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寂しさや孤独とみんなはどう付き合ってる?【飯綱町の夜喫茶・消灯珈琲「問い会」第2回イベントレポート】

長野県・飯綱町の夜喫茶「消灯珈琲」で、月に一度開かれる「問い会」。「問い会」では、毎月一つのテーマにそって、参加者たちが問いと言葉を交わします。

▼前回の様子はこちら。


この場所だから、この時間だから話せること、聞いてみたいことがある。
第二回のテーマは「寂しさ」との付き合い方。

ひとりでいても、誰かといても、ふいに顔を出す「寂しい」という気持ち。正面から向き合うのではなく、そっと肩を抱くように自分の寂しさとうまく付き合っていけたら、ちょっぴり生きやすくなるかもしれません。

みんなそれぞれの寂しさのかたちや、付き合い方について言葉を交わしました。当日の様子をレポートします。


寂しさや孤独とみんなはどう付き合っている?

今回の「問い会」は、壁にそって椅子を並べ、
参加者同士が隣り合って半円を描くかたちで行われた

まずは、消灯珈琲の店主である「問い会」主催の彩花さんから、問い会の趣旨と今回のテーマについて説明されます。

彩花さん「『問い会』は、誰かと一緒に“わたし”ひとりに目を向ける時間です。寂しさというのは、問い会を企画したときから自分の中でみんなと話をしてみたいと思っていたテーマの一つで。一人でいても、誰かといても、寂しさみたいな感情は生まれてくる。自分の心からふいに湧き出てくるこの感情は、ほかの人にもあるのかな? あるとしたら、どんな違いがあるのかな? とみんなに聞いてみたくて。」


彩花さんの挨拶のあとは、参加者の自己紹介。それぞれが、普段何をしているのか、どうして「問い会」に参加しようと思ったかを話していきます。

「文化人類学の研究をしています。大学を休学中で、誰かと真剣に悩みを話す機会がなかったのでこういう場を求めていました。」


きぬさん 信濃町の国際村出身の大学生。普段は東京で暮らしながら世界を回っている

「今はフリーランスとして個人で働いているので、他者と向き合う機会が多いです。他者と向き合うにはまずは自分を知っていないといけないと思うので、『問い会』に参加して、自分の感情と向き合いたいと思っていました。」


アンディーさん 長野市在住。フリーランスとして映像制作を行っている。
日本に来たばかりの頃は、言葉も文化もわからず、ずっと孤独を感じていたと振り返る


どんなときに寂しさを抱くことがある?


まず最初の問いは、「あなたはどんなときに寂しさを抱くことがありますか?」

タイミングやシーン、最近「寂しい」と思った瞬間について、それぞれが思いを巡らせます。


「私は、一人でいる時はあんまり寂しいと思わないんです。それよりも、みんなと一緒にいるときに感じることが多くて。たとえば、みんなと一緒に集まってご飯を食べていて、『もうそろそろこの時間が終わる』というときに寂しくなります。」

「自分は、人といると寂しさを感じないんですが、一人になると感じやすくなります。みんなで遊んだ帰り道、『みんなに会えて楽しかったな』という思い出があるはずなのに、みんなと解散して一人になると寂しい。それから、仕事から家に帰ってくるとき。今までは家族がいたから感じなかったけど、『あぁ、ひとりなんだな』と感じて。」


Rioさん 飯綱町でログハウスの事業に携わるため、埼玉県から移住。
新しい土地での初めての一人暮らしに少しずつ慣れてきたが、今でも寂しさを感じる時がある。

さっそく、それぞれの抱く「寂しさ」の違いが出てきました。

「留学中、家族とも友達とも日本とも離れて生活していました。常に誰かと一緒にいたし、誰かのお家に泊めてもらっていたけれど、ずっと寂しさを感じていて。私は、人といるかどうかは関係なくて、自分がどう振る舞えているか、自分の心を隠さずにいられているかが大事なんだと思います。」

「寂しさという言葉から連想されるのは、東京の景色です。東京で暮らしていた頃は、友達も家族も近くにいたのに寂しかった。東京には、知らない人がたくさんいて、情報過多になってしまい、何かを求めすぎてしまう気がします。自分が本当に会いたいのは誰なのか、誰と喋りたいのかがわからなかった。長野に来てからは全然寂しくないです。」


エイミーさん 長野市でフリーランスの映像ディレクターをしている。
友人と二人でワークショップのスタジオを「NEUK」をオープン。

「自分が心を許せる人や、無償の愛の関係性ができている人と離れ離れになると寂しいです。小さい頃から親と離れ離れだったので、叔母さんが僕の世話してくれていました。自分の中にはお母さんとの記憶があまりないので、お母さんと会えないことに対して寂しいと感じたことあまりなかったのですが、叔母さんが長期で実家に帰ってしまうときは寂しかった。」

一方、「寂しい」という感情がピンとこないという人も。

「寂しさを抱く瞬間がパッと思い出せないです。常に自分と誰かをくっつけて考えてしまうことが多いから、あんまり孤独を感じていないのかな。」


寂しいとき、どういう行動をしている?


