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大学生×伝統野菜 飛騨美濃伝統野菜『種蔵紅かぶ』を学ぶ

 東海学院大学管理栄養学科の飛騨美濃伝統野菜プロジェクトチームの学生です。今日は岐阜県と富山県の県境に近い岐阜県飛騨市(旧宮川村)に『種倉紅かぶ』の生産者の方のところに伺うことになりました。

飛騨市(旧宮川村)種蔵地区

日本の原風景ともいうべき農村景観を残す集落

 『種蔵紅かぶ』が栽培されている種蔵地区は、石積みの棚田や板倉(食料等を保管する蔵)が特徴的な"日本の原風景"ともいうべき農村景観を今に残す集落で、環境省の「かおり風景100選」さらには、飛騨・美濃じまん運動「じまんの原石」や「ぎふの棚田21選」にも選ばれている大変美しい山里。
私たちも目の前に広がる美しい里山の風景に感激しました。

板倉(食料を補完する蔵)が点在しています

『種蔵紅かぶ』の生産が難しくなっている現実

 この地区で江戸時代から栽培されている『種蔵紅かぶ』。地名が名称の由来となっているそうです。古くから自家採種により栽培が続けられる中で、良質なものを選抜し、現在の「種蔵紅かぶ」になったそうです。しかし、23軒で栽培していたこの伝統野菜も、現在ではわずか3軒のみ。高齢化と担い手不足で「種蔵紅かぶ」の出荷は現在は行っていないそうです。地元のイベントで直売されることがあるそうですが、どんどん生産者が減って、また若い人が柔らかいかぶを好むということもあり、栽培を続けるのが難しくなっているそうです。栽培を続けている方も65歳以上の高齢者がほとんどだそうです。

『種倉紅かぶ』の畑

『種倉紅かぶ』の種の保存が年々難しくなっている

 『種蔵紅かぶ』は、円錐状の形で特徴的なコリコリとした食感です。これを維持するために、栽培している周辺には他種のかぶを栽培しないなど、種の保存にとても気を使って守り伝えているそうです。『種蔵紅かぶ』を他の土地に持ち出し栽培しても、紅色が白になってしまったり、食感が失われたり、特徴が保てなかったそうです。今までは23軒で生産していたので、もし特徴が保てなくなっても、他の家から種を分けてもらってまた栽培を続けることができたそうですが、、、生産者が3軒となった今ではそれも容易ではないそうです。

鮮やかな紅色で円錐形が特徴

種倉紅かぶ漬!昔から引き継がれる板倉があってこそ

 種蔵紅かぶを葉付きのまま漬け込む「長漬け」(半年)が行われるそうです。半年間も漬け込むため、置き場所に困ることがありますが、種蔵地区は、板倉があるため、板倉で十分に長期間漬けることができたそうです。まさに板倉の多いこの地区ならではの食文化だと感じました。この食文化を守り伝えたいと思いました。


 

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