事務職としての防災業務、電力会社としての使命感を大切にしながら
東北電力にとって一丁目一番地の仕事を担う責任感
―どんな仕事をしていますか。
本店総務部の防災・危機管理グループで、平時は、災害対応マニュアルの整備や非常災害時に係る社外機関との連携、全社大の災害対応訓練の運営、さらに、様々なトラブルに備えたリスクマネジメントを行っています。実際に災害が発生すると、その対策会議の運営などがメイン業務になりますね。
災害対応への社内調整の中心的な役割を担うのが、私たち防災・危機管理グループになります。
電気は地域の皆さまの生活になくてはならないもの。東北電力は国から災害の予防・応急・復旧にあたるための指定公共機関に指定されるなど、防災上重要な役割を担っています。防災に関する業務は、当社にとって一丁目一番地だと考えています。ともすれば、縁の下の力持ち的な業務かもしれませんが、使命感を持って今の仕事に取り組んでいます。
―最近は気候変動に伴う災害の激甚化が進んでいます。果たす役割の重要性は増していますね。
当社はこれまで、東日本大震災をはじめ、さまざまな自然災害を企業グループ、協力会社含め一丸となって乗り越えてきました。当社の歴史は、相次ぐ自然災害との戦いでもあります。
だからこそ、災害対応力は当社にとっての大きな強みです。
とはいえ、有事の際は、どうしても混乱や不安がつきもの。そのような場面でも、落ち着いて対応できるよう、平時からしっかりと備え、訓練やマニュアルの策定見直しなどを通じてノウハウを継承していきたいです。災害に向かう心構えを社内で伝えていくことも重要なポイントですね。
いつ起きるかわからない次の災害から、地域の皆さまの生活を守るためにも、今後も変わらずに災害対応力の維持・強化に努めていく必要があると思っています。
家族や仲間に支えられながら
―責任重大な仕事ゆえ、心も休まらないのでは。
防災担当の仕事は、自然災害が発生すればいつ何時でも迅速に対応しなければならない。決して簡単なことではありません。私自身、これまでさまざまな部門で仕事をしてきましたが、どの部門でも災害対応を経験してきました。
現場で復旧作業にあたる応援隊が早期復旧への作業に専念できるようにと、復旧現場に同行して食事の手配など身の回りのサポートしたり、広報を担当していた時は、災害の状況をまとめて地域の皆さまへお伝えしたり。
子どもも小さいので妻には負担をかけてしまうこともありますが、それでも電気がなくて困っている方々のために欠かせない仕事をしているということを理解してくれて「頑張ってきてね!」と。いつも、どんな時でも背中を押して送り出してくれます。家族の助けがあるからこそ、責任やプレッシャーのかかる仕事でも前を向いて取り組めているのだと思います。感謝しきれないですね。
―家族のサポートがあってこそ、ですね。
そうですね。だからかもしれませんが、他愛のないおしゃべりや土日の買い物、大切な家族と一緒にいるそんな日常が、一番リフレッシュできるひと時です。
後は釣りですかね。同期や後輩とはプライベートでも仲が良く、よく釣りに行きます。広い海を眺めながら、釣りを楽しみ、夜は一緒にお酒を酌み交わす。私にとって大切な時間です。
防災担当というと、まったく休めないイメージがあるかもしませんが、休暇もしっかりとれますし、働き方は他の部門の社員と変わらないですね。
過去の経験が今につながって
―さまざまな部門を経験されたとのことでしたが、仕事が変わることの難しさはありますか。
入社からこれまで6つの部署に所属し、さまざまな仕事を経験してきました。確かに、職場環境や業務内容が変われば、慣れるまで大変に感じることもあります。ですが、それ以上に仕事の幅が広がることが実感でき、各部署での経験が仕事上のあらゆる場面で生きていることも事実です。
特に現在の防災の仕事では、災害時にどの部門がどのような仕事をしているのか、その解像度が高ければ高いほど、現実に即した備えがとれると思っています。これまでさまざまな部門で経験してきた災害対応が生きていますね。
―現場での経験をどのように生かしていますか。
普段マニュアルの整備などをしていると言いましたが、災害対応の勉強会などでは、決してマニュアル人間にはならないようにと伝えています。矛盾しているようですが、災害はマニュアルどおりにはいかないですから。マニュアルを踏まえつつ、最善に向けて臨機応変に判断する。そのためにはいろいろな場面を想像できる力が必要かもしれませんね。
―さまざま経験を経てきた黒須さんが、仕事で大切にしていることは何でしょうか。
総務部門では、組織力を高めるために「対外対応力・総合調整力・総合判断力」の3つの力を大切にしています。
有事の際には陸上自衛隊や被災自治体など、災害協定を結んでいる社外機関と連携して迅速に対応する必要があるため、平時からの訓練や意見交換を通して、密にコミュニケーションをとっています。相手の話をよく聞き、お互いの着地点を探る。大事にしているポイントの1つです。
東北・新潟で暮らす皆さまの生活に絶対に欠かせない電力インフラを担っているからこそ、使命感をもって職責を全うしていく。今後、どんな経験ができるのか分かりませんが、この「使命感」という一本の軸は絶対にぶらさず、これからのキャリアを楽しみたいです。
※本インタビューは2024年7月に行いました