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どうやらいまの棲み家を 年明けには 引き払わなければならなくなりそうだ。 そうなると 好物のチーズのことばかりを考えてもいられず、 かと言って他の町にも よくない細菌が蔓延しているという噂を聞きつけ、 にっちもさっちも行かなかくなった。 ただ元はと言えば、 現在の住まいを変更しなければいけない とは思っていたのだ。 時期がいくぶん早まっただけのことである。 「どこへ移動しようか」 ひとりで町を歩いて考えてはみるけれど、 あまりよい考えが浮かんでこない。 何も浮かんで
ひつじとねずみと言っても、 ひつじの方が若い。 しかし、 この町ではひつじの方が先輩で ねずみは仕事の基本から色々と ひつじの背中を見て学んできた。 なぜそうしたのかと言うと、 その方が効率的だと思ったからだ。 ひつじはあまり口うるさく 他人に諭すタイプではなく、 もっと言ってしまえば ”傍らにヒト無きが如し” という態である。 本来は群れをなして生きる品種なのに。 それでも、周りの後輩たちは このひつじのやることに付いてきた。 やはり、その方が手っ取り早いと 感じた