10年前の自分が欲しかった場所
昨年12月より始めたペアレントメンターカフェ「talk.」という試み、月に一度のペースで第3回まで無事に終了しました!!繰り返し来てくださる方、新しい方との出会いもあって、とてもやりがいを感じています。
私は2019年に県のペアレントメンター養成研修を修了いたしました。
ペアレントメンターになったものの、活動の機会がないまま2020年は過ぎ去ろうとしていました。
2020年の春より、カフェレストランでアルバイトを始めました。実はオーナーは弟です。私は、勤務先の雰囲気がとても好きで。当初は仕事を覚えるのにいっぱいいっぱいでしたが、そのうち、「あぁ、こんな場所で親の会のようなものができたらいいな」と思うようになりました。定休日に店舗を借りて、ペアレントメンターカフェをやりたい!と思い立ってから実際に行動に移すまでには数ヶ月かかってしまいました(多分、勇気の問題)。オーナーも快くOKを出してくださり、なんとか2020年の12月より、ペアレントメンターカフェ「talk.」を始動いたしました。
自閉スペクトラム症と診断されている息子は、3月で13歳になります。
彼に診断がついたのは4歳になる直前。当時は多動性障害との診断でした。落ち着きのなさや多動が目立っていたのは確かですが、こだわりの強さや見通しの立たなさ、そして発語はあるし目が合わないこともないのだけれど、コミュニケーションのいびつな部分はあったと思います。
困りごともたくさんあり、また、二歳差で生まれた妹が食物アレルギーだったこともあり、起きている間も寝ている間もずっと気が張っているようなそんな日々を送っていました。朝から晩まで子どもの世話に追われて、生活の全てが子どものことになって。自分の健康はそっちのけで。
どこかに相談に行くにも、育児の合間を縫って相談先を調べて電話して予約して、というエネルギーもないくらい疲弊していました。保育園に預けるのも、正直、息子が保育園で安心して過ごせるとも思えないし保育園に行かせるとしてどういった条件が必要なのかを調べることにさえたどり着けないような日々でした。どこかで、自分は仕事もしていないし、子どもの面倒は全て自分で見なきゃいけないって思い込んでいた部分もあったと思います。
少しずつ発達相談や自治体の巡回相談に、なんとかたどり着くものの、専門家の意見をどのように消化したら良いのかわからないまま帰宅したり、言いたいことの半分も言えないまま帰ることもありました。当時は自分に発達障害に関する知識そのものも欠けていましたし、日々をどうにか回していくことに精一杯だった気がします。
発達障害の親の会に行っても、自分の子どもより重度だったり、また子どもの年齢が違いすぎてそこで話題になっていることについていけなかったりすると、またもやもやとしたものが積み重なって。果たして自分と息子の置かれている状況は一体どんな状況なのだろうということがよくわかっていなかったように思います。
そんな当時の自分が「あったらいいな」と思っていた場所をこれから自分で作っていきたいとの思いで始めたのがこの「talk.」です。どこかの会議室ではない、落ち着いた空間で、専門家の人ではないものの発達障害の子どもを育てるということがわかる人と、何気ないことをおしゃべりしながら自分の頭を整理できるような場所。少し視野が広がる場所。というか、広げてみても良いかもと自然と思えるような場所。アドバイスされるわけでもないけど、少し道筋や光が見える場所。お母さんが辛いって言える場所。
音楽、美味しいコーヒー、その時々のスイーツ。手前味噌ですが、これらが揃ってのおしゃべりは時間が経つのを忘れるくらい、心地よいひとときです。このコロナ禍で「集まりましょう!」とは声を大にして言えない現状がありますが、3回やってみて、2、3人くらいでおしゃべりするのが自分のキャパシティを考慮してもちょうど良いなぁ、と思っています。
細かな一つ一つの大変さは忘れてしまっていることも多く、(あんなに大変だったのに)今日もお話をさせていただきながら、あぁ、うちの子もそんなことがあったなぁって思い出しておりました。そう、あんなに大変だったのに。今は別の大変さにとって変わられて忘れてしまうのね。今日も「今までだってなんとか生き延びてきた感じがするのに、これがこの先ずっと続くのかと思うと」というお話が出ました。そうですね。子どもに発達障害があるということは、一度受け入れて終わりなのではなく受け入れ続けなければならないということかもしれません。
一人ではしんどいけれども、「そういえば、うち、こないだこんなことあって」とか、「今度進学するんだけど迷ってて」とか、その悩みや情報を共有できる人がいれば、心強いかもしれない。
一人じゃない。を確認できる場所になれば、とこれからも地道に続けていきたいと思います。