彩花さん 「私は結婚して家族がいるけれど、誰かになにかされたとか、悪いことが起きたわけでもないのに急に寂しさが襲ってくることがあって。まだまだ寂しさとうまく付き合えていません。」

「自分では寂しさがコントロール出来ないときもある」と話す彩花さんから投げかけられた次の問いは、「寂しいとき、どういう行動をしている?」

それぞれの抱く寂しさとの付き合い方を聞いていきます。

「私はそもそも、寂しくなり切る前にどこかに行ってしまうかもしれません。街のなかに出て行って誰かに会うとか、家族や友達に電話をするとか。」


シキさん 長野市で学びの場づくりを行っている。
「問い」をつくることが好きで、「問い会」のことは以前から気になっていた


「私は、『寂しいな』と感じたら、自分の機嫌を取ろうとします。音楽を聴く、映画を観るなど、コンテンツに頼ることが多いかも。友達に電話をすることもあります」

「一人暮らしをしていたときは、コンテンツに頼っていました。でも、家族と離れてるときに、コンテンツに頼っていたら逆に気持ちが落ちてしまって。ある意味現実逃避だったのかなって。寂しさを感じているということは、なにかが溜まっているということだから、気づかせてくれるチャンスでもあると思います。それを見ないようにして逃げるのは危ないのかも。今は、寂しいときは日記を書いたり友達に電話したりするようにしています。」

「僕は、自分の感情を受け入れることを大事にしています。抗おうとするから苦しくなると思うので、日記を書いたり、独り言として話したり、感じていることを言語化する。自分の苦しみを言葉にして外に飛ばすことを大切にしています。『目の前の幸せってなんだろう?』と考えるために、街中を散歩してスナップ写真を撮ることもあります。」


「寂しい時期は、一回受け止めて、なるべく逃げないようにしています。ずっと家に閉じこもるのもありだけど、それでは同じことの繰り返しになってしまう。寂しさを糧に前に進めるようにしていかないといけないなと。」

「私も、最近は抗わないことをすごく意識しています。私は、寂しいと感じるタイミングには規則性がなくて、なにかを踏み外して水に落ちるくらい急に感情に飲み込まれるときがあります。もがくと苦しいということに気がついたから、一旦底まで沈んでみる。そうすると、いろんなことがわかってきます。」


もえのさん 2024年の春に神奈川から長野県に移住。
寂しいとき、「寂しいと思っている私を受け入れてほしい」と
誰かに言えるようになれたらいいなと思っている

人の「寂しさ」にふれて、自分の寂しさをたしかめたという声も。

「私は『寂しい』という感覚があまりわからないんですが、この春に仲の良い友人が引っ越した時、別れ際に『わー!寂しい!!』と思い切り抱き上げられて。『寂しさってこんな風に相手にぶつけてもいいんだ!』と驚いたし、うれしかったんです。『寂しいね』と返した時に初めて、自分の中にも寂しさがあったんだなと気がつきました。『寂しいかも?』と思ったら、私も声に出してみたいと思っています」


風音さん 長野市を拠点に活動するフリーライター。
一人旅が好きで、あまり「寂しさ」を感じない気がしている

「寂しさ」から救われた体験はある?

人との関わりが経たれたコロナ禍の最中、「寂しさ」でいっぱいになり動けなくなるという経験をした彩花さん。

「寂しさ」から逃げるように読書に没頭する中で、星野源さんのエッセイに出てきた「さみしさはその人の性格やチャームポイント」という一説に救われたそう。

そこで、次の問いは「寂しさから救われた経験はある?」

「誰かと一緒にご飯を食べることの強さ、それがもたらしてくれるものを感じます。誰とでも、なんでも。一緒に何かを口にいれるということに、強い力があるなと。」

「誰かに話を聞いてもらって、最後に笑って終われたときは、『どうでもいいな』って思えます。いつも勝手に電話してくる友達がいるんですよ。そいつも孤独を感じているから、俺の話を理解してくれるし、最後はいつも変な話になって、笑って終わるんです。」


