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「変わる組織」はどこが違うのか? 59
組織変革のファシリテーション@BBT大学
もう15年ぐらいになると思いますが、BBT大学で題記の講座をやっています。毎年、秋学期。10月に開講して1月に閉講。
受講生のみなさんには、レポートというか、10分程度のプレゼンテーションの動画を提出してもらっています。その30本ぐらいの動画と数枚のパワポの資料を見て、この時期に採点するのですが、採点というのは気の重い作業です。中には、それで卒業が決まる人もいますからね。その作業を昨日終えて、ホッとしています。
この講座、学術的には「組織論(OG)」に分類されるのだと思いますが、私はこの分類が嫌いなので、「組織変革論」と自分で勝手に呼んでいます。英語のOGはOrganizational Behaviorの略ですから組織行動です。そのダイナミックスを理解して、組織行動を変えるにはどうすればいいのかというのが私の授業です。
組織変革というと、上から強引にドライブするというニュアンスになりそうなので、「促す」という意味のファシリテーションという言葉を講座名にしています。
実際、組織は上から権力に物言わせて変えようとしてもなかなか変わりません。変わったように見えても、面従腹背で人々が従っているだけにすぎない、ということも多いものです。組織の人たちが変わる意識を持たないと、本当には変わらない。そういう考えを伝えたくて付けた講座名です。
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今年度も、多彩な方々に受講していただきました。まだ就学中で企業でインターンをしている人、大学をでて働き始めたばかりの人、60代の企業経営者、病院経営者もいれば、地方創生を掲げてお祭りに集まる人を増やそうと頑張っている若者もいました。
こういう人たちのプレゼンをみていると、こちらも学ぶことがたくさんあります。その一方で、多くの人がここで躓くのだと思うところもあります。
その一つが、「問題意識」のまま解決しようとするところです。たとえば、ワークライフバランス、コミュニケーション、楽しい職場づくり。こういった問題にいきなり解決策を出そうとしてしまいます。
15回の講義の中で繰り返し、「まず問題をブレークダウンして、自分が限られた時間の中で『解ける問題文』をつくりましょう」と言っているのですが、これが難しいようです。これについては、このブログの18回目に書きました。
もう一つは、FFA(Force Field Analysis)の使い方です。チームのモチベーションを分析するツールですが、チーム全員で描いて、それを鏡を見るように観ながら対策を議論するところに意味があるのですが、そういうワークをしないで、個人の観察(感想?)を描いている人が多い。これについても、このブログの12回目に書きましたね。
いずれにしても、受講者のみなさんの今後の活躍を祈りつつ…、憂鬱な採点の季節が終わってホッとしています。