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昼休憩が終わるまであと5分(掌篇小説)

公園でお昼ご飯を食べられる、涼しい時期がやってきた。 いつもは定食屋か、朝にコンビニで買ったおにぎりをデスクで食べるか。 でも、デスクで食べていると、休憩時間中なのに仕事を頼まれたり、かかってきた電話の対応をしたりしなければならないという面倒が発生するから、できれば定食屋に行きたい。でも、定食屋は定食屋でお金がかかるし、行列に並びたくはないし、何より会社の人にばったり会うのが面倒だ。 「あれ、一人なん?一緒に食べよう」 と言われるのも嫌だし、たまたま隣の席になって何を

#想像していなかった未来

こんなことになるなんて、想像もしていなかった。 私立大学の文学部を卒業したわたしは、大学の専攻とは全く関係のない、AI技術を使った業務支援を行う企業「フューチャービジョン株式会社」に入社した。何社も受けた中で、たまたま内定をもらった会社ではあったけれど、給料は高いし、同僚もいい人ばかりだし、周りと比べれば充実した社会人生活を送っている方だと思っている。ときどき、「このままでいいんだろうか」と不安が頭をよぎることもあるけれど、目の前の業務に追われているうちにそんな思いはいつも