生成AIが家庭教師にとっての強い味方になるのか?
はじめに
AI技術が日々進化する中、その応用分野も広がりを見せています。生成AI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)は家庭教師として役立ちます。ここでは、その具体的な使い方と失敗例を紹介します。
LLMとは何か?
LLM(大規模言語モデル)とは、多量のテキストデータを学習し、人間のように自然な言葉でコミュニケーションができるAIのことです。これらのモデルは、質問に答えたり、文章を生成したりすることができます。
ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが開発した有名なLLMの一つです。多くのテキストを読み込んで学習しており、様々な質問に対して自然な言葉で答えることができます。教育分野では、生徒がわからない問題を説明するのに使えます。
Claude
Claudeは、Anthropicが開発したLLMです。安全性と倫理を重視して設計されており、誤った情報を提供しないよう工夫されています。教育の現場でも安心して使えるように設計されています。
Gemini
Geminiは、Googleが開発した最新のLLMです。多言語対応で、幅広いトピックに対応することができます。特に複雑な問題をわかりやすく説明する力に優れています。
これらのLLMは、それぞれ特徴がありますが、共通して人間のように自然な言葉でコミュニケーションをとることができます。
概要
ChatGPT、Claude、Geminiの3つのAIを使ってチャットでの説明が難しい、高校数学や物理の問題を解かせてみた。
使用ツール
ChatGPT-4o: OpenAIが開発した大規模言語モデル。
Claude 3.5 Sonnet: Anthropicが開発した安全性重視のAI。
Gemini Advanced: Googleが開発した多言語対応のAI。
それぞれのAIを使って問題を解かせて、性能を比較していきます。
結果
ChatGPT、Claude、Geminiの3つのAIが高校数学の問題をどのように解いていくのか見てみます。
問題①
指示文
ChatGPT 4o
Claude 3.5 Sonnet
追加で質問します。
LaTeX記法で表示されたコードの前後に$$を追加すると以下のように表示されます。
$$
T = \frac{2\pi l \sin \theta}{\sqrt{gl \tan \theta \sin \theta}}
$$
$$
T = \frac{2\pi l \sin \theta}{l\sqrt{\frac{g \tan \theta \sin \theta}{l}}}
= \frac{2\pi \sin \theta}{\sqrt{\frac{g \tan \theta \sin \theta}{l}}}
$$
$$
T = \frac{2\pi l \sin \theta}{l\sqrt{\frac{g \tan \theta \sin \theta}{l}}}
= \frac{2\pi \sin \theta}{\sqrt{\frac{g \tan \theta \sin \theta}{l}}}
$$
$$
T = \frac{2\pi \sqrt{\sin \theta}}{\sqrt{\frac{g \sin \theta}{l \cos \theta}}}
$$
$$
T = 2\pi \sqrt{\frac{l \cos \theta}{g}}
$$
Gemini Advanced
指示文があいまいなこともあって、それぞれの回答にバラつきがありました。ChatGPTとGeminiは最初の指示だけで回答を導き出していました。Claudeは追加の指示をすることで途中の計算も説明してくれました。
問題②
以下のような指示で波のグラフをChatGPTに作成させます。
意図したグラフができなかったので、点や文字は後から追加しました。
これを使って以下の問題を解いてもらいます。
前提条件が色々と省略されているのですが、欲しい回答が以下であるとします。
(1)
最も疎な位置:点a
最も密な位置:点c
(2)
速さが右向きに最大の位置:点c
ChatGPT 4o
Claude 3.5 Sonnet
Gemini Advanced
提示した問題では情報が少なすぎたので、どれも回答がバラバラになってしまいました。情報が少なすぎると、意図しない回答になる可能性が高くなります。
前提条件の例
波の進行方向は、x軸正の向き(右向き)である。
x軸正の向きへの媒質の変位を、y軸正の向きにとる。
など
生成AIを使うメリット
①問題の認識と回答の提供
生徒がわからない問題の画像をスクショして生成AIに画像認識させると、すぐに回答を提供できます。例えば、高校生が数学の問題を画像で送った場合、AIはその画像を解析して、問題を理解し、解説付きの回答を返します。これにより、生徒は自分のペースで学べます。
②レベルに応じたわかりやすい説明
生徒のレベルに合わせて説明の難易度を調整できます。例えば、二次方程式の解法について質問があった場合、生成AIは基礎から応用まで丁寧に解説します。特に文章問題では、AIは問題文を深掘りし、わかりやすく説明します。
③教える側の知識が不足している場合の対応
家庭教師が自身の知識が不足している問題に直面した場合でも、生成AIを活用することで迅速に解決策を見つけることができます。AIは関連する情報を提供し、さらに深掘りするための基礎知識を提供してくれます。
失敗例と対策
①数式認識の失敗
画像が粗い場合や手書きが不明瞭な場合、AIが数式を正確に認識できないことがあります。対策としては、画像のクオリティを上げてもらうか、数式を手入力します。
②誤った数式での回答
AIが誤った数式を用いることもあります。この場合、家庭教師はAIの回答をチェックし、必要に応じて修正します。特に複雑な数式や図形を含む問題では、事前に回答を確認することが重要。
③テキストベースの回答が理解しにくい
生成AIの回答がテキストベースで理解しにくい場合があります。この場合、プロンプトエンジニアリングを用いて平易な文章に修正します。例えば、「小学生でもわかるように丁寧に説明して」「なぜその答えに至ったのか詳しく説明して」などの指示を加えると良いです。また、スクリーンショットやマークダウン記法、パワーポイントでの出力も効果的です。
まとめ
生成AIは家庭教師にとって強力な味方です。もちろん、生徒自身が生成AIを使いこなせれば家庭教師は不要かもしれません。しかし、指示の仕方や回答の正しさを判断できないと誤解を招く可能性があるため、注意が必要です。
成功例や失敗例を踏まえて適切に活用することで、生徒の理解度を大きく向上させることができます。特に理系の授業において、その効果は顕著です。家庭教師として、生成AIをうまく活用し、生徒の学習をサポートしましょう。
おまけ
noteで数式を表示する場合は、数式の前後に`$$`を入れることで表示されます。確認方法は、カーソルを合わせると数式の吹き出しが現れます。(プレビューからも確認することができます)
$$数式$$ の前後に文字があると、うまく表示されないので改行するなど工夫が必要でした。
$$
T = \frac{2\pi \ell \sin\theta}{\sqrt{g\ell \tan\theta \sin\theta}}
$$
NG例:$$数式$$
OK例:
$$
数式
$$
後から気づいたのですが、生成AIが回答した数式をそのままnoteなどにコピペしてもうまく反映されないので、以下の指示も追加します。
参考記事
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