紹介。どのフィードバックを注目したらいいのか。
フィードバックがなぜ大切かは、以前紹介しました。
そのフィードバックを、今回はポジティブとネガティブの2種類に分けて、スキルを得る前と後は、どっちに注目したらいいのか?という話をします。
じゃあまずポジティブなフィードバックって何?っていうと、良かったこと、上手くできた部分に注目するフィードバックのことです。
例えば長距離走なら
「ペース配分が良かったよ!」
「坂道が苦手だったけど、ずいぶん速くなったね」
などです。
逆にネガティブなフィードバックは、悪かったこと、できなかったことに注目するフィードバックです。
例えばFPSゲームで言えば、
「エイム(照準)がしっかり合ってなかったな」
「敵を見つけてから撃ち始めるまでが遅かったかな」
などですね。
これらは当然ながら、両方がフィードバックとして帰ってきます。
スキルを得る前、つまり初心者の時と、ある程度上手くなったときでは、注目するフィードバックを変えようね、という話です。
ますは初心者の時。
この段階では、上手くいったところ。つまりポジティブなフィードバックに注目しましょう。
理由としては、上手くいったところがこんなにあるとわかると、モチベーションが上がるからです。
学びはじめは新しいことばかりで、特に簡単な部分、RPGゲームでいうチュートリアルはみんな簡単にこなせます。
ですが敵キャラが出てきて、敵が強くなったら倒せなくなってくる。
わからないことが増えてきて、今までのような学びのスピードが出せなくなってしまいます。
すると、最初はあんなにできたのに、なんか出来なくなってきた。向いてないのかな?と思い始めます。
それがモチベーションが落ち着いてきたところで起きてしまい、やる気なくなったからやめよう。
ということになってしまいます。
そこで、上手くいった部分に注目しましょう。
たとえ上手くいかなかったとしても、1つだけ上手くいったことがあったなら、それに注目して喜びましょう。
たった1つ上手くいっただけで?と思われるかもしれませんが、たったひとつできることが増えただけでも、進歩していることに変わりはありません。
それに、身につけたいことは逃げません。成長がゆっくりだったとしても、焦ることはないんです。
何かを上手くなるには、それなりに時間がかかるということは知っておいてください。
はやく身につけたいということを念頭に置くと、焦りが生まれてしまい、練習の効率が悪くなってしまいます。
ではポジティブなフィードバックを重視して受け取って、ある程度上手くなったとしましょう。
しかしこのままでは、ネガティブなフィードバックに注目していなかったため、弱点が残っています。
上手くいった部分に注目し、苦手な部分を放置したからです。
このままではいけないので、苦手なことはできるだけ無くしましょう。
なぜなら結局のところ、上達には苦手なところ、つまり弱点の克服が必須です。
たとえばオリンピックに出場するようなアスリートは、基本的に弱点はありません。
弱点が少ないほど、当然ながらいい結果が出やすくなります。
対人戦なら弱点となる部分を攻められ続けると、負けやすくなってしまいます。
逆に、スキルがある程度上達してきたなと思ったら、ネガティブなフィードバックに注目しましょう。
スキルがある程度上達してからネガティブなフィードバックに注目するのは、基礎ができているためです。
基礎ができていると、問題点を洗い出すのも、その対策を打つのもやりやすくなるからです。
これを、基礎ができていない初心者の内からやっても、どうやって修正すればいいのかわからない、進歩している気がしないということになってしまいます。
この進歩している感覚というのは、やる気を出す上でとても大切なことです。
ハーバード大学のテレサ・アマービルによって、目標に向かって進歩したとき、自己効力感がポジティブなものになり、次に取り組むときのやる気も上がることがわかっています。
基礎ができていないと、その進歩を感じるまでが長くなってしまいます。
そして、こんなに難しいとは思わなかった。と考え、向いてないからやるのやーめよ。ということになってしまうんですね。
そのため、ネガティブなフィードバックはある程度上手になってから受け取る必要があるんです。
では今回のまとめ。
1 初心者のうちは、上手くいったことに注目する。
2 ある程度上手くなったら、出来ていない部分に注目する。
以上となります。
では今回はこの辺で。
参考図書
『マネージャーの最も大切な仕事ーー95%のhちおが見逃す「小さな進捗」の力』テレサ・アマービル著 英治出版