になった。首に臍の緒が巻きついていて、危なかったと言われた。

我が子を抱いたときの嬉しさも束の間、生まれたばかりの娘の変な様子に私だけが気付き、NICU(新生児集中治療室)行き。けいれんが続いた。脳波が異常放電していた。

ああ。

龍がお腹に入ったと感じたあの時、

やはり雷が落ちたんだ。

変に腑に落ちた。


こうして祈らざるを得ない毎日が始まった。







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