ニューヨークの贅沢婚
今回のテーマ: ニューヨークの結婚式
by 萩原久代
ニューヨークを舞台にした人気テレビ番組のSex and the City(SATC)に何回かでてきた結婚式の様子、覚えていますか? (SATCを知らない世代の方、ググってください)
SATCの主人公4人の一人、キャリー(Carrie Bradshaw)が長い交際を経てついに ビッグ(John Preston、彼のあだ名がBig)と結婚する運びになった。これは同番組テレビ放送終了後の映画(2008年)の話の展開だ。その結婚式場に選ばれたのが、なんと! 42丁目と五番街の角にあるニューヨーク公共図書館(New York Public Libary)だった。
あの歴史ある図書館を借りて行う結婚式とは、なんとニューヨークらしい式場の設定ではないか!と感動したことを覚えている。この時、ニューヨーク公共図書館が結婚式を含む各種イベント会場として利用貸し出しを行なっていることを知った。
これっていくら費用がかかるのか。
報道記事などによると、200人規模の結婚式でエントランスホールあたりを貸し切ると最低でも6万ドル~8万ドル(900~1,200万円*)程度かかるという。ケータイングと飲み物料金、テーブルや椅子などのレンタル代、お花代、ダンスのためのバンドやDJの費用などの設定によっては、10万ドル以上を見積もる必要がありそうだ。
どうみても、超豪華な結婚式である。 (*1ドル=150円想定)
キャリーの結婚式はどうなったか。SATCの話はいつもドラマがある。ビビアン・ウエストウッドのウェディングドレスを着たキャリーは、式場でビッグに待ちぼうけをくらう。彼は結婚式場に向かう時に怖気付いてしまって、来なかったのだ。そして結婚式はお流れになった。なんという悲劇!
余計なお世話だが、Bigは大金を無駄にしたことだろう。
さて、ニューヨーク市でもホテルで披露宴をする人も多い。それも近年は大幅値上げしている。中級ホテルでも200人くらいの規模だと800万円以上かかるご時世だ。(円安だから円換算すると余計に高くなるが。)
ホテル以外の結婚披露宴をしたい場合、ニューヨークらしい選択肢は色々とある。公共図書館をはじめ、公共施設のスペースをレンタルできるからだ。ちょっと変わった場所が一生の思い出になるかもしれない。
例えば、ニューヨーク植物園(New York Botanical Garden)で季節の花と緑に囲まれた結婚式という選択はどうだろうか。
植物園は週末の結婚式料金の目安を開示している。季節と曜日で料金に幅があるが、例えば5月~10月の土曜日の場合はレセプション会場レンタル料(テープル・椅子、会場人件費など含む)が4,500ドル、セレモニー料(写真撮影の場所確保やウェルカムドリンクなど含む)が5,000ドルだ。バーや食事代は提供するメニューによって異なるが、一人につき280ドル以上からの設定だ。それら経費に23%の管理費が上乗せされる。仮に200人出席の結婚式でざっと計算すると、最低でも4,500+5,000+ (280 x 200)=65,500になる。これに管理料23%が上乗せがあり、さらにニューヨーク州売上税の8.875%もかかるから、総額は87,715ドル(1,315万円)ほどになる。うーん、かなり高額だ。
エキゾチックな場所もある。アメリカ自然史博物館(American Museum of Naturall History)で巨大恐竜に見守れながらの結婚式はいかが?
または、ニューヨーク市の動物園や水族館は?
どこで結婚しても、結婚には覚悟と努力が必要だ。”Happily ever after”は、結婚式をすれば自然にやってくるわけではない。
萩原久代
ニューヨーク市で1990年から2年間大学院に通い、1995年からマンハッタンに住む。長いサラリーマン生活を経て、調査や翻訳分野の仕事を中心にのんびりと自由業を続けている。2010年からニューヨークを本拠にしながらも、冬は暖かい香港、夏は涼しい欧州で過ごす渡り鳥の生活をしている。