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中小企業の経営は守備から固める
社長であれば誰しも、会社を継続し、そして成長させたいと願っています。
今回は、「今よりもよりよい会社にしたいと考えた際、社長はまず何から手を付けるべきか?」をテーマに見ていきます。
中小企業の経営は守備から固める
会社は5年、10年、50年、100年と継続していくことを前提に運営していきます。経営は短期勝負ではなく、長丁場ですので、勝つことも重要ですが、まずは負けない体制を作ることが大切。
攻めと守りで言えば、まずは「守り」の部分が固めることが求められます。
では、守りとは何か?
今回は、4つのポイントを見ていきます。
1.全従業員が守るべき最低限のルールの確認
2.経営数字の把握と損益分岐点の確認
3.組織図と役割の確認
4.顧客接点・顧客情報の確認
全従業員が守るべき最低限のルールの確認
会社には様々な価値観を持つ人が働いています。
社長の価値観と社員の価値観は当然にして異なります。
価値観がズレているのに、お互いがお互いの正しさを主張したとしても、結論は出ません。
「守り」を固める上で、一番重要なことは、会社の中で、最低限の「価値観」を揃えていくことです。
では、人の価値観とは何か?
それは、その人が持っている「マイルール」の集合体です。
「こういう人は許せない」「この時はこのような行動をすべきだ」「この程度であれば許容されるべきだ」というようなマイルールの集合体が、各人の「価値観」と呼ばれるものとなります。
では、会社の中で最低限の「価値観」を揃えていくためにすべきことは何かといえば、「誰もが出来る当たり前のルールを明文化し守っていく」ことになります。例えば・・・
・挨拶(「おはようございます」「いらっしいませ」等々)
・身だしなみ(会社のユニフォームを着る)
・整理整頓
・時間(出社時間・書類の提出時間、会議の開始時間)
・呼称(〇〇さん、〇〇部長、等々)
まずはこのような「会社にとっての当たり前」を社長が明確に文書でルール化し、「うちの会社の社員であればこれだけは必ず守ること」という状態を作ることが必要です。
「守り」という観点で言えば、『会社で決められた「挨拶」という誰もができる当たり前のことすらできない会社は、それ以上のことなど出来るはずがない』、という価値観を共有することが、複数の人が一緒に働く基盤を作る上で、一番初めにやらなければいけないことになります。
経営数字の把握と損益分岐点の確認
入るを量りて出ずるを為す
という言葉がありますが、収入に見合った支出をしていれば、会社は継続できます。
当たり前のことですが、これを実現するためには、2つの要素が必要だと考えます。
1.収入と支出が高い精度で把握できている状態
2.支出が短期間でコントロールできる状態
まず、収入と支出の実態が分からなければ、収入に見合った支出をすることができません。
経理が正しく機能していて、経営数字がタイムリーに把握できる状況が求められます。
この「タイムリー」に把握することがポイントです。
この「タイムリー」が「2.支出が短期間でコントロールできる状態」に繋がってきます。
多くのビジネスが、支出が先行し、収入が遅行します。
収入が先行し、支出が遅行するのであれば、経営は難しくないです。
しかし、先に払わないと、お金が入らないため、払うお金が無くなって会社が潰れるのです。
・売れると思って大量に仕入れたけれど、売れない
・社員を沢山雇ったけれど、仕事が取れず、会社が潰れる
・多額の投資をしてお店を作ったけれどお客様が来ないで、会社が倒産
これを回避するためには、短期間で支出がコントロールできる状況を作ることが解決策になります。
・売れた分、即座に仕入れできる状況を作る
・仕事量に合わせて流動的に稼働する雇用形態で人員を雇う
・初期投資は抑えて、業績と伴に設備が拡大できるモデルで始める。
在庫をなるべく持たない、過度な固定人員を抱えない、初期投資を抑える、で起こる機会損失を回避するため、短期間で収入に合わせて支出をコントロールできる体制の構築が求めらえます。
組織図と役割の明確化
収入と支出のバランスをどのように作っていくかは、ビジネスモデルそのものですが、このビジネスモデルを実現するための「組織」を作ることが次のステップになります。
組織図を描き、組織図上の役割を明確に決めることで、社員一人一人が最低限、どこまでの仕事をやって欲しいのか明確にしていきます。
この水準まで仕事をやって貰えればOKというラインを決めておくこと。
支出がコントロールできる体制が出来ており、社員一人一人、ここまで仕事が出来ればOKというラインが決まっており、これがクリアされていれば、会社が潰れることはありません。
では、役割(この水準まで仕事をやって貰えればOKライン)が果たせない社員がいた場合どうするか?
まず、社員本人が、OKではないことを認識している状態を作り、そこから出来るようになるための成長の仕組み化が求められます。
役割に紐づく評価制度を構築(OKかOKでないかが分かる状態)することは、経理機能で黒字か赤字かが経営者が判断できる状況を作ることと同じく、「守り」の観点からも重要な要素となります。
顧客接点・顧客情報の確認
収入の源泉は「お客様」です。
お客様との接点が上手くいっていない場合、収入を得ることが出来ません。
・お客様に出会い、お取引が始まるまでの流れが明確になっていない。
・お客様から見積依頼、購入依頼があっても、対応できていない。
・お客様からクレームがあっても、対応できていない。
・お客様と継続的にお取引をするための仕組みがない。
収入の源泉である「顧客接点」と「顧客情報(お客様の状態)」が社内で共有・確認できる状況になっていない場合、社長や社員がいくら動いても、収入が増えていくことはありません。
この「顧客接点」「顧客情報」の見える化・共有・確認する仕組みについては、「守り」の観点からも重要な要素となります。
まとめ
最低限のルールで社員の価値観を揃え、
収入と支出のバランスを見える化し、
組織と社員の役割を明確にした上で、
顧客接点・顧客情報を見える化・共有・確認する仕組みを作る。
この「守り」をしっかりと固めることができれば、社長は新たな取り組み等「攻め」に打って出ることが出来ます。
一方、この「守り」が出来ていないと、
・会社で決めたことを守ろうとしない社員への対応
・急にお金が足りないことを経理から報告され、資金繰りに奔走
・成果が上がらない社員に、高い給料を払い続けるストレス
・社長だけが売上を作り、突然のクレーム対応も社長自ら実施
と、社長がいつまでも社内の問題に忙殺され、社長がやるべき仕事(全社の方針を決める、新たなビジネスを仕込む)等を行う時間がなくなります。
中小企業の経営はまずは「守備」から固めていきましょう。
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