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ソフィーのファッション

今回のテーマ:セレブ
by  らうす・こんぶ


セレブ(セレブリティ)という言葉を聞いて、多くの人が思い浮かベるのはアメリカのアカデミー賞だろう。アカデミー賞授賞式はアメリカ中のセレブが一堂に会する、セレブのイメージそのもの。

もっとも私はアカデミー賞の授賞式というのをまともに見たことがない。誰かと話していて、「昨日のアカデミー賞ではどれそれの映画が話題になって、主演した誰それがオスカーを受賞した」のような話になって、初めて「ああ、昨日はアカデミー賞の授賞式だったのか」と知るのが常だった。

アカデミー賞が話題になっている間はネットなどで授賞式の一部を目にすることはあったが、全く興味がなかった。興味がないから、なぜ興味がないのか理由を考えることもなかったが、強いて考えると。。。

映画は好きだけれど、ニューヨークにいた頃は新しい映画はあまり見なかったので、それで興味がないというのがいちばんの理由だ。授賞式ではみんなドレスアップして華やかさを競っているが、男性はみんな同じようなタキシードだし、女性はみんな肩を出し、胸元をがーっと開けた、やっぱり同じようなドレスをまとい、髪はロングかアップ。華やかではあるが、没個性で見ていてつまらない。それがふたつ目の理由。フォーマルな場だからそういうものなだろうが。

でも、最近とても素敵だと思ったセレブがいる。著名人という意味ではセレブだが、アカデミー賞に集うような華やかなセレブのイメージはないかもしれない。フランスの女優、ソフィー・マルソーだ。10代の頃本当に可愛かった彼女が、50代になってどんな素敵な大人の女性になっているのか見たいと思って、彼女が主演した「すべてうまくいきますように」という映画を見た。(この映画については、私個人のnoteに「PLAN75」と「すべてうまくいきますように」に書いたので、ご興味のある方はそちらをごらんになってください。)

ソフィーは素敵な大人の女性になっていた。役どころは尊厳死を望む父の長女で小説家。ソフィーはほとんどのシーンでブルー系でコーディネートしたカジュアルな服装で登場する。ネイビーブルーのコートにパンツ、シャツやセーターはブルーグレイのような色。無造作に肩にかけているバックパックやスカーフもブルー系。

フランス映画を見て、フランス人は評判に違わず、なんて心にくい色使いをするんだろうと感心することがあるが、ソフィーのコーディネートは色使いが素敵というだけじゃなくて、50代になったソフィーのナチュラルなかっこよさを見事に表していた。あのコーディネートは20代や30代のソフィーでもカッコよく着こなしたに違いないが、50代だからこその魅力が感じられて、そこに私はシビれた。

映画の中では小説家なので、時折メガネをかけ、パソコンに向かって小説を書くシーンが出てくる。50代半ばだからメガネは老眼鏡だ。そして、しばし手を休め、メガネを外して窓の外に目をやる。その一連の仕草がかっこよかった。

ソフィーもアカデミー賞授賞式のような場に臨むときは、やっぱりシンプルだけど豪華なドレスに身を包んで登場するのだろうか。私はどんなセレブなドレスのソフィーよりも、あの映画の中のシンプルでさりげない服に身を包んだソフィーの方がきっと好きだろうと思う。




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

らうす・こんぶのnote:

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