無題/戦争画をテーマにした物語(第4部のつもり⑧)
35
梅雨明けの数日後。「ぶらいと」夏号と、小笠原君が挿絵を手がける新連載「水底巨岩城」を巻頭に据えた「ぼうけんブック」が我が店の店頭に並んだ。その奥で、私と父、平澤君の妻の富枝、そして陽子は3人の激励会の準備を始めていた。富枝と一粒種の喜久雄君を連れてきた平澤君は、机を出したりなどの手伝いを終えてから子どもを連れて散歩に出た。
平澤君は「とんでもないご馳走が出てくる」などと言っていたが、このご時世で卓上をにぎわすような食材が用意できるわけもない。かといっ