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大学生×伝統野菜 飛騨美濃伝統野菜『菊ごぼう』を学ぶ
東海学院大学管理栄養学科の伝統野菜プロジェクトの学生です。今日は、岐阜県中津川市を訪問し、今が収穫期の飛騨美濃伝統野菜『菊ごぼう』について生産者の方から教えていただきました。
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『菊ごぼう』は実は『ごぼう』ではない!
飛騨美濃伝統野菜である『菊ごぼう』は、実はキク科アザミ属のモリアザミの根で、『ごぼう』ではないのだそうです。切り口が菊の花に似ていることから『菊ごぼう』と呼ばれているのだとか・・・。江戸時代末期(1862年)に恵那市岩村町の三ツ森山に自生していたのを偶然発見したことから始まったそうです。明治時代になって本格的に栽培されるようになり、中津川には菊ごぼう生産組合もできるほど生産が盛んであったそうです。しかし、『菊ごぼう』の栽培には手間がかかることや、栽培が難しいこと、少子高齢化による担い手不足などもあり、現在では出荷用に栽培している農家は2軒のみになってしまったそうです。この地区特有の赤土土壌で育つことで、『菊ごぼう』は、香り高く、シャキシャキとした特有の食感と風味がでるのだそうです。
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ごぼうのように褐変もしないそうです
7年同じ場所で栽培できない『菊ごぼう』
『菊ごぼう』生産者の方にお話をお伺いして驚いたのは、『菊ごぼう』生産の大変さです。連作障害もでやすいそうで、6月に種蒔きをして収穫まで半年以上かかるため、長期間、畑を占領することに加え、一度植えると7年同じ場所で栽培することができないそうです。さらに、『菊ごぼう』の作業は、種蒔きから除草するときも、収穫も、常に腰をかがめて作業しなければならず、腰や膝に負担がかかる作業のため、高齢の生産者の方にとっては、作業の大変さから、栽培をあきらめてしまうこともあるそうです。
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手間がかかる『菊ごぼう』の調整作業
『菊ごぼう』は、収穫してからも調整といって、細かい根を、手作業で一本一本切り落とす作業をしなければ、出荷できないのだそうです。手間がかかりますね。
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1㎏を調整するのに1時間はかかりそう・・・
気候変動の影響で生産時期に変化
『菊ごぼう』の生産は、とても難しく、種を蒔いても発芽しないこともあるそうです。さらに収穫には霜が2回降りる時期が最適とされ、いままでは10月~11月に収穫期を迎えていたのが、最近ではこの地区でも気温が高く、霜が降りるのが12月~1月になるため、収穫の時期もかなり遅くなっているそうです。昔は秋に収穫してから味噌漬けなどに加工して、お正月に食べていたそうですが・・・地域の食文化も気候変動によって影響を受けていることを知りました。
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花が咲いた『菊ごぼう』は収穫には適さないのだそうです
『菊ごぼう』を守りたいという強い思いを知る
これだけ大変な作業で『菊ごぼう』の生産を続けられていることを知りました。この地区の伝統野菜を守りたいという強い思いで、生産を続けられているそうです。
『菊ごぼう』の販売価格は1㎏で3500円だそうですが、今回『菊ごぼう』について生産者の方からお話を伺わなければ、正直少し高いかなと感じてしまったと思います。しかし、これだけ手間をかけて栽培されていることを知り、適正な価格だと思うようになりました。
私たちも消費者として、こういった生産者の方の苦労や栽培にかける思いを知ることが大事なのだと思いました。
ぜひ、旬の『菊ごぼう』を召し上がってください!
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お醤油をかけて生で食べるのが『菊ごぼう』のおいしさと風味を味わえるそうです!