特発性過眠症

20代の前半で診断された。
当時は学生をしており、研究室に休みなく16~21時間ほど在室している生活だった。
先に断っておくと、いまそんなに困っていない。治ってもいないが。

中学生の頃から徹夜でゲームをしていたし、通学が1.5hだったこともあって通学の電車やバスで立ったまま眠っていたこともある。授業中の居眠りは言わずもがな。
学校帰りの電車の乗り換え中、階段を登っている間に寝落ちてしまい、階段の角で膝を割ったこともある。
でも、寝不足だったからそんなものだと思う。

22歳くらいで修論と就活と研究室でのパワハラのトリプルコンボで毎日13時間寝ても居眠りしてしまう状況になった。
バイトでお客さんとの会話中に立ったまま膝から落ちるくらい眠かった。
睡眠外来へ行き、最初は適応障害ということで精神の不安定さを軽減させるお薬をもらった。精神の不安定さには薬が効いた。
睡眠記録と日帰り検査によって、特発性過眠症の診断が出た。
一日一錠で自己負担が100円強になるお薬の服用を開始した。
服用当初は副作用であろう心臓のバクバクや食欲不振が頻発しており、眠気とどっちがマシかなと思いながらも、起きていないとできないことがあるせいで服用していた。

卒業し、修論と就活と研究室から逃げ遂せることができ、春休みを迎えてもう眠気について悩むことがなくなっていたため、睡眠外来への通院もやめた。
就職してからは毎日9時間会社にいればあとは自由だったし、毎夜趣味に出掛ける程度には活力に溢れていた。

コロナの蔓延開始から少し経った頃、リモートワーク中の眠気が異常に強く、モニターの前で目を開けていても、ベッドに横になって寝ていても仕事の進行具合に差がない程度まで意識が遠のいていた。
仕事はびっくりするほど進まないし(たぶん1ヶ月かけても常人の1日分くらいしか進んでいなかった)、そのせいか全てのことが儚く悲しく思えてくるしでさすがに困ったので、睡眠外来を再訪した。

一日一錠で自己負担が100円強になるお薬の服用を再開した。
最悪な気分の冬が終わる頃には精神状態も平常に戻り、お薬を飲んでいる日は8時間睡眠で昼寝をしないでいられるようになった。
8時間睡眠で昼寝をしないでいられるって快挙ですよ。8時間睡眠しても13時間睡眠しても昼寝するし、昼寝してもずっと眠いし、寝ても寝なくても同じくらいずっと眠い病気なので(※個人差あり)。

今は日々の睡眠が7時間を切らない程度であれば、お薬で平常を保つことができている。
他人のせいで睡眠時間が減った時に、理不尽なほどに怒りを感じてしまうことは難点。
あと、そもそも毎日8時間眠るようなタイムマネジメントって意外と難しい。今年は生活リズムを整えることを目標に何度もトライアンドエラーしてきた。ちょっと風邪をひいたりしてリズムを崩すと、最初からやり直しになってしまう。
今年の目標は「持続可能な日常」だったのだけれど、これはつまり持続可能な睡眠ということである。目標を達成できたかどうかでいうと、今月はできているかな。先月はできていなかったかも。まあ人生あと何十年かあるから、持続可能な生活リズムを学習していきましょう。

仕事のない土日に、1錠100円のお薬を飲む価値はないかと思って飲んでいなかったら、やっぱり13時間寝てもずっと怠くて眠いので、人生って仕事のためにあるわけじゃないよなぁと考えて、最近はもうほとんど毎日飲んでいる。
本当にありがとうモディオダール。もう少し安くなってください。


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