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【痛くない歯医者】病院で助けを求めたらラジオ体操を処方された女の4日目

左奥の歯が疼く。ズキズキと、じわじわと嫌な痛みが続いている。最初は「そのうち治るだろう」と放置していたが、どうにも治まる気配がない。これは放置してはいけないと判断し、渋々歯医者に行くことにした。

病院通いが多い私にとって、また一つ病院が増えるのはかなりのストレスだ。ため息が出る。今では、接骨院や心療内科、マイコプラズマ肺炎の予後観察に通う病院だけでも十分大変だというのに、今度は歯医者まで増えるのか、と考えると気が滅入る。

何を隠そう、私は歯医者が嫌いだ。あの痛み、機械音、歯を削るときの振動。どれを取っても、不快なものばかりだ。それに加えて、私が長年通っていた歯科医院の先生が退職してしまい、新しい病院を探さなければならないという状況が、さらに気持ちを重くしている。

仕方なく、私はインターネットで「痛くない 歯医者」と検索をかけた。これ以上の痛みに耐えられる自信はない。多少電車に乗って遠くまで行く覚悟をしていたが、幸運にも比較的近く、バスで通える範囲に「痛くない」という評判の歯科医院が見つかった。どうにかしてこの痛みを治さなければならないし、これ以上ストレスを増やしたくないので、私はその「痛くない」という言葉にすがるようにして病院に向かった。

病院に着くと、まず驚いたのはその規模の大きさだった。どうやらこの歯科医院はチェーン店のようで、複数の診察室があり、たくさんの医師やスタッフが働いていた。担当してくれた医師は、丁寧に名刺を渡して自己紹介をし、最初からとても親切だった。診察の結果、左奥の虫歯が痛みの原因である可能性が高く、麻酔をして削る必要があるということになった。

「痛くない」という評判を信じて来たものの、やはり麻酔や削る行為には不安が残っていた。歯医者の麻酔は苦手だ。表面の麻酔はともかく、注射で奥に麻酔を打たれるときの痛みがどうしても恐ろしい。しかし、今回は違った。表面の麻酔をしてから、注射で奥の方に麻酔をするのだが…本当に痛くなかったのだ。驚くほどの無痛感で、私は感動した。これならば続けて通院できるかもしれない。

削るときも、以前の経験よりも機械音が静かで、振動も我慢できる範囲だった。今までの歯医者のイメージとはまるで違う体験だった。診察が終わった後、私は心底ホッとした。予想以上の「当たり」を引いた感じがして、これからしばらくこの病院に通うことになっても、なんとか乗り越えられそうだという安心感があった。

とはいえ、少しだけ不安が残っている。それは、実際にどんな治療を受けたのかがよく分からなかった点だ。麻酔をされて痛みがないとはいえ、どの部分をどのように治療したのかを細かく説明されなかったので、全貌がつかめないまま治療が進んでいる感覚がある。ただ、痛みが和らいだのは事実だし、何度か通院すればそのうち全容が分かるだろう、と自分を納得させることにした。

しばらくは、また通院生活が続くが、少なくともこの歯科医院なら安心して通えそうだ。小さな一歩を積み重ねて、健康な体を取り戻すために、今日もまた呼吸トレーニングに励む。

きっと大丈夫。

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