「寂しいときって、自分に囚われてしまうことが多いですよね。私は、身近な人と話をして、『この人も寂しいと思うことがあるんだ、私だけじゃないんだ』と知ることで救われました。」

「今までは、なんでも抱え込む癖がありました。落ち込むことがあっても、親友にも何も言えなかった。でもある時、自分から『話を聞いてくれない?』と話に行ったら、すごく優しく話を聞いてくれたんです。『他者とはわかりあえない、伝わらない』と思って無意識に距離を取っていたけれど、自分から寄り添うことって大事だなと思えました。自分が信頼できる人に話すことで、痛みを分散させることができる。」

別の参加者が、「救われた経験というと、一つ思い出したことがあって」と言葉を繋ぎます。


「小学校2年生の時、仲の良かった子が転校したんです。でも、私はあんまり寂しくなくて。その子からの手紙には寂しそうな内容が書いてあったから、『寂しくないとだめなのかな?』と思っていました。それから数年後、スポーツの大会でたまたまその子に会ったとき、元気でやっている姿を見て、うれしかった。『寂しさって、人と同じじゃなくてもいいんだ』とわかりました。『寂しい』の次に、新しい出会いがあるし、『寂しさ』は悪い感情じゃないんだなって」


「お久しぶりです、お茶でもどうですか?」ふいに出てくる寂しい気持ちと、友人のように付き合っていけたら

最後に、今回それぞれの寂しさの捉え方や付き合い方を聞いた上で、感じたことについて参加者同士が言葉を交わしました。


「寂しさって、弱い象徴みたいに思われているけれど、孤独で死ぬのは人間だけらしいんです。みんな感じているものなのに、隅に追いやられている感じがする。もう少し、寂しさに対処する方法や寂しい時の居場所が増えるべきだし、『問い会』みたいに自分の感情について主観的に話をできる場所が、人間にとってすごく必要だと思います。」

「私は、寂しいと思う前にアクションを取る習慣がついていたので、今までは、『寂しいと思っているなら、なんでもうちょっと前に進まないんだろう?』と思っていました。『もうちょっとここにいる、自分の中にある寂しさを置いて前には進まない』という感覚は新しかったです。寂しさに浸りたくて浸っている人もいるのかぁ、という発見がありました。」

「最近仕事で他者と向き合うことばかりしていたけれど、今回自分の気持ちをみんなと話してみて、自分に向き合えていないと他者に本気でギブすることはできないなと感じました。でも、向き合うってしんどい。だからこそ、隣り合わせくらいがちょうどいいのかな。」


「最近、長野市にある円というお店で、自分で作った歌を歌っていた男の子がいて。その歌の中に出てきた、『みんなで 一緒にいるためにひとりぼっちを愛したい』という歌詞がすごく好きなんです。寂しいという感情をもうちょっと大事にしたいなぁ。『お久しぶりです、お茶でもどうですか』くらいに、自分の寂しさに寄り添うことが大事だなって。」

「寂しさは、ネガティブでもポジティブでもあると再認識しました。みんな寂しい気持ちを持っている。寂しさと孤独感ってちがうのかも? 一人でいるとき、みんながどういう気持ちなのか聞いてみたいです。」

最後に、彩花さんが消灯珈琲に込めた想いを話し、今回の「問い会」が締めくくられました。

彩花さん 「消灯珈琲は、私の『寂しさ』から生まれた店と言っても過言ではありません。何番目でもいいから、誰かの居場所になったらいいなという気持ちから、この場所ができました。

ふいに湧いてくる寂しさを、ただそこにあるもの、いるものとして、友だちにみたいにうまく付き合っていけたらいいのかも。みんなの中に寂しい気持ちが顔を出したとき、友達を連れてくるみたいにここに来てくれたらいいな。」


あなたの「寂しさ」は、どんなかたちで、どんな色をしていますか?


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撮影:中嶋真也 
執筆・構成:風音

「問い会」主催・企画:一般社団法人わけしょ

<次回の「問い会」>
問い会 第3回《 (未定) 》…消灯珈琲のInstagramにて随時更新

問い会とは…
“生きにくさ”を軸に、毎月ひとつの“問い”をテーマに話しをする。結論を出すのではなく、同世代が今をどう選択して生きているのか、モノゴトをどう捉えているのか、話したり聞いたりして自身が“問い”の答えを見つけていく。

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日にち 2024/10/29(火)
時間 19:00-21:00(1hトークセッション、1h茶話会)
場所 消灯珈琲
参加費 1000円(ワンドリンク付)

※席数が少ない為、定員に達し次第募集は締め切ります
※当日、通常の喫茶営業はしておりません
※分からないことや質問等気軽にDMでご連絡ください

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