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「罰なき世界」と労働

B・F・スキナーが1979年に来日し、慶應義塾大学にて 『罰なき社会』についての講演をした。スキナーは「罰なき社会」を指向する。

この講演で面白いのが、賃労働を「罰の回避」として捉えていることだ。スキナーは、賃労働をするのは報酬(快)の追求ではなく、罰(不快)の回避だと言う。

労働者たちは賃金のために働くのではなく、解雇されて生計がたたなくなることをおそれて働くようになってしまったのです。

スキナーの「罰なき社会」の範囲には賃労働関係における罰的要素をなくすことが射程に入っていると思われる。

罰からの逃避ないしは回避によってなにかをするときには、我々はしなければならないことをするといいます。そして、そういったときには幸福であることはまずありません。その結果が正の強化をうけたことによってなにかをするときには、我々はしたいことをするといいます。そして、幸福を感じます。

幸福とは、正の強化子を手に入れることではなく、正の強化子が結果としてもたらされたがゆえに行動することなのです。

スキナーが目指した「罰なき社会」とは、アンチワーク哲学の目指す「労働なき社会」に近いような気がする。

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