日記8日目

風がとても涼しくて、少し太った月がとても綺麗に見えたので日本酒がのみたいとおもった。
紙パックの安い酒とおちょこを鞄につっ込んで、近所にある少し広い公園に向かった。
公園では外灯が消えているというのに、高校生くらいの子達がなにやら楽しそうに話していた。こんな時間から、こんな暗闇の公園で何をしているんだとおもったけれど、はたから見れば僕のほうが「何をしているんだ」だ。ひと呼吸おいて、乾いた鼻笑いを放り出すようについてみると、可笑しいのやら寂しいのやら、よく分からなくなる。
鞄から酒を取り出して、おちょこに注ぐ。なみなみに注がれた水面に、月の明かりがちらちらと揺れている。そっと口をつけて、ぐいっと流し込むと、安酒のアルコールのきつい香りが喉を通って、鼻腔をゆっくり通過していく。熱くなった喉元に、秋の夜風が気持ちよかった。
向こうの子達が煙草を吸い始めた。君たちは未成年だろう、などと訝りつつも、誘われるようにポケットの煙草に手を伸ばした。エコー・シガー。安酒にこの茶色くてチープな煙草がうまく馴染んだ。月明かりに霧散していく白い煙と、遠くに沈んだ暗闇とのコントラストが、怪しくも美しい自然の絵画のようで、気づけばアルコールのきつい香りがまた喉を通過していた。

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