ここは福島の未来をつくる準備室である。【後編】
【しらかわ】福島県白河市
東京から新幹線で2時間もかからずいける東北の玄関口、福島県白河市。
駅の近くに大きな図書館、白河小峰城、酒蔵などもあり近場で様々な観光ができます。白河ラーメン、白河だるまなども有名です。
今回白河を紹介してくれるのは、最近は白河にてワーケーションを行い、もはや白河マスターの弘田光聖さんです。そんなこうせいさんの白河おすすめスポットの数々を紹介します!
前編では私が白河を思いっきり楽しんだ観光記事になっています。
東京から1時間半、ふらっと観光行ける東北の玄関口。
ぜひ、行ってみてくださいね。
前編を読んでない方はこちらからどうぞ
後編では、前編で紹介した高校生びいきのコミュニティカフェ「EMANON」と白河駅前のゲストハウス「ブラン」を運営している(一社)未来の準備室の青砥さんにお話を聞いていきます。
白河って大学が無いんですよ。
本人曰くこれがインタビューを受ける時のいつもの第一声らしい。
コミュニティ・カフェ EMANONが福島県白河市の中心市街地にオープンしたのは2016年3月。当時青砥さんは東京で暮らす大学院生だったそうです。
福島県白河市の近くにある矢祭町に生まれ育ち、
高校時代は白河市内の高校に通った経験がある青砥さん。
なぜ高校生びいきという特徴のあるカフェを運営しているのでしょうか。
コミュニティ・カフェ EMANON について教えてください!
(カタカタ、お仕事をしながらインタビューに答える余裕さ!)
大学も短大もないこの街で、高校3年間が白河で過ごす最後の3年間になります。にもかかわらず高校生の居場所や地域とつながる機会がないことで、場所の記憶や人の記憶が残らない。
そうして多くの高校生たちが、故郷に戻る選択肢を考えることもなく白河を離れてしまうのではないかと考えました。
確かに、私自身高知県出身ですが、強く記憶に残っている場所や人がありますか?と言われるとないような気もします。コミュニティカフェとして、大切にしているコンセプトがあると青砥さんは続けます。
家庭と学校、親と教員の固定化された関係しかなかったから、当時の高校生の僕は、白河が息苦しかった。なので、コミュニティ・カフェ EMANON はそのどちらでもない、人と自由な関係を結べるサードプレイス(第3の場所)。
ここで白河の町や人とつながりながら、故郷の記憶がしっかりと残る高校生活を過ごして欲しいと思っています。それが、白河に帰ってきたり、関わってくれるきっかけになるんじゃないかなと思います。
なぜか、息苦しい。今、記事を見ているあなたも共感できるのではないでしょうか。
今思うと地域のサードプレイスがあれば、僕ももっと地元のことが記憶に残っていたんじゃないかなぁと考えます。青砥さんは高校生の居心地の良さと新しい人やコトに出会える2つを大切にしていると言います。
一番大切なのは、高校生にとって安心できる、居心地の良い場所であること。そのため、高校生限定の会員証を発行し、提示があれば注文なしでもずっといられるよう配慮をしています。
毎年卒業と新入があるので、顔ぶれは少しずつ変わります。高校生にとっていつもの顔見知りがいる「馴染みの場所」であり、それだけではなく、時には思いもよらない卒業生や大学生、地域の人との出会いなど新しい人やコトにも出会える場所、その二つがセットになっていることが、サードプレイスに大切なことだと思っています。
インタビュー当日も、高校生や学校の先生、そしてコミュニティ・カフェ EMANON のスタッフが話している姿がありました。
学校ではない場所で、先生と生徒と地域の若者が関わる場所。オープンな場所としてとても魅力的に感じ、高校生の息苦しさを和らげ、背中を押すきっかけを作っているのではないかと思いました。
「何度でもこのまちに来て欲しい」から始まった、ゲストハウス。
青砥さんの挑戦はさらに続き、2020年2月に白河駅前徒歩1分にゲストハウス「ブラン」をOPENさせました。高校生の居場所とは変わった取り組みだなと思いつつ、なぜ立ち上げたのかを聞いていきます。
先ほどお伝えしたように、白河には大学がない。だから若い人がここから離れていく流れしかないと思っています。ただ、だからといって魅力的な職業や大学をすぐ作るのは難しい。観光客に少しでも長く滞在してもらうこと、白河出身の若者が地元に友達を連れてきたときに気軽に宿泊してもらうこと、このまちに何度も足を運んでもらえるように、と駅前の立地の良い場所にゲストハウスを始めました。
確かに立地もいいですし、ゲストハウスだと費用も安いので気軽に泊まれますね。
また、白河の立地的な特性も人があまり立ち寄らない理由だと青砥さんは話します。
(取材当時は、首都圏からきた大学生が長期滞在していました)
白河はアクセスが良すぎて、みんな通り過ぎる場所なんです。
知っていても、通ったことあるよー!くらいで。駅から降りて観光する人はそんなに多くありません。それもあって、観光客向けのホテルもそんなに多くないんですよね。でも、白河駅前の商店街にはユニークな人や面白い場所がたくさんあるんです。それもこのゲストハウスから発信、伝えていけたらと思います。
ゲストハウスは出来たばかりで、新型コロナの影響で2ヶ月閉めていたそう。素敵な笑顔で、お試し移住ハウスなどいろんな可能性をゲストハウスで考えています。いろんな提案をお待ちしてます!!と話していました。
また、ゲストハウス3階にあって、2階はなんとコワーキングスペースも完備!そこには大きな福島のテーブルがありました。
(白河はここ!!とお茶目な一面も。)
コミュニティカフェ「EMANON」、そしてゲストハウス「ブラン」と立ち上げ運営している青砥さん。東京での大学院生を経て、Uターンし起業したという。
一体、そのモチベーションはどこにあるのかを聞いてみました。
福島で住むことを肯定できる未来のために。
福島に生まれ、育った人が福島で住むことを肯定できる未来を作りたいと思っています。そのためにも、福島や白河をいいねと言ってくれる外の人を増やすことが、大切だと思っていて、白河にいる時間が楽しいと思える体験を提供したいんです。
その考えはめちゃくちゃ素敵です、、、!そう思い始めたきっかけはなんですか?
(熱い話になってきました!!!)
きっかけは東日本大震災です。そこで大きな無力感を感じました。福島出身なのに、福島のことは知らないし、自分にできることが少なかった。一方で、当時福島を見ていて思ったことは、福島に行かないし、知らない癖に、福島に意見を出す人は沢山いた。それを見て、そういう大人は尊敬できないなと感じ、まず自分ができることからやりたいと活動を始めました。
あとは、福島にいる同世代の意見も見えませんでした。だから、若者で動こうと。スタートは白河出身の若者たちでイベントをやることから始めましたね。
分断が生まれたこの福島で、分断を超えたい。
東京での大学生時代から白河に関わる活動を始め、その先にカフェやゲストハウスの立ち上げがあった青砥さん。青砥さんの描いている福島、白河の未来をさらに聞いてみました。
ここ白河で分断を超える町を作りたい。
若者と高齢者、男性と女性、大卒と高卒、世界中で分断がおこっている今、どんな人でも居て良いよという空間、そんな白河にしたいなと思います。
知ってますか、白河にある観光名所「南湖公園」は松平定信が作り、そのテーマは四民共楽です。つまり、士農工商含め誰もが共に楽しんでほしいという意味が込められています。
分断の時代に、どんな人も集える場所、それを白河にしたい。それが出来た先に、私自身がもっと白河を信じれると思っています。
そのためにはできることはまだまだありますね。福島は震災で分断が起こったまち、白河は東北と関東圏の境目、だからこそ、ここから分断のない地域社会を作りたいと思っています。
ライター弘田、かっこよすぎて青砥さんに惚れそうになりました。
大学時代から活動を続け、白河にUターンし、起業をしている青砥さん。
その背景にこんなにも熱い思いがあるとは知りませんでした。
白河に関わる一個人としても青砥さんの描く未来、一緒に作りたいと純粋に思ったことを文字起こししながら思い出します。
最後に!白河にきたら行って欲しい
青砥さんおすすめベスト3教えてください!
えー、どこだろー!3つに絞るのは難しいなぁと考えている模様。
決まりました!まず一つ目は、コミュニティカフェ「EMANON」です。いつ行っても高校生がいて、それを支える大人や地域の人がいます。さらに、カフェで働く移住者が、地域の外から来た人の気持ちに寄り添ったおすすめ情報案内します!
二つ目は、肉の伊丹!高校生が放課後に買いに行くお肉屋さんです。唐揚げ百円、コロッケ四十円安い、味付けが謎なんですが、めちゃくちゃ美味しいです。おばあちゃんとおじいちゃんが運営していて、いつ行っても、よく来たねと作ってくれます。行くと温かい気持ちになりますよ。(伊丹精肉店 〒961-0917 福島県白河市八百屋町9)
最後三つ目は、野村屋!白河のアイスキャンディー屋さん、手作りで1本1本作っていて、あずきキャンディがおすすめです。あずきを煮るところからしていて、店主が1本ずつ丁寧に作っています。あと、その店主長谷川さんは街のことなんでも知っています。僕も普段、白河で困ったことあれば、店主の長谷川さんに聞いてます。皆さんには白河の素朴さを楽しんでもらいたいなぁと思います!(〒961-0951 福島県白河市中町69)
インタビューだけでなく観光スポットまで教えていただきありがとうございました。引き続き、きっかけ食堂共々よろしくお願いします!
野村屋のあずきのアイスキャンディー!うまい!!!
個人的には、食ってばかりの白河旅でした。笑
編集後記
取材前、コミュニティカフェ「EMANON」で高校生の進路相談を聞いていた青砥さん。「この仕事、高校生や若者と話すのが好きかどうかって大事ですよね」と言っていました。
青砥さんの未来に対する思いや熱量はとても素敵、そして壮大です。
でも、その壮大な目標があったとしても、
青砥さんは目の前の高校生との対話を大切に日々、楽しんでいる。
そんな優しく強い彼の背中を見て、僕は青砥さんがより好きになりました。
あ、僕の人生相談にも乗ってくださいね。
白河で活動する青砥さんの活動は、全て福島の未来をつくる準備室になっていた。